日本人の英語力は本当に低い? 英語教育のプロが教える本当に身につく学習法

グローバル社会で活きる英語力を我が子に! 世界で活躍できる英語力の育て方 #1

バイリンガルスクールTLC for Kids代表:船津 徹

英語を覚えるには順番が大切! 英語圏の子どもが英語を覚えるプロセスとは?

「日本に住みながら英語力を高める一番の方法は、リーディング力をつけることです。

リーディング力とは、英語の本を読み解ける力のことです。実はこの力が伸びれば、英語のほかの技能である『話す』『聞く』『書く』も自然と向上していきます」(船津先生)

英語の本を読み解くといっても、スラスラ読めるまでには段階が必要です。どんな言語も覚えて使いこなせるようになるには順番があります。

例えば日本語を習得するにも最初は自然に耳に入ってくる日本語を聞いて、次に「あいうえお」の文字とそれらの音を覚えて……とステップを踏んできたはずです。

「日本語を習得するときは段階を経るにもかかわらず、英語を勉強するときはなぜかすっぽり抜け落ちてしまうフェーズがあります。

つまり、日本の英語教育からこぼれている領域をすくい上げ、順序立てて学んでいくことで英語習得でのつまずきはなくなります」(船津先生)

船津先生がオススメする 日本人の子どものための英語学習プロセス

ステップ0 → フォネミック・アウェアネス(Phonemic Awareness)
英語を聞き分ける耳を鍛えること。英語特有の音感やリズム感を身につけます。

ステップ1 → フォニックス(Phonics)
英語の発音と文字の関係性を学ぶこと。船津先生曰く、フォニックスは日本語でいうなら「ひらがなの文字と50音」を覚えることに相当します。

ステップ2 → サイトワーズ(Sight Words)
英語の頻出単語を覚えること。サイトワーズは日本語の「漢字」に相当します。

ステップ3 → フルエンシー(Fluency)~リーディング(Reading/洋書の多読)
簡単で短い英語の本から、章立ての本まで文章をたくさん読むこと。理解よりもスラスラ読めることが重要。

高収入も期待できる!? 英語力の高さがもたらすメリット

教育は「社会で要求される技能を与えてあげること」がひとつの目的です。そして、今の子どもたちが大人になるころには、「英語」のスキルが求められるのは必至です。

船津先生が提唱する英語学習のプロセスは、英語の思考回路を育てていくと同時に英語習得の近道です。また、その方法で得られた高い英語力は子どもの将来を大きく広げていくことにも役立ちます。

「グローバル就活という言葉があります。グローバル化が進んでいる現代は、多くの企業が採用対象を世界に広げています。

日本企業が欧米やアジアで採用活動を行ったり、海外の企業が優秀な人材を求めて日本やアジア諸国でリクルートしたりするケースも増えています。

英語ができると日本国内の就職が有利になるだけではなく、海外採用にもチャンスが広がります。また、英語力を持って就職ができると将来、いいお給料も見込めるでしょう」(船津先生)

英語ができると、活躍できるフィールドが世界規模になります。 写真:アフロ

英語のレベルと年収の高さを調査した国内のデータによると、英語を第二言語とする人のうち上級者(流暢)では年収1000万円以上が約60%もいたという報告があります。

また、電話対応や会議などの対話中心のビジネス英語レベルでも、約半数が年収1000万円以上という結果もあります。

「少々古いデータですが、英語力が高い国ほど経済力が高いという調査結果もあり、英語の熟達率が国民総所得と国民総生産の向上に関係していることもわかっています」(船津先生)

お金がすべてではありませんが、我が子が活躍できる場が広がることを想像すると、ますます英語力の必要性を感じずにはいられません。

子どもがスポーツや芸術など、あらゆる好きなことを追求する場合も海外からの刺激は重要でしょう。


次回は、船津先生が提唱する「日本人の子どものための英語学習プロセス」を始める前に、日本の英語教育で多くの人が思い違いをしている「英語教育の勘違い」について紹介します。

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船津 徹(ふなつ とおる)
バイリンガルスクールTLC for Kids代表
明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故・七田眞氏に師事する。その後独立して、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立し、英語力、コミュニケーション力、論理力など、世界で活躍できるグローバル人材を育てるための独自の教育プログラムをもって指導にあたる。2020年までに5000名以上の子どもの教育に携わり、卒業生の多くが世界の難関大学に進学し、各国で活躍している。

【主な共著や監修書】
「世界標準の子育て」(ダイヤモンド社)
「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)
「失敗に負けない『強い心』が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方」(KADOKAWA) など

「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)にはさらに詳しく、英語学習のプロセスや方法、先生の教えを受けた子どもたちのエピソードなどが紹介されています。ノウハウとじっくりと参考にされたい方はこちらもチェック!

取材・文/梶原知恵

『世界で活躍できる英語力の育て方』の連載は、全5回。
第2回を読む。
第3回を読む。
第4回を読む。
第5回を読む。
※公開日までリンク無効

20 件
ふなつ とおる

船津 徹

バイリンガルスクールTLC for Kids代表

明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故・七田眞氏に師事する。その後独立して、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立し、英語力、コミュニケーション力、論理力など、世界で活躍できるグローバル人材を育てるための独自の教育プログラムを持って指導にあたる。2020年までに5000名以上の子どもの教育に携わり、卒業生の多くが世界の難関大学に進学し、各国で活躍している。 https://torufun.amebaownd.com/ 【主な共著や監修書】 「世界標準の子育て」(ダイヤモンド社) 「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房) 「失敗に負けない『強い心』が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方」(KADOKAWA) など

明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故・七田眞氏に師事する。その後独立して、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立し、英語力、コミュニケーション力、論理力など、世界で活躍できるグローバル人材を育てるための独自の教育プログラムを持って指導にあたる。2020年までに5000名以上の子どもの教育に携わり、卒業生の多くが世界の難関大学に進学し、各国で活躍している。 https://torufun.amebaownd.com/ 【主な共著や監修書】 「世界標準の子育て」(ダイヤモンド社) 「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房) 「失敗に負けない『強い心』が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方」(KADOKAWA) など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。