<今ない仕事クイズ>このうち、もう生まれている仕事はどれ?

①おいしい薬シェフ ②自由研究投資家 ③どこでも発電マン

「今ない仕事」始めた人図鑑 ファイル1 自由研究投資家

株式会社リバネス
藤田大悟さん

「大人の方には自由研究で子どもに『何をやらせるか』という発想を捨てることをオススメします。子どもたちに大事なのはQ(クエスチョン)とP(パッション)。自分の中からあふれ出た『なぜだろう』や『やってみたい』でないと子どもたちは、動こうとは絶対に思わないです」

と、藤田さん。幼い頃から科学好きで、大学時代は科学イベントサークルを立ち上げたり、日本科学未来館ボランティア1期生として活動しました。
その中で、キラキラした目で科学実験に挑む子どもたちに出会い、「科学は人を感動させる。それを伝えるコミュニケーターの役割を担いたい」と考えたそう。それでそのような仕事を創りたいと思い、大学の先輩たちが立ち上げたリバネスに2003年に参画しました。

「以前なら、『自由研究』は、子どもたちの教育のためだけだったかもしれません。今の時代の子どもたちには、新しいものを生み出す力がある。大人たちがやってほしい研究にではなく、子どもたちが解決したい課題に対して投資するのが、未来を発明するような次世代を育てるのに一番いい方法だと考え、各企業と動き始めました」

リバネスで研究を楽しむ子どもたち

リバネスは、機械要素部品メーカーTHK株式会社と、2017年から「サイエンスキャッスル研究費THK賞」を実施。THKの機械要素部品を活用して、世の中の課題解決をするものづくり研究テーマを募集しました。「点字プリンター」「可動式降雨装置」など、毎年10件のユニークなアイデアが採択されています。採択された中高生には研究費と、社員が技術アドバイザーとして半年間、ものづくりを支援します。

「給仕ロボット・ペンちゃん」でサイエンスキャッスル研究費THK賞を受賞した、立崎乃衣さん(当時中学生)

中学生の時に、客席まで料理を運ぶ約150センチの高さの大型ロボット「給仕ロボット・ペンちゃん」を採択された立崎乃衣(たつざきのい)さんは、高校生になった昨年、ロボットの部品製作のために購入した3Dプリンターを使って、新型コロナウイルスの感染防止のための「フェイスシールド」を製作。医療現場や介護施設に寄贈しました。THK賞に応募することで初めて、誰かの困り事のために自分の技術が役に立つという喜びを知り、フェイスシールド製作に至ったそう。

「自由に研究をさせることで、子どもたちの可能性は飛躍的に広がります。世の中を変えようとしているベンチャー企業の方々や研究者を多く見てきましたが、皆『好き』を究めている人たちです。『好き』を究めた上で、その情熱と世の中の課題を結びつけ、世の中を変えようとしている。今後子どもたちに重要なのは、『好きを究められる』力です」
と、藤田さん。けれども、「うちの子、飽きっぽいし、好きなものがない」と悩む保護者の方も多いのではないでしょうか? そんな保護者の方々に、藤田さんからのアドバイスは?

「最初から『これがものすごく好き』という子はそんなにいません。やってみるからどんどん好きになっていくんですね。小さいことでもいいでので、子どもたちが面白いと思ったことに、一歩踏み出せる機会を作っていくのが、大人の役割ではないでしょうか。そして、ぜひ子どもたちと共に、楽しみながら学ぶという姿勢を持ってほしいと思います」

今までの常識が通用せず、何が正解かわからない現在。親が「これが最善策だ」というレールを敷いてオーケーというわけにはいかないようです。自由研究も子どもの興味のあることを、大人も一緒に楽しんで学んでいけると良いですね!

<今ない仕事図鑑シリーズ>の最新刊『SDGsでわかる 今ない仕事図鑑ハイパー ~自分の才能発見ブック~』は、わくわくする未来を考えるための本です。「今ない仕事」を考えたり、弱みも強みも才能になる、「のびのび脳」を育てるワークショップで、やりたいこと見つけてみませんか?
(取材・文/今ない仕事取材班)

●読者と共に考えた146の「今ない仕事」を掲載。
●まんがで、身近でわかりやすく理解できます。
●今ない仕事を始めた人のインタビューを掲載。
<オードリー・タンさん(台湾デジタル担当政務委員)、山崎直子さん(宇宙飛行士)、山口周さん(独立研究者)、流郷綾乃さん(株式会社ムスカ前代表)、吉野彰さん(ノーベル化学賞受賞者)

オードリー・タンさんも登場!
『SDGsでわかる 今ない仕事図鑑ハイパー ~自分の才能発見ブック~』(講談社)

◆この夏、子どもと一緒に応募しよう! <あなたの考えた「今ない仕事」大募集>

本書の刊行を記念して、<あなたの考えた「今ない仕事」大募集>キャンペーンを実施します。
夏休みの自由研究に「今ない仕事」を作って、応募もしちゃいませんか? 
「未来にはこんな仕事が生まれそう」とか「こんな仕事があったら社会が良くなるかも」など、思い切り空想の翼を広げてみてください。もっと優しい社会、ワクワクする未来を創る「今ない仕事」をお待ちしています!

◎応募期間:2021年7月21日~9月10日

◎副賞

【今ない仕事大賞】(1名) 図書券1万円分
選考委員 澤井智毅(WIPO<世界知的所有権機関>日本事務所長)

【自由研究投資家SDGs賞】(2名) 図書券5000円分
選考委員 藤田大悟(株式会社リバネス)

【今ない仕事取材班賞】(10名) 図書券3000円分
選考委員 上村彰子と今ない仕事取材班


◎発表 上記のサイト上で行います。

【関連記事】日本の10代の天才たちが「ものスゴい研究」で世界を驚かせている…!(現代ビジネス 2020年8月17日掲載)

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今ない仕事取材班

講談社内の主に10代の子どもを持つ編集者によって構成。「働くこと」について子どもたちへどのように教えたら良いか、また、古い常識にとらわれない新しい知識の必要性を感じ、<今ない仕事図鑑 >シリーズのプロジェクトをスタート。 Twitter: @work_imanai

講談社内の主に10代の子どもを持つ編集者によって構成。「働くこと」について子どもたちへどのように教えたら良いか、また、古い常識にとらわれない新しい知識の必要性を感じ、<今ない仕事図鑑 >シリーズのプロジェクトをスタート。 Twitter: @work_imanai