海外の投資家を 相手としたビジネスの現場で、「日本人はいつも控えめ。話す力やプレゼンでアピールする力が弱くてもったいない!」という思いを抱いていた竹内明日香さん。
第3回は幼稚園で実際に行っている「出前授業」の様子をご紹介。さらにオンラインが当たり前となった、今のデジタル時代に必要な力についても教えてもらいました。
自信がプレゼン力向上につながる
未就学児に行うプレゼン力講座とは、一体どんなことをするのでしょうか?
竹内明日香さん「プレゼン力講座とは、話す力を鍛える講座と捉えなおしていただければわかりやすいかと思います。未就学児はまだプレゼンを経験するのには幼いと思われるかもしれませんが、この時期に話すことの楽しさを知るとその経験は一生の力になります。
講座ではまず、発声練習をはじめとした体を準備する時間を持ちます。その後、グループワークをして、最後にみんなの前でそれぞれのプレゼンを発表する形をとります。自分の名前→好きなもの→なぜそれが好きか、などを話してもらい、子どもによっては話題を追加していきます。長い子だと1分半ぐらい話す子もいますよ。大人でも1分半のスピーチは長い時間だと思います」
竹内さん「そんなに長いスピーチができるの? と驚く方もいると思いますが、子どもたちはちゃんと自分の考えを持っていてスピーチができます。最初からできない子に対しては、『さっきこう言っていたよね』と、プレゼン準備段階でその子がスタッフに話していたことをささやいてあげて、子どもはその通りに話していきます。極端な話、最後までずっとスタッフのささやくお手伝いがあることもまれではありませんが、それでもいいのです。プレゼン内容はその子の話ですし、子どもは『自分はできた!』と自信を持ちます。
また、英語のプレゼン講座をすることもあります。幼児はまだ英語と日本語の差に抵抗がないので、むしろ大人よりもよくできます。マララ・ユスフザイさんの国連でのスピーチのフレーズをそのまま暗唱して、『英語でスピーチしちゃったもんね!』と、自己肯定感にあふれた顔になるお子さんもいらっしゃいました(笑)。
もちろん恥ずかしくて、人の前にも立てないという子も実際にはいるのですが、後で『先生の前でやってみたらできた』『うちに帰ってからママの前でできた』ということをよく聞きます。そのとき、その場でできなくても、体験することが大切。私はいつも「先ほどみんなの前でできなくても、後で先生の前でできたら褒めてあげてください」と帰り際に幼稚園の先生たちへ伝えるのですが、ほとんどの子は上手にできるようになっているそうです」
いい声がでるとプレゼンもうまくいく!
では幼稚園の授業でやっている発声の準備運動を教えてもらいます。竹内さんには実際に講座で子どもたちへ話している声かけをしていただきます。ご家庭でも同じようにお子さんへ声かけをして、発声の参考にしてみてください。
竹内さん「さあ、はじめますよ! まず、足を肩幅くらいに開いてから、肩を前から回して後ろにストンと落とします。逆向きをやるとオランウータンになりますので気をつけてくださいね。 頭のてっぺんの髪の毛を真上から引っ張られているような気持ちで姿勢を正します。
その姿勢のまま、みなさん大きな木になっています。足からにょろにょろと根が生えて、どんどん生えて、みなさんの体は幹、手は枝になります。
次に、呼吸で大切なことをお話します。呼吸の呼(こ)は『吐く』という意味です。だから呼吸は“吐いてから、吸う”のが基本です。おへそから指四本下の『丹田(たんでん)』という場所にぐっと力を入れながら、口から6秒間吐きます。吸うときは鼻からは2秒間すっ、すっ、と吸います。これをするとホッとする効果がありますよ。ピアノの発表会やサッカーの試合の前など、もし緊張するときがあったら試してみてくださいね」