養子縁組で「育てられてよかった」子と「育ててよかった」親が90%以上! “血がつながらない親子”の幸せとは

日本の養子縁組の現在地 第2回~養子・養父母の幸福度~

日本財団 公益事業部 子ども事業本部長:高橋 恵里子

「研修や登録までの手続きなど、紹介までのスピードは各団体によって異なります。児童相談所と違って費用がかかる場合が多く、その額も異なります。

民間団体の場合は、養親さんたちのネットワークがあるところも多く、縁組後に養育に関しての悩みなどを同じ立場の人たちと共有できたり、相談できたりする体制が整っている団体もあります。

また、生後間もない赤ちゃん(新生児)のあっせんがほとんどです。生まれた数日後に、病院などから養親さんのところに赤ちゃんがやってくるということが多いと思います。

また、民間団体はそれぞれの考え方(ポリシー)のもとで活動されているので、ご自身の考え方がその団体と合っているのかどうかの見極めはとても重要です。

児相と民間の両方に登録することも可能だと思います。ですが、民間団体ごとにルールがあるのでその辺は確認しておきたいですね」

養親は“誰のための制度”かの覚悟が必要

養親になることを望み、子どもを迎え入れる準備を始める前に一度考えておいてほしいことがあると高橋さんは続けます。

「まず、前提として『養子縁組や里親制度は子どもの福祉を目的としたもの』ということを認識していただくことが大切だと思います。

決して、子どもを育てたい大人のための制度ではない、と理解することがとても重要。子どもが幸せに育つためには、子どもを支える家族が必要です。そのためにこの制度があります。

実際に養親になることを希望される方には、子どもを望みながらも実現できなかったという方が多くいらっしゃいます。長くつらい不妊治療を経験された方も少なくありません。それゆえに、子どもや子育てに関して期待値が上がってしまっている場合もあるようです。

例えば、子どもが成長するにあたって思い描いていた理想と違う現実が目の前にふりかかることもあると思います。さらに、養子であるということから生じる悩みが表面化してくることもあるでしょう。

ですが、常に子どもの声を聞いて、ありのままを受けとめてほしいと思います」

子どもへ養子だと告げる「真実告知」は重要

もう一つ、養親になることを考える際に知っておきたいのは「真実告知」という言葉。いわゆる、子どもに実子ではなく養子であると伝える行為です。

これは養子縁組家庭が幸せに人生をともに歩むための大切なプロセスとされていて、多くの養親たちが悩み迷ってきたことでもあります。

「真実告知に関しては、昔はしないほうが良いという風潮もありましたが、今では早いうちにちゃんと伝えるべきといわれています。なぜならば子どもには自分の出生について知る権利があることが第一にあげられます。

実際、幼いころに告知する家庭が増えているようです。日本財団の調査では1歳未満で真実告知する家庭が一番多く、平均でも真実告知までの期間は4.6年でした。

また、子どももより幼いころに真実告知を受けると『父母が“育ての親”である』ということを前向きに受けとめられる割合が多くなるという調査結果も出ています。

さらに自己肯定感が高くなるというデータもあるのは注目すべき一面です。

〔子どもが『自分自身に満足している』〕という問いでは、7歳未満で告知を受けた子どもの場合、68%がそう思えているのに対して、13歳以上で告知を受けた場合は38.5%と差が出ました。これも、より低年齢で真実告知をすることを推奨する要因のひとつでしょう」

真実告知をした子どもの年齢別の調査では、真実告知が早いほうが子どもはポジティブに受けとめられている結果が出た。  出典:日本財団「養子縁組をした762人の親子のこえ」
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日本財団「養子縁組をした762人の親子のこえ」(P11)

“子どもの幸福度”は一般家庭より養子家庭が高い

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