子どもを伸ばす「STEM教材」VEXロボティクス 「プログラミング・プレゼン・コミュニケーション」力がつく理由
注目のアメリカ発STEM教材「VEXロボティクス」 #1 VEXの仕組みと4つのカテゴリについて
2024.01.31
スクールではさまざまなスキルを身につける
──VEXは、どこで学ぶことができますか?
市川さん:私が運営している「DOHSCHOOL」では、入門コースとして「VEX専攻」を設けています。全12回のコースで、教材は「VEX GO」を使用します。
最初の1~4回は作って動かし、ロボティクスを体験。次の5~8回はロボティクスの基本「製作・機構」「制御・プログラミング」の2つから、興味のあるテーマの発展課題に取り組みます。
9~12回は、ほかの子どもたちと共にVEXスクリメージ(練習試合)に挑戦し、さまざまなスキルを身につけるというコース内容です(小学生コース、週1回/月4回1万5400円~)。
市川さん:「VEX 123」や「VEX GO」のキットを個人購入し、自宅などにて親子で楽しむという方もいらっしゃいます。「VEX IQ コンペティション」に出たい場合は、2名以上でのチーム参加がマストなので、「VEX IQ」を共同購入のうえチームを組み、公民館などの場所を借りて練習し、コンペティションに参加するという”ガレージチーム”も、日本国内で少しずつ増えてきています。
──ガレージチームの場合、指導者はどうなるのでしょう?
市川さん:VEXは「大人は誰でもコーチ、メンターになれる」と謳っています。このメッセージには「大人も、子どもと一緒にVEXを紐解こう」という意図が込められています。
例えば、大人が一方的に教え、子どもが言われたとおりに学ぶというスタイルではなく、子どもが学びたいこと、知りたいこと、解決したいことを、大人のコーチやメンターが一緒に考え、子どもたちの試行錯誤の様子を見守るというかたちです。
『DOHSCHOOL』は教室ですので、スタッフはプログラミングに長けている人が多いですが、僕自身はプログラマーというわけではありません。
ですが、VEXは世界中で使われている教材なので、インターネット上で、ものすごい量の説明書や学び方、アクティビティ、分からないときの逆引き事典など、情報が豊富に見つかります。
もちろん英語での記事がほとんどですが、今は翻訳ツールなどがすぐ使えますから、子どもたちでも調べることができます。また、友だちや先輩に相談する、大会で出会った仲間、大会で起きた出来事から学ぶということも大いにあります。
自分たちのロボットに何か問題が起きたら、子どもたち自身が「どうして、こうなるのかな?」と考える。そして自分で調べ、解決の糸口を見つける。トライ&エラーを繰り返し、より精度の高いロボットを作る。ロボットやプログラミングが好きになれば、子どもたちは自分で課題を見つけ、自主的に取り組みます。
モノづくりは、事前に綿密な計算、設計をして製造し、完成作を仕上げるスタイルと、ひとつ仮説を立て、まずプロトタイプを作ってみて、それを改良しながら完成を目指すスタイルがありますが、VEXが推奨しているのは後者。スクラップ&ビルドを繰り返し、よりよいものを作ろうという姿勢です。
この姿勢が身につくと、実生活で何かトラブルやアクシデントが起きた場合も、「Aがダメなら、Bでどうだろう?」と、柔軟な思考で対応することができるようになります。VEXという教材は、単にロボット製作やプログラミングができるようになるだけでなく、こういった思考の成長も促すことができるのです。
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今回は、市川さんにVEXの4つのカテゴリや仕組みについて解説していただきました。自主性が育つVEXは、チームプレイも魅力のひとつ。次回2回目では、VEXの柱のひとつ、コンペティションについて、引き続き市川さんに詳しく教えていただきます。取材・文/木下千寿
撮影/日下部真紀
VEXの連載は全4回。
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(※2回目は2024年2月1日、3回目は2月2日、4回目は2月3日公開。公開日までリンク無効)
木下 千寿
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。