じぃじ・ばぁばと子育ての世代間ギャップを上手に埋めるコツとは?
祖父母の孫育てこんなときどうする? じぃじ・ばぁばと我が子のいい関係#1
2022.10.18
孫育てには困ったものがあるけれど、祖父母にはどんな言い分があるの?
祖父母のお世話に違和感を覚えたり、やってほしくないことも数々あります。しかし、祖父母が孫に取った行動には何かしらの理由があるものです。パパママがその言い分がわかると、祖父母の孫育て情報をアップデートしてあげる際に役立つはずです。
ここからはパパママが感じた孫育ての「困った」の事例と祖父母の気持ち、各対処法を紹介します。また、ぼうだ先生から祖父母の皆さんへのメッセージもお伝えします。
祖父母の気持ちもわかる 孫育てのこんなときどうする?(赤ちゃんの育児編)
① 子どもが泣くと、おっぱいが足りていないからだといつも言われる!
こんなときの祖父母の気持ち→孫が泣いているから、なんとかしてあげたい
これは単に祖父母の心配の表れだと考えられます。例えばオムツが不快で子どもが泣いているなら、汚れているのは祖父母の目にも明らかなので、替えてあげれば機嫌が直ることはわかります。
しかし、そのほかの理由で泣いているときは、何が原因なのかわかりません。この例の場合は、「理由がわからない」=「おっぱいが足りていない」という言葉で表され、泣いている状況から早く孫を救ってあげたいと祖父母は思っているのでしょう。従って、パパママとしては我が子をあやすなどしてあげればいいのです。
また、こういったことを言われて嫌な気持ちになるパパママは、ご自身でも気にしているから引っかかるのだと思います。もし本当におっぱいが足りているのか足りていないのか、自分でジャッジできないのであれば、健診などで体重の増えを確認してみるのもいいでしょう。医師から子どもの健康状態に太鼓判をもらい、それを祖父母に伝えれば、彼らの言葉も気にならなくなります。
■祖父母の皆さんへ
祖父母の皆さんが気にしていることは、子育ての当事者であるパパママのほうがよっぽど心配しています。ですからこういう不安をあおる言葉かけはやめて、パパママが孫のお世話をしやすいようにサポートしてあげましょう。
② 離乳食を始めるのが遅いとか、果汁を与えないことを指摘された!
こんなときの祖父母の気持ち→昔は離乳食も果汁も早めに与えていた
まずは離乳食についてです。祖父母が子育てをしていたころは、生後4ヵ月や5ヵ月という時期から離乳食を与えるのが理想とされていました。
しかし、現在は5~6ヵ月ごろが適当とされていますが、これはあくまでも目安であり、子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて調整しましょうとなっています。祖父母に離乳食のスタートの遅さを指摘されても、我が子が食べ物に興味や関心を持ったり、嚙む力や飲み込む力が備わっているかどうかで判断するのが妥当です。
また果汁については、祖父母の子育て時代は生後2ヵ月から果汁を与える子育て方法がありましたが、現在は早い時期から果汁を与える必要はなくなっています。厚生労働省が公開している「母子健康手帳について」をみると「離乳開始前の乳児に果汁を与えることについて栄養学的な意義は認められていません」と書かれてあります。
従って、離乳食と果汁については、祖父母は現在のスタンスを知らないだけなので、昔とは違っていることをちゃんと伝えましょう。助産師や医師からそう指導されているなどと伝えると安心するはずです。
■祖父母の皆さんへ
子育ての方法は時代とともに変わってきています。現代の子育て法はパパママから吸い上げて、情報をアップデートしていきましょう。
③ 孫に会いたくて突然やってきたり、長居をされて困った!
こんなときの祖父母の気持ち→孫に会いたいし、パパママも助けたい
新生児期のころは祖父母に子どもの世話を手伝ってもらって助かったというパパママは多いものです。しかし、子どもが大きくなって生活リズムが整ったり、パパママも同世代の親と交流を持ち始めると、祖父母の行動が重荷になってくることがあります。
こういう場合は、パパママが子どもの生活時間割を作り、それを祖父母に共有しておく必要があります。遊びは15時、食事は17時、お風呂は18時、就寝は20時というように、生活の流れを伝えるべきでしょう。
また、祖父母に話すときは「●●ちゃんの健康のためにも、この生活リズムは崩したくない」と、子どもを主語にすることを忘れずに。「●●ちゃんの用事で出かけていることもあるから、来る前には連絡をください」と加えるのもいいでしょう。祖父母も孫のためだと思えば、困った行動を控えていくはずです。
■祖父母の皆さんへ
親しき仲にも礼儀ありです。パパママは孫の健診をはじめ、お友達遊び、家族の時間など、いろいろ動き回っています。訪ねる場合は、距離が近くても一報を入れ、孫の生活リズムを崩さないように時間になったら帰宅することも心がけましょう。
ちゃんと言葉にしないと、パパママの言いたいことは伝わらない
パパママは特に祖父母が実の両親の場合、自分たちの気持ちは言わなくてもわかってくれるという魔法にかかってしまいます。しかし、親子であっても、祖父母に行動や考えを変えてもらいたいことは言葉にしないと伝わりません。
「祖父母との会話は、誰から伝えるか夫婦で話し合っておくことも必要です。一般的に自分の親とのコミュニケーションのほうが多少、気が楽なので、それぞれで役割を分担しておくのもいいでしょう」(ぼうだ先生)
役割を決めたにもかかわらず、パパが祖父母との会話を延ばしていたりすると、行動を起こさないパパへの怒りが、いつの間にか祖父母への怒りにシフトすることがあるとぼうだ先生はいいます。
夫婦間で決めた役目はそれぞれがしっかりと守りつつ、祖父母には子どもを主語にして話すことと、専門家の見解を交えることを基本に、祖父母と我が子のいい関係を築いていくことが大切です。
次回は「孫育てのこんなときどうする? 幼児期以降編」や、子育てのルールや方針を祖父母に伝える前に夫婦でやっておきたいことなどを紹介します。
ー◆ー◆ー◆ー◆ー◆ー◆
ぼうだ あきこ
NPO法人孫育て・ニッポン理事長。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。一般社団法人 産前産後ケア推進協会幹事。育児雑誌や医療系媒体の編集、育児サイトの立ち上げを行う運営・企画会社などに転職する。企画会社での新規部門立ち上げを経て、独立。現在は赤ちゃんを迎える家族が、祖父母を含めより良い関係を築き、子どもたちが健やかに育つ社会を目指すべく、祖父母及び子育て現役世代に向けて講演や執筆活動等をしている。
【主な著書や監修書】
『新米祖父母の教科書 孫育て一年生』(KADOKAWA)
『ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て』(家の光協会)
『祖父母に孫をあずける賢い100の方法 祖父母も孫もママもみんなハッピー』(岩崎書店)
取材・文/梶原知恵
『新米祖父母の教科書 孫育て一年生』(KADOKAWA)
『ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て』(家の光協会)
『祖父母に孫をあずける賢い100の方法 祖父母も孫もママもみんなハッピー』 (岩崎書店)
梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。