だんだんと気温が上がる初夏〜夏は、子どもが外で遊びたくなる季節。緑も生い茂り、虫も活発になるので、自然観察に出かけてみてはいかがでしょうか。
見慣れたいつもの散歩道や、通学路、公園でも、ちょっと目を凝らしてみると、そこには豊かな自然が広がっています。そして、様々な草花や生き物に注目してみると、面白い発見がたくさんあります。
そこで、連載第1回となる今回は、「街中で見られる草花」をテーマとした自然観察術を、NPO法人・自然観察大学にて講師を勤める飯島和子先生に伺いました。
飯島和子先生は、秀明大学の非常勤講師も勤めるかたわら、田舎暮らしを行ない、自然と共生できる農業を日々研究されています。
都会でも見つけられる植物の自然観察のポイントに加え、その草花を使った遊びも教えていただきました。(全4回の1回目)
一度は見たことある!? 身近な野草・カラスノエンドウ
カラスノエンドウは、道ばたや土手などに生えるマメ科の仲間。蝶のような形の赤紫色の花を咲かせます。葉のつけ根にある器官からは、甘い蜜を分泌し、アリを引き寄せることで、害虫から身を守っているのです。
(基本情報)
分類:マメ科ソラマメ属
大きさ:草丈50〜90cm、花の大きさ1〜1.5cm
見られる時期:4〜6月
見られる場所:道ばた、田畑の周辺、土手など
【観察ポイント】他の草花にからみついたり、隣り合わせで支え合いながら育つ
カラスノエンドウは、茎が細くて柔らかいため、自分自身で立つことができません。そのため、周囲の草花に、葉先にある巻きひげをからませながら成長していくのです。カラスノエンドウを見つけたときには、周囲にある草花に自分自身をからませている様子を観察してみると面白いですよ。
【遊びアイデア】パチッと弾ける自然の爆弾! 「たね爆弾」
5月末〜6月頃、実が熟して黒くなったさやを指でつまむと、種がパチパチっと弾けます。この特性を利用して、自然の「たね爆弾」で遊んでみましょう。黒いものでも、完全に熟していないものは弾けない場合もあるので、頃合いの良いさやをお子さんと一緒に探してみてください。
今も昔も人気な花 セイヨウタンポポ
道ばたや公園などでよく見られるセイヨウタンポポ。日本全国で見られますが、実はヨーロッパが原産の外来種です。ギザギザした葉の形がライオンの歯に似ていることから、英名では「ダンデライオン」といいます。
一番よく見られるのはこのセイヨウタンポポですが、そのほかにも様々な種類があるのを知っていますか? 例えば、関東地方に分布する「カントウタンポポ」、関西・四国地方に分布する「カンサイタンポポ」、北日本に分布する「エゾタンポポ」など。
地域ごとの名前がつけられているのが特徴です。それぞれ、茎の太さや花の下にある総苞(そうほう)の形などに違いがありますが、現在では様々な種類が交雑しており、純粋な種類を見つけるのは難しいともいわれています。
(基本情報)
分類:キク科タンポポ属
大きさ:草丈10〜50cm、花の大きさ3〜5cm
見られる時期:4〜6月 ※ただし真夏以外は一年中咲きます。
見られる場所:日当たりのいい道ばた、空き地、草むらなど
【観察ポイント】タンポポの花は、複数の小さな花の集まり
タンポポの1つの花に見える部分は、舌状花(ぜつじょうか)という小さい花がたくさん集まってできています。このような、複数の花の集まりを頭花(とうか)と言います。タンポポのほかにも、ノアザミやヒメジョオンも頭花を持っていますよ。タンポポを見つけたときには、頭花を分解して、いくつ舌状花があるかを数えてみるのも楽しいかも!?
【遊びアイデア】身につければお姫様気分♪ 「花の指輪とネックレス」
<作り方>
指輪:茎を10cmくらいにカットし、輪っかをつくり、茎に2回ほど巻き付けます。
ネックレス:タンポポを数本用意し、茎の中間から下あたりのところに穴を開けます。その穴に、ほかのタンポポの花を通します。これを数本繰り返せば、完成!