男の子の「精巣トラブル」 停留精巣・遊走精巣・陰嚢水腫・鼠径ヘルニア…泌尿器科医が解説
泌尿器科医・岡田百合香先生に聞く、「精巣(金玉)」トラブル #2 ~乳幼児期編~
2024.11.11
泌尿器科医:岡田 百合香
精巣(金玉)が動きやすい状態も注意
また、停留精巣と似た病気として、「遊走精巣(移動性精巣)」があります。
「こちらは精巣が陰囊内にあったりなかったりする、精巣が動きやすい状態です。
経過観察で、成長とともに下降してくることが多いですが、上がったままの状態(上昇精巣)が続くと、手術が必要となります」(岡田先生)
そもそも精巣は、気温や緊張、接触によって動くもの。笑いに対する反射などでも、ひゅっと上がることがあるといいます。逆に、緊張がない状態では、のんびりと下がっているのが適切です。
「入浴中、入浴直後、睡眠中など、子どもがリラックスした状態で精巣の様子をときどきチェックしてみるといいでしょう。
遊走精巣は5~7歳に頻繁に観察されることが多いですが、年齢とともに減少し、13歳でほとんど見られなくなると言われています」(岡田先生)
陰嚢が膨らむ「陰嚢水腫」
閉じるべきお腹の穴が閉じなかったことで起こる陰囊・精巣の疾患もあります。
「本来、出生までに閉鎖するはずの穴が閉鎖しなかったことにより、腹水が陰囊内にたまる病気が『陰嚢水腫』です(岡田先生)
「精巣が、おなかから、陰囊に下りるときに通るトンネルがあるのですが、生まれるころには完全に閉じています。しかし、そこが開いたままになっていると、腹水が陰囊内にたまり、膨らんだ状態になるのです」(岡田先生)
痛みはないものの、陰嚢の大きさに左右差があることで判明します。
「自然消失も期待できるため、2~3歳ごろまでは経過を見ることが多いです。ただ、他の疾患と合併しているような場合には手術を検討します」(岡田先生)