VEXロボティクスの「コンペティション」は世界3000チームが参加! 子どもの「非認知能力」が身につくスゴい中身

注目のアメリカ発STEM教材「VEXロボティクス」 #2 世界規模の「コンペティション」(競技大会)について

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2023年11月26日昭和女子大学で開催されたVEX大会の様子。  写真提供:市川晋也

世界70ヵ国の子どもたちや教育者が熱中している話題のSTEM教材「VEXロボティクス(以下、VEX)」。

連載2回目では、VEXの大きな特徴のひとつでもあるコンペティション(競技大会)について。1回目に引き続き、VEXの販売代理店・『サンエイロボティクス』の代表で、世田谷区駒沢にあるプログラミングスクール「DOHSCHOOL」の運営にも携わる、市川晋也さんに詳しく解説してもらいました。

(全4回の2回目。1回目を読む

コンペティション(競技大会)は年齢別3つの大会が

──VEXは、世界規模で「コンペティション」(競技大会)が開催されているのも特徴ですね。

市川晋也さん(以下、市川さん):そうですね。ロボティクス・エデュケーション・アンド・コンペティション財団が開催するロボット競技大会には、小中学生を対象とした「VIQRC(VEX IQ ロボティクス コンペティション)」と、中学・高校生を対象とした「VRC(VEXロボティクス コンペティション)」、そして大学生を対象とした「VEX U」の3つの大会があります。

VEXの販売代理店・『サンエイロボティクス』の市川晋也さん。世田谷区駒沢にあるプログラミングスクール「DOHSCHOOL」の運営にも携わっています。  撮影:日下部真紀

市川さん:毎年4月下旬から5月上旬にかけて、アメリカでVEXの世界大会が開催されます。2023年の世界大会では、すべての大会を合わせると、約3000チームが参加しました。

そして世界大会の最終日に、翌年の競技内容が発表され、次の新シーズンの開幕となります。

ちなみにVIQRCの2023‐2024年の競技テーマは「Full Volume」。大会では以下のフィールドが使われています。

2023‐2024のVIQRCの競技テーマ「Full Volume」のフィールド。  撮影:日下部真紀

市川さん:制限時間は1分。フィールド内に散らばる緑、紫、赤のブロックを、四隅にある箱に入れると、得点が加算されるという内容です。

単に箱に入れればいいというのではなく、同じ種類のブロックを複数入れるとボーナスポイント、ブロックが一定の高さを越えるとボーナスポイント、といった細かなルールもあります。

新しいフィールドが発表されると同時にルールブックも出るので、大会出場を希望するチームはルールブックを読み込んだうえで、自分たちはどのような特性をもったロボットを作り、どのように戦うか、チームで作戦を練っていきます。

当日ランダムに選ばれたチームで戦う

──競技内容も、ほかのロボコンにはないスタイルですよね。

市川さん:競技は大きく分けて2つあります。「チームワークチャレンジ」は、競技会当日にランダムで選ばれた2チームがペアを組み、1チームとなって協力して高得点を狙います。

2チームで獲得した得点が、それぞれのチームの得点になります。ロボットの特性がまったく異なる2つのチームが、力を合わせ同じミッションにトライする。これが、面白いところかなと思います。

ペアを組むチームが発表されると、お互いのロボットはどんな特長があるのか、どんな戦略を取ればより高得点を稼げるか、チーム同士でコミュニケーションを取ることから始まります。お互いの強みを生かし、弱いところはフォローし合い、より高得点を稼ぐにはどうしたらいいのかを話し合って、空き時間に練習を繰り返すのです。

↑2台のロボットで協力し、同じミッションに挑む「チームワークチャレンジ」。手前と奥にロボットが見える。  写真提供:市川晋也

トラブルやアクシデントもすべて子どもたちで対応

市川さん:もうひとつが「ロボットスキルス・チャレンジ」。制限時間1分の中で、コントローラー操作によるドライビング技術で得点を競う「ドライビングスキルスマッチ」と、プログラミングによる自律走行のみで得点を競う「プログラミングスキルスマッチ」の合計点を競います。

コンペティションの場合、大会に行く前の準備も大事です。『DOHSCHOOL』では、会場には何をどれだけ持っていくのか。どうやって運ぶのか。コーチやメンターといった大人が用意するのではなく、全部自分たちで考えて揃えます。

また当日には、インスペクション(車検)があり、ロボットのサイズやモーター数、VEXのパーツだけで作っているかなど、車検係からチェックを受けます。こういったやりとりも、すべて子どもたち自身に委ねられています。

大会の現場でロボットにトラブル発生といったアクシデントが起きた場合にも、大人は一切介入しません。子どもたちはすべて自分たちでどうするかを考え、行動し、試合に臨むのです。

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