子どもの人間関係 4〜6歳の「アナ雪ごっこ」で理解する友達との遊び

西坂小百合教授に聞く「6歳までの子どもの人間関係」#2【4〜6歳】編〜

共立女子大学家政学部児童学科教授:西坂 小百合

友達とどう遊ぶかは年齢とともに変わってきます。 写真:アフロ

共立女子大学家政学部児童学科教授の西坂小百合先生。
臨床発達心理士として保育園の巡回相談に出向き、保育士の相談に乗っている、「子どもの人間関係」の専門家です。

「子どもの人間関係構築の特徴を理解することで、子どもの見守り方がわかるようになる」と西坂先生は言います。

第1回では0〜3歳の子どもの人間関係について教えてもらいました。第2回では、4〜6歳までの子どもが、友達との関係の中でどのように遊べるようになるのかを伺います。
全3回の2回目。#1を読む

4〜5歳は「みんなエルサになるのが楽しい!」時期

まず、4〜5歳ごろのいわゆる「年中さん」になると、友達との付き合い方はどのように変わるのでしょうか。

「3歳の延長線上であるものの、友達との関わり方に広がりが生じ、つながりを感じながら遊んだりできるようになります。

たとえば、3歳の『ごっこ遊び』は、友達と同じ空間にいることが楽しいと感じるものの、それぞれ別の遊びをしています。それが4〜5歳ごろになると、設定やイメージ、空間の共有をするよう成長します」(西坂先生)

西坂先生がある幼稚園で見た「アナ雪ごっこ」が、年中さんの遊び方を象徴していたと言います。

「『アナと雪の女王』の初回作品が公開された後くらいだったと思います。幼稚園に行くと、劇中でエルサが歌う『Let It Go』をかけて、5〜6人の子どもが全員エルサになって踊りながら歌っていました。

子どもたちはみんな布をマントのようにまとい、先生にビニール紐で編んでもらった髪をつけていて、さながら『アナ雪ショー』のようでした。友達と同じような衣装を着て、みんなで一緒に歌って踊りながらイメージを共有することが楽しい時期です」(西坂先生)

設定やイメージの共有に加え、簡単なルールのある遊びができるようにもなると西坂先生は言います。

「簡単なルールを楽しむことは、とても大事です。遊びを通じて、子どもが徐々に『ルールを守るのはいいことで、守るとみんなが楽しく遊べる』と気づけるようになります」(西坂先生)

5〜6歳では「一人のエルサ」のためにみんなが裏方に

一方、5〜6歳ごろの「年長さん」になると、同じ「アナ雪ごっこ」にも変化があらわれます。

「劇中では、エルサが『Let It Go』を歌いながら雪山を登り、氷のお城を築き、衣装チェンジをします。子どもたちは、このシーンをブロックや布を使いながら再現しようとしていました。

たとえば、エルサ役がバンっと足を踏み鳴らしたら、氷のヒビが入るのを再現するため、裏方の子が四方から布を引っ張って、布が広がるような仕組みを作ったり、布で風を起こしている子がいたり……。ちなみに、子どもは7〜8人いて、エルサになれるのは1シーンに1人だけでした」(西坂先生)

エルサが1人。配役をめぐりトラブルになりそうな状況ですが?

「全員が順番にエルサ役に回るためには、それぞれ6〜7回は裏方をやらないといけない。子どもたちは裏方をすることに葛藤があったようですが、5〜6歳ごろになると目的を達成したい気持ちが芽生えるため、多少の我慢ができるようになります。

先生のサポートを得ながら、最終的には『全員が順番にエルサになる』目的を達成していました。役割分担や相談しながら仲間と共通の目的に向かって物ごとを進められる、これは年長さんだから達成できたことですね。

また、多少ルールが複雑な遊びもできるようになります。『こおりおに』や『ケイドロ(ドロケイ)』など鬼ごっこのレパートリーも広がると思います」(西坂先生)

同じ6歳ごろでも、小学校に入学すると親の目が行き届きにくくなります。

「大人になると、友達付き合いには性格や価値観が関わってきますが、小学校低学年ごろは、物理的な距離が近い子と遊ぶ傾向にあります。

同じクラスや席が近いなどの理由で遊ぶようになるため、今まで遊んでこなかったお友達と仲良くなることも。親御さんが驚くこともあるかもしれませんが、いろいろな子と遊ぶ時期だと思ってもらえるといいですね」(西坂先生)

幼稚園の教員免許も持っている西坂先生。子どもの気持ちと親の気持ち、どちらにも寄り添いながら話す姿が印象的でした。 Zoom取材にて
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