
我が子が不登校のピンチ 起業し「おかんラッパー」になった母 大反響“子育てリリック”全公開!
#3おかんラッパー「マイクラおかん」に学ぶママの輝き方~ラッパーになる~
2025.08.29
おかんラッパー「マイクラおかん」:下崎 真世
「ラップで生き様のプレゼンテーション」をテーマに、社会や学校、日常で感じているリアルな思いや出来事を声に出そうと募集したところ、7歳から80歳まで全国から108組がエントリー。下崎さんは希望者全員にインタビューも実施しました。
介護職員の悲哀、宗教2世の生い立ち、環境活動に取り組むママユニットの思い、過去にいじめを経験した人の痛み、育児のモヤモヤ……参加者のバックグラウンドは実に多様で、どれもが心の奥底にある叫びそのものを感じさせたといいます。イベントは盛況に終わり、2026年には、第2回の開催も予定されています。
現在、小学6年生の息子は、学校に毎日は行っていませんが、時折給食を食べに行ったり林間学校だけ参加したりと自分のペースで過ごしています。「親子ラップもやってみたい」と下崎さん。
「初めての場合は、『リンゴゴリララッパ』とか、しりとりで1小節ずつ言葉をつなげていく即興のラップセッションでもいいし、サラリーマン川柳のようなノリで五・七・五のリズムに合わせるだけでもいいですね。アイスクリームになりきって『私は冷凍庫が住まい』といった『なりきりラップ』もおすすめです。
ラップに使うビートは、YouTubeで『フリービート』と検索すれば無料で使えるものがたくさん見つかります。韻が踏めなくても全然いい。とにかく楽しみましょう」(下崎さん)
とはいえ、実際には「うちの息子とはやらないですね。『お母さんとは無理』と言われています。ムカついてることをラップにしてくれたらおもしろいんですけど(笑)」と少し残念そうに話します。
難しく考えず、「ビートにのせてしゃべる」くらいの気軽さで。ラップは、親子の気持ちをつなぐ新しいコミュニケーションになるかもしれません。
「自分のため」が巡り巡って誰かの力になる
ラップコンテストで出会った仲間とラップ教室を開いたり、精神科医ラッパーとラップ作りのワークショップをしたり、地元・逗子の若手ラッパーとコラボしたりと、マイクラおかんの活動はぐんぐん広がりを見せていきます。
逗子では、平日の午前に利用者の少ない市施設を活用し、不登校児含め子どもたちの居場所として、ヒップホップを中心とした月1回のブロックパーティー(地域住民による音楽やダンスの祭典)を企画中です。

「いろいろな活動をしていますが、結局は、全て自分のためにやっているんです。それが誰かの力やきっかけになったら、これほどうれしいことはないですね。
将来は、ロボットやVRを活用して、家から出られなくても表現できる場も作っていきたい。心や体が不自由でも、例えばラップを作ってライブに出られるような、そんな仕組みを整えていきたいと考えています。
“場”を作るのは私のエゴかもしれないけど、選ぶのはその人。それぞれが自由に使ってくれたらいいと思っています」(下崎さん)
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ラップも、起業した夕食デリバリーサービスも、その根底には「シェアしませんか?」という下崎さんの思いを感じました。ラップで心の声を吐き出せば気持ちが軽くなる。苦手なことは誰かの得意で補い合えたら負担が軽くなる。そんな“分かち合い”の場がもっと増えると、子育てはもっとラクになり、笑顔の母親たちがもっと増えるのかもしれません。
息子の子育て、不登校を機に、親である自分自身を見つめ直した下崎さん。親ならではのつらい局面を、自らの転機に変えた彼女の歩みは、“まさに人生はゲーム”のリリックどおり、何度でもやり直せて、挑戦し続けられるものだと教えてくれています。今後の活動にも目が離せません。
●下崎 真世(しもざき まよ)PROFILE
ラッパー、イベントオーガナイザー、母親たちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」代表、“ゲームの居場所”支援。「マイクラおかん」として、2023年開催の「NIKKEI RAP LIVE VOICE」(日本経済新聞社主催)に出場。ラップ未経験ながら審査員・呂布カルマ氏の心をつかみ「審査員特別賞」を受賞。
取材・文/稲葉美映子
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♪ラップで カラを脱ぎ去る青春ストーリー♪
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稲葉 美映子
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。
下崎 真世
ラッパー、イベントオーガナイザー、母親たちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」代表、“ゲームの居場所”支援。一児の母。 「マイクラおかん」の名で、2023年開催のラップコンテスト「NIKKEI RAP LIVE VOICE」(日本経済新聞社主催)に出場。ラップ未経験ながら審査員・呂布カルマ氏の心をつかんで審査員特別賞を受賞。 以降、ラップを軸に地域イベントの企画やヒップホップを通じたセラピーや居場所づくりなどに取り組む。 ラップコンテスト「COCORO RAP CONTEST」主催。 ●Instagram「マイクラおかん」 ●Instagram「おかんの日替わりキッチン」 ●Instagram「COCORO RAP CONTEST」
ラッパー、イベントオーガナイザー、母親たちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」代表、“ゲームの居場所”支援。一児の母。 「マイクラおかん」の名で、2023年開催のラップコンテスト「NIKKEI RAP LIVE VOICE」(日本経済新聞社主催)に出場。ラップ未経験ながら審査員・呂布カルマ氏の心をつかんで審査員特別賞を受賞。 以降、ラップを軸に地域イベントの企画やヒップホップを通じたセラピーや居場所づくりなどに取り組む。 ラップコンテスト「COCORO RAP CONTEST」主催。 ●Instagram「マイクラおかん」 ●Instagram「おかんの日替わりキッチン」 ●Instagram「COCORO RAP CONTEST」