【成長段階別】「子どもの食の困りごと」Q&A 尽きない悩みをズバリ解決!

人気食育講師・とけいじ千絵先生「子どもの“繊細な味覚”の育て方」#4

フードアナリスト:とけいじ 千絵

子どもの食の悩みも十人十色です。  写真:アフロ
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「味覚」に特化した食育講座を開催し、これまで多くの親に味覚を育てるメソッドを教えてきた、フードアナリスト・食育スペシャリストの、とけいじ千絵先生。

子どもの頃の食事は、その後の人生にも関わる味覚のベースをつくるため、特に大事であると言います。しかし、味覚が敏感で、自我も芽生えてくる幼少期は、子どもの食に関する悩みは尽きないもの。

連載第4回では、好き嫌い、少食、食べ過ぎなどの子どもの食に関するものから、メニューを考えるのが大変という親自身のものまで。食にまつわる様々な悩みについて、先生に伺うことにしました。(全4回の4回目。#1#2#3を読む)

離乳期のQ&A

Q1:子どもは少食で量をあまり食べません。栄養が足りているか心配です。

A1:「食べやすさ」と、「ポジティブな食体験を積み重ねる」ことを意識してみましょう。

まず、少食の子には、食べやすい大きさや形にしてあげることが大切です。食べやすくすると、少しずつ食べる量が増えることが多いですね。栄養が心配な場合は、視点を変えて、量ではなく“質”にこだわってみてください。

また、少食だからといって「どうして食べないの?」「また残したんだ」などネガティブな言葉をかけないようにしてください。子ども自身、自分があまり多く食べられないことに劣等感を抱いていることもあるので、責めるような言葉をかけてしまうと、さらに食事に対してネガティブな印象を持ってしまいます。

完食できるくらいの分量を盛り付けて、完食したら褒めること。小さな頃に少食でも、中学生や高校生になったら驚くほど食べるようになることもあります。そのため、焦らず、無理に食べさせようとしないようにしましょう。

Q2:いつもメニューがワンパターンになってしまいます……。

A2:味付けは変えなくてもいいので、食材を変えてみて。

たとえば、肉じゃがのじゃがいもをさつま芋に変えてみる。豚肉から鶏肉に変えてみる。ほうれん草のごま和えであれば、ほうれん草をきゅうりやインゲンに変えてみる。繊細な味覚を育てるという視点では、さまざまな味を経験することが大切ですので、レシピ全部を丸々変える必要はありません。

また、どの食材に変えたらいいか迷ったら、ぜひ旬の食材を使ってみてください。食材本来の味が濃い、栄養分は高い、安い……など、メリットばかりです。

Q3:お出かけが多いので、市販のベビーフードを食べさせてもいいですか?

A3:もちろんOK! お家の食事以外の味を体験できる良い機会です。

ベビーフードは、味付けも子ども向けに控えめにしてあったり、さまざまな食材を使っていたりするので、活用していいと私は思います。栄養面での偏りが気になるようであれば、蒸し野菜を少量プラスしてあげるといいかもしませんね。

幼児期のQ&A

Q1:野菜の好き嫌いが多いのですが、どうすれば克服できますか?

A1:まず、好き嫌いは感性が豊かな証拠ととらえるようにしましょう。

苦味や酸味、匂いなどをしっかりと感じられているので、鈍感というよりは繊細な味覚を持っているといえます。その野菜が食べられなくても、別の食材で栄養をとれば問題ありませんし、大人になったら食べられるようになることもあるので、あまり深刻にとらえないでほしいということを第一に伝えたいです。

そのうえで、克服する方法を紹介します。まず、たくさん食べなくてもいいので、小指の先くらいの量を盛り付けて出しましょう。幼少期の好き嫌いは移ろいやすいため、経験を積み重ねることで、ある日急に食べてくれるようになることもあります。

そして、ひと口でも食べたら、「すごいね!」と必ず褒めるようにしてくださいね。その食材に対する気持ちを、ネガティブなものからポジティブに変えることも、好き嫌い克服には有効だからです。

また、苦味が苦手な場合は、甘味や脂肪の味を足すと、かなり食べやすくなるのでおすすめです。たとえば、ほうれん草が苦手なら、炒めた玉ねぎも一緒にミキサーにかけて、ポタージュに。最後に、牛乳を少し混ぜたり、粉チーズをかけたりするとなお良いですね。

玉ねぎの甘味と、牛乳・チーズの脂肪分が加わることで、まろやかになり、食べやすくなります。

Q2:偏食がひどく、同じものしか食べません……。

A2:何度も食卓に出したり、一緒に育ててみたりするのも◎。

偏食の子は、見慣れないものを怖がる「新奇恐怖」が強い場合が多いです。そのため、食材に慣れさせてあげることが大切。まったく食べなくても食卓に出し続けるようにしてください。慣れてきたら、少しずつ口にしてくれるようになりますよ。

また、野菜を一緒に育ててみるのもおすすめです。その食材に慣れてくると、だんだんと恐怖心が薄れ、やがて食べられるようになっていくケースも多いです。

育てた野菜を食べる際、大人が先に食べるのを見せると、子どもの新奇恐怖もやわらぎます。  写真:アフロ

Q3:いつも食べ過ぎてしまうのですが、食事の量を制限した方がいいですか?

A3:嘔吐などの不調がない、お菓子ではなく食事をたくさん食べているのであれば、問題ないです。

離乳期〜幼児期は、満腹中枢が発達しきっていないために食べ過ぎてしまうこともよくあります。よく食べる子も、4〜5歳になると落ち着くことが多いので、あまり深刻にとらえないほうがいいでしょう。

しかし、明らかに肥満傾向にある場合や、4〜5歳以降になっても食べ過ぎが落ち着かない場合は、しっかりと噛んで食べてもらうようにしてください。

時間のある休日などに、「噛む力を鍛える日」を設けて、30回は噛んでもらうようにしましょう。ゆっくり噛むことで、満腹中枢が満たされ、食べ過ぎがおさまるはずです。

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