お弁当の呪縛から離れた経営者ママが実践した「コーチング子育て」って?

【コーチング子育て】子どもの個性を見抜き、教えずに導く方法 #1

SoZo株式会社 代表取締役:あつみ ゆりか

母親は家庭の「マネジメントをするマネージャー」に

かつての我が家の出来事になりますが、長女が私立の中堅中高一貫校に入学し、いきなり成績が“ビリ”になったタイミングで、私は毎日のお弁当作りを放棄しました(どうしても必要な日は作りましたが)。

「お仕事、お忙しいんですって?」「お弁当作ってないって聞いたわよ?」と保護者会で声をかけられることもしばしばありましたが、そんな同調圧力に屈することなく、私は自分の子育てスタイルを信じ、突き進んでいったのです。

「何も放棄までしなくてもいいのでは?」と極端に思われるかもしれません。家庭における母親の役割を野球部のマネージャーに例えるとすれば、私が目指したかったのは『タッチ』の南ちゃんのようにボールを拭いたり洗濯物をしたりして男子を補佐するタイプのマネージャーではありませんでした。

前田敦子さん主演で映画にもなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』に出てくるマネージャーです。「甲子園を目指そう!」と目標設定をし、各選手の個性を見抜き、並走していく。いわゆる「マネジメントをするマネージャー」だったのです。

子育て本の中でも「東大合格を○人育てた母」「ハーバード合格の母」といった著者の本が売れていますが、私は一般家庭にはフィットしないと思っています。もともと優秀なDNAを持つ子の話は本当に参考になるのか? 天才タイプでない我が子にフィットするのか? と。少なくとも、うちの長女の参考にはならないと考えました。

また、こうした本の教育法の多くは、たいてい幼少期からスタートしていたりします。小さいころからたくさんの本を与えて読み聞かせ、体験型学習も積極的に取り入れていたりするものです。親が「このままの成績だとヤバい」と焦るような中学生ではもう手遅れだと思い知らされるのです。

つまり、親が本気で悩む時期に寄り添った「親向け教科書」がありそうで無い、ということなのです。

「コーチング子育て」を構成する4つの要素

そんな中で、我が家の3人の子どもたちを相手に実践していったのが「コーチング子育て」です。このメソッドの特徴は、母親のストレスが少ないこと。ガミガミ怒ることなく、天才ではないフツーの子どもたちが自走していく……というのが特徴です。

フツーの子どもの長女は成績をどんどん伸ばし続け、高校3年では学内トップに。夢を叶えるため早稲田大学の国際教養学部を受験し、晴れて合格しました。

では、フツーの子どもたちが自走する「コーチング子育て」とは一体どんなメソッドなのでしょう。メソッドといっても、堅苦しいものではありません。

初めに行ってほしいことは「目標設定」の並走です。平たく言うと、子どもと未来の夢、希望のことについて親が「壁打ち相手」になり、じっくり話し合ってほしいのです。それは将来なりたい職業でも良いし、興味を持っている学校選抜の何かでもいい。

もちろん、子どもが興味のある漫画やアニメ、動画やスポーツといった話題でも良いのですが、なるべく人生の延長線上にある未来の職業と結び付けてあげるのがベターです。

うちの長女は海外ドラマで見たアメリカのハイスクールライフに憧れを抱いていました。その先には「Googleで働く」という夢がありました。入学した中高一貫校には「選抜留学制度」があったため、「高校で留学する」ということをまずは短期目標に据えたのです。

2つ目が、すごろく的な目標の細分化です。まずゴールを設定し、現在まで逆算してコマを設けていくイメージです。

母あつみ「『Googleで働く』ために必要なことは何?」
長女「『英語を得意になって、トップクラスの大学で学ぶ』かな?」
母あつみ「どんな大学が思い浮かぶ?」
長女「う~ん……早稲田大学の国際教養学部とかかなあ」
母あつみ「じゃあ、そこを目指すには何が必要だと思う?」
長女「選抜で行ける3ヵ月の海外留学に行くことかなあ」


このように具体的なイメージをつけられたら、いい流れ! 子どものワクワク感を促すよう、ポジティブな言葉で肯定してあげましょう。私が「すっごくいいね! それを目標にして、海外に行けたら世界が広がるよね」と言うと、長女は今まで見たことがないような笑顔になりました。

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