じぃじ・ばぁばと子育ての世代間ギャップを上手に埋めるコツとは?

祖父母の孫育てこんなときどうする? じぃじ・ばぁばと我が子のいい関係#1

祖父母は我が子の最高のサポーターでもあります。 写真:アフロ

祖父母が我が子をかわいがり、パパママ同様にその成長を喜んでくれるのはうれしいものです。子どもが第一子ともなれば、それはなおさら。「目に入れても痛くない」存在として我が子を大切に扱い、愛情を持ってくれていることに深い感謝も覚えるでしょう。

しかし、時には祖父母の孫育てが重荷になることもあります。豊富な経験を元にアドバイスや心配をしてくれているのはわかるものの、子育ての主役であるパパママの考えと食い違うことがあるからです。

子育ての方法や考え方は、医療の進歩をはじめ時代とともに変わってきています。現代の子育てを祖父母と上手に共有し、祖父母を我が子の最高のサポーターにするコツを、祖父母向けに現代の子育て観を伝えている孫育て・ニッポン理事長のぼうだあきこ先生に教えていただきます(全3回の1回目)。

子育ての情報はパパママが積極的に祖父母に教えてあげることが重要

時代の急速な変化に伴って、祖父母が孫育てをする上での知識や現代の教育方法などの情報が昔より取りにくく、それが育児に関する世代間ギャップにつながっているとぼうだ先生は話します。では、祖父母が置かれている今の状況とはどんなものなのでしょうか。

「現在の祖父母世代よりももっと上の世代からお話させてください。当時の祖父母は、自分たちが子育てをしている間に娘や息子に子どもが生まれ、自分の末の子どもと娘・息子の第一子がだいたい同じ時期に育つという時代がありました。

つまりこれは、子どもの存在が身近に溢れていて、家庭内で子育ての情報が自然にアップデートできた時代といえます。

世代が一代進むと、家庭内での情報共有は次第になくなっていきます。とはいえ、ご近所付き合いがまだ残っていたので、そのころの祖父母は周囲から孫育ての情報が得られました。

しかし今は、近隣との付き合いが希薄となった上に、祖父母の友達同士でも『この人とは孫の話はできない』とか『娘や息子の結婚の話も触れちゃダメ』など、情報を得る、あるいは交換するにも気を遣っている状況です。

昔のように今は自然に孫育ての情報をアップデートできない時代なので、祖父母を我が子の良きサポーターにするには、パパママが現代の子育て、あるいは自分たちの子育てについて積極的に話していく、そして祖父母世代の子育てを少し知っていくといいですね」(ぼうだ先生)

祖父母の日常には子どもの情報が昔のように溢れているとはいえません。祖父母を我が子の最高の味方にするなら、パパママの意見を含め、イマドキの子育てと我が家の方針を自分たちから伝えることが重要です。

祖父母の孫育てを上手にアップデートする2大ポイント

祖父母に現代の子育てやパパママの方針を伝えたいけれど、実の両親でも、義理の両親でも角が立つ言い方は避けたいもの。会話をする際に、パパママが心がけるべきこととは?

「私は祖父母を対象とした孫育てセミナーだけでなく、子育て現役世代のパパママともお話する機会を多く持っています。パパママからは『自分の母親(父親)だと、ついキツく言ってしまう』とか、『義母(義父)には言いにくい』という話をよく耳にします。どの方もコミュニケーションには悩まれている方が多いですね。

祖父母の孫育て情報を上手にアップデートするには少しコツが必要です。いい関係を築きつつ、自分たちの意見を伝えるには、次の2つのことを心得ておくといいでしょう」(ぼうだ先生)

■「私」で話さない
例えば、祖父母がまだ食べさせたことのないお菓子を我が子にあげてしまった場合。パパママが「私はまだ食べさせたことがないので、与えるのは待ってください」と「私」を主語にして伝えると、それこそ角が立ちます。

こういう場合は、子どもを主語にするのがポイントです。「●●ちゃんは、まだこの味を試したことがありません。徐々に教えていくので、与えるのは待ってください」という具合です。

祖父母も孫のためにならないことは控えますし、孫のためなら……と納得してくれるでしょう。

■「先生の指導です」と専門家の見解を使う
祖父母は自分たちの、あるいは自分たちの時代の子育て法は知っています。しかし、医療や子どもの研究が進んだ現代では、昔はよかったけれど今はやらない/考え方が変わったこともあります。

例えば、昔は赤ちゃんを抱っこしすぎると抱き癖がつくといわれましたが、今は抱っこをしたほうが子どもの情緒が安定して、自立が早いとされています。

「小児科の先生が抱いても問題はないし、むしろ心が安定すると言ってましたよ」と伝えれば、祖父母は安心してパパママの子育てを見守ってくれるはずです。

祖父母に伝えるコツは、我が子を主語にすることと、専門家を使うこと。 写真:アフロ

ぼうだ先生曰く、専門家の見解を使う場合は、パパママが医師などから直接、聞いた言葉でなく本で調べたり周囲から聞いた話でもOKだそう。信頼性があるなら「先生が言っていたので大丈夫です」と伝えることもテクニックのひとつです。場合によっては、噓も方便だといいます。

「祖父母から言われて嫌な感覚を覚えたり、やってほしくないことを控えてもらうには、パパママ側も武装しておくことが大切です。なぜそれをパパママが良しとしていないのか、なぜやってほしくないのか、祖父母が納得したり、安心する理由を持っておかないと、単にやめてと言うばかりでは祖父母との関係は穏やかではなくなるでしょう」(ぼうだ先生)

祖父母が子育てに口や手を出すのは、孫がかわいいという思いがベースにあります。パパママは、我が子を愛おしく思ってくれることに感謝は伝えなくてはなりませんが、現代の子育て法や譲れない方針は、伝え方のポイントを押さえつつ積極的に共有していきましょう。

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