
赤ちゃんの頭にブツブツやかさぶたが!? 「乳児脂漏性皮膚炎」 アトピーとの見分け方と正しい対策とは[医師監修]
#1 皮膚科医・野崎誠先生に聞く乳児の肌トラブル「乳児脂漏性皮膚炎」 (2/3) 1ページ目に戻る
2025.11.04
皮膚科医:野崎 誠
多くの乳児がかかる「乳児脂漏性皮膚炎」
──乳児脂漏性皮膚炎は、いつ、どのような症状であらわれるのでしょうか。
野崎誠先生(以下、野崎先生):乳児脂漏性皮膚炎の発症ピークはおおむね生後1~3ヵ月で、生後6ヵ月を過ぎて新たにあらわれることはまずありません。気温や季節による影響もなく、「夏だから」「気温が高いから」といった理由で発症することもありません。
症状の多くは皮膚のベタつきや黄色っぽいかさぶた、粉をふいたような状態です。ときには皮膚がむけてくることもあります。もっとも症状が出やすいのは頭皮ですが、顔のTゾーン(おでこや鼻のまわり)にもあらわれることがあります。
炎症をみると不安になる保護者も多いですが、かゆみはなく、乳児本人は気にしていないケースが大半です。ほとんどの場合は、生後6ヵ月ごろには自然におさまっていきます。
原因は「ホルモンの影響」
──なぜ乳児脂漏性皮膚炎が起こるのでしょうか?
野崎先生:おもな原因はホルモンの影響です。生後3ヵ月までは子どもの性的発達期にあたり、性ホルモンの分泌量が非常に多くなります。この影響で皮脂の分泌が増加し、乳児脂漏性皮膚炎の原因となります。
生後3ヵ月を過ぎると性ホルモンの分泌はほぼゼロとなり、第二次性徴期が始まる10~11歳ころまで再び増えることはありません。このため、生後3ヵ月以降は発症がほとんどなくなっていくのです。
また、親御さんの育て方や、赤ちゃんの生活習慣によるものでもありません。成長過程でだれにでも起こりうる“通過点”のようなものと考えてもらえたらと思います。データ上は約3人に1人が経験するといわれますが、病院を受診しない赤ちゃんも含めると、実際にはもっと多くの子が経験しているのではないでしょうか。
──大人も脂漏性皮膚炎になると聞きますが?
大人の発症頻度も高く、男性のほうがより多い傾向があります。赤みや、皮膚がはがれフケのような症状が起きます。子どもは頭皮への発症が多いのに対し、大人は首や鼠径部(そけいぶ)にも出る傾向があります。また、大人の場合は「マラセチア」という常在菌の影響を受けますが、乳児ではこの菌による関与はあまりないと考えています。
乳児脂漏性皮膚炎とアトピーを見分けるポイント
──アトピー性皮膚炎と見分けにくいという声も。区別するポイントはありますか。
野崎先生:ご家庭で見た目だけで判断するのは、難しいかもしれません。ただし、アトピー性皮膚炎は生後2ヵ月以降に発症することが多く、かゆみを伴うのが特徴です。
乳児脂漏性皮膚炎には「かゆみがない」「頭皮に症状が出やすい」という特徴があるので、「生後0~1ヵ月で頭皮に症状が出ている」「赤ちゃんがかゆがっていない」場合は、乳児脂漏性皮膚炎である可能性が高いと考えられます。
──病院を受診する目安はありますか。
基本的には時間とともに自然に改善することが多いため、とくに心配がなければ自宅でていねいに洗浄し、見守ってもらっても問題ありません。
ただし、かゆみが出てきた場合や、髪の毛が抜けたり部分的に薄くなったりする場合は、かならず受診してください。炎症が悪化することは少ないですが、「治らない」「広がっている」と感じたときには、早めに専門医に確認してもらうと安心です。

      
      
    





                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  




















            
            
            
            
            
            
            
            






