赤ちゃんからはじめよう! 家庭でもできる「プレゼン力向上講座」

プレゼンアドバイザー・ 竹内明日香さん#2 子どもの成長別「話す力」「伝える力」を鍛える方法

プレゼンアドバイザー:竹内 明日香

アルバ・エデュのスタッフ。認定資格を持ったスタッフたちが、出前授業を届けています。 画像提供:アルバ・エデュ
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海外の投資家を相手としたビジネスの現場で、「日本人はいつも控えめ。話す力やプレゼンでアピールする力が弱くてもったいない!」という思いを抱いていた竹内明日香さん。
強い危機感を抱き、話す力を鍛えることを広めるべく、一般社団法人アルバ・エデュを立ち上げ、現在は“未就学児から大人までを対象にしたプレゼン能力を鍛える“出前授業”(教員以外の社会人講師、または企業などが学校に出向いて授業をすること)を行っています。

第2回では、赤ちゃんの頃から家庭でも始められるプレゼン力の鍛え方を教えてもらいます。

赤ちゃんから鍛えられるプレゼン力

「プレゼン力は赤ちゃんの頃から鍛えられます」と竹内さん。

竹内明日香さん「プレゼン力=話す力です。赤ちゃんも、言葉は話せないけれど、本当は言いたいことがあるんですよね。例えば、赤ちゃんが『うー』と喃語(なんご)を発したら、『‟うー”なの!』と大げさなぐらいに反応してあげるんです。そして、その都度反応してあげることがとても大切です。すると赤ちゃんは、自分の発しているサインが認めてもらえたという安心感を抱き、情緒の安定につながります。抱っこして、『あーなの!』『うーなの?』とコミュニケーションを図ってみましょう。

2~3歳ぐらいになると、夕方の忙しい時などに『ねぇ!見て!見て!』と言われることがありますよね。育児書には、“その時は料理の手を止めて相手をしてください”と書いてあるかもしれませんが、まあ、それがなかなか難しい(笑)。そんなときは『今、見られないけど、きちんと聞いているからお話してみて』、とか、『大きな声で叫んで!』と言ってみましょう。『話して!』と言われた子どもは否応なしに言語化しないといけなくなります。実はここがポイント。話す力もつくし、親も手を離さなくてよい。一石二鳥の方法なんです」

子どもから大人まで、プレゼン力を磨くための講座を開催するアルバ・エデュ代表理事・竹内明日香さん。  撮影:森﨑一寿美

お父さんは牛乳ではない!?

さらに「子育て中の親子のささいな会話の中に大切なことが隠れている」と言います。

竹内さん「よく、『お父さん、牛乳』や『お母さん、鍵』と、子どもが欲しいものをそのまま言うことがありますよね。それに対して『お父さんは牛乳じゃありません、ちゃんと“牛乳ください”って言おうね」と返しますよね。実はこれ、些細なことですが、プレゼン力を鍛えるためにはとても大切なことなんです。

絵本の読み聞かせもプレゼン力を鍛えるいい機会です。絵本を読んであげた後に、『どう思った?』、『なんでそう思ったの?』と子どもに聞いてみてください。そうすると、考える力やまとめる力、言語化する力がついていきます。

できれば、読み聞かせる本の数を3冊から1冊に減らしてでも、読んだ後に子どもの思いをお父さん、お母さんは聞いてあげてほしいと思っています。それは、ほんのワンフレーズかもしれませんが、探究心を持ったり自分の経験に照らしたり、自己を主張したりしながら言語化していく訓練になります。

小学生になると、国語の授業で『主人公のこのときの気持ちは?』とは問われることがよくあるのですが、『あなたはどう思う?』とはなかなか問われません。でも子どもが『こう思った』と自分の意見を言ったときは、それがどんな内容でも、その言葉を大切にしてあげましょう。人の気持ちに正解はありません。話して伝えてくれたことに対して耳を傾けてあげてください」

コンビニの店員さんへの話しかけも意味がある

もっとありふれた日常の中にも、プレゼン力を鍛える方法は潜んでいます。それは「あいさつをすること」。

竹内さん「プレゼン力は他者の存在を意識することが大切です。それには他の人とコミュニケーションをする親の姿を子どもに見せるのが一番です。

例えば、マンション内のエレベーターに乗り合わせた人にあいさつをします。小さな子たちはまだ『こんにちは』と言えないかもしれませんが、親のあいさつする姿を見て自分も頭を下げたり、手をふったりしますよね。

世間話をする姿を見せるのもいいと思います。私はコンビニでもお店の人に話しかけますし、タクシーに乗れば『最近景気はどうですか?』と運転手さんに話しかけることも。子どもたちからは、「恥ずかしいから、ママやめて!」  と言われていますが(笑)。

子どもの同級生や近所の子どもたちにもあえて話しかけます。話している背中を見せることが大切だし、話しかけられる子どもたちにも、親や家族とも違う、第三の大人が“あなたたちに関心を寄せているよ”、“コミュニティの力があるよ”ということを感じてほしいからです。もし、我が子がなかなかあいさつできないなら、お父さん、お母さんも自分を振り返ってみることが必要なのかもしれません」

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