⑤挫折した本の墓場をつくっておく
お気に入りの本を飾るのに対し、逆のアクションも提案します。
「読んではみたものの、結局は挫折(ざせつ)してしまった本は誰にでもあるものです。しかし、それは人に言いにくいことでもあります。
だからこそ、そんな現実を逆手にとって、挫折した本を置いておく《挫折本の墓場》をつくるんです」(印南さん)
置き場を決めて、そこに置いておけば、また気が向いたら手に取れるかもしれません。
「置いた人にとってそれは《墓場行きの本》でしかありませんが、でも、家族の誰かはそれを『おもしろそう』と感じるかもしれません。そうなったとしたら、その本は墓場から抜け出すことができます」(印南さん)
家族のなかで本が循環するきっかけになるのです。
「我が家の長男は28歳。ゲームのデザイナーで、都内で一人暮らしをしています。たまに自宅に帰ってきたときに、僕の不要本のなかから、気になったものを持って帰って読んでいますよ」(印南さん)
その読書にはやりがいがあるか
いずれのゲームでも、手作りのポイントカードを作ったりして、読書に「やりがい」を添えましょう。
「ポイントをためると、ジュースが飲めるとか、家族内で権限が増える(お手伝いが1回休める)とかの特典をつくりましょう。
大切なのは《きっかけ》です。物が目的だったとしても、読んだ本の記憶は必ず残ります。
そして、その記憶が役に立つタイミングが、将来的に間違いなく訪れます。たとえばなにかの選択を迫られたとき、かつて読んだ本の主人公の判断を思い出すとか」(印南さん)
読書をすることが「楽しい」「心地よい」、そして「やりがいがある」ようになると、読書は習慣化してきます。印南さんの提案するゲームメソッドは、本とともに生活するカラクリをつくりあげていく、とっておきの方法なのです。
次回は、ライター家族が印南さんの「読書ゲームメソッド」に挑戦! 小2・小4男子と一緒に取り組んだ約1ヵ月をレポートします!
印南敦史(いんなみ・あつし)
作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年、東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。さまざまなメディアで書評欄を担当し、読書量は年間700冊以上。2020年には、“日本で一番”を認定するサイト「日本一ネット」において「書評執筆本数日本一」に認定された。読書や文章技術、音楽に関する著書多数。
取材・文/遠藤るりこ
※印南敦史さん「読書ゲームメソッド」インタビューは全4回。第4回は2022年8月7日公開です(公開日時までリンク無効)。
#4 読書感想文を最後に残さない! 本好きになる「読書ゲーム」を家族でやってみたら…
#1 小学生の「不読者」30%時代 子どもの読書量を増やす“読書ゲーム”とは?
#2 本の1%が印象に残れば大成功 「悪口ゲーム」で子どもの読書コンプレックスをなくす
#3 朝読書から本の墓場?まで 夏休みに子どもを読者好きにするスゴいテクニック
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
印南 敦史
作家・書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年、東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。 もともと超・遅読家だったものの、ビジネスパーソンに人気のウェブ媒体「ライフハッカー[日本版]」で書評を担当することになったのをきっかけに、大量の本をすばやく読む方法を発見。土日祝日を除く毎日書き続けている同サイトの連載「印南敦史の毎日書評」は、2022年8月で11年目を迎える。 「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「マイナビニュース」などでも書評欄を担当し、年間700冊以上という読書量を誇る。2020年には、“日本で一番”を認定するサイト「日本一ネット」において「書評執筆本数日本一」に認定された。書評以外の記事も、「文春オンライン」「論座」「e-onkyo music」などに寄稿。 著書に『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(以上、星海社新書)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『遅読家のための読書術』(PHP文庫)などのほか、音楽関連の書籍やエッセイなども多数。
作家・書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年、東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。 もともと超・遅読家だったものの、ビジネスパーソンに人気のウェブ媒体「ライフハッカー[日本版]」で書評を担当することになったのをきっかけに、大量の本をすばやく読む方法を発見。土日祝日を除く毎日書き続けている同サイトの連載「印南敦史の毎日書評」は、2022年8月で11年目を迎える。 「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「マイナビニュース」などでも書評欄を担当し、年間700冊以上という読書量を誇る。2020年には、“日本で一番”を認定するサイト「日本一ネット」において「書評執筆本数日本一」に認定された。書評以外の記事も、「文春オンライン」「論座」「e-onkyo music」などに寄稿。 著書に『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(以上、星海社新書)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『遅読家のための読書術』(PHP文庫)などのほか、音楽関連の書籍やエッセイなども多数。