
赤ちゃんの頭にブツブツやかさぶたが!? 「乳児脂漏性皮膚炎」 アトピーとの見分け方と正しい対策とは[医師監修]
#1 皮膚科医・野崎誠先生に聞く乳児の肌トラブル「乳児脂漏性皮膚炎」 (3/3) 1ページ目に戻る
2025.11.04
皮膚科医:野崎 誠
乳児脂漏性皮膚炎のケア方法は「よく洗うこと」
──もし乳児脂漏性皮膚炎になった場合、家庭でどのようにケアすればよいでしょうか?
野崎先生:なによりも大切なのは「よく洗うこと」です。乳児脂漏性皮膚炎が長引くケースは、ご家庭で十分に洗えていないことがほとんどです。
1日1回のシャンプーでは、汚れが十分に落ちきらないこともあります。そこで、1日2回のシャンプーを意識して取り入れてみましょう。たとえば「朝と夜にシャワーで洗う」または「1回の入浴で2回シャンプーする」など、ご家庭の生活リズムに合わせて実践してみてください。
また、最近は乳児用コーナーで、頭にも体にも使える「全身用」のボディソープが多く販売されていますが、これらは洗浄力が頭部には合わないことがあり、頭皮の皮脂汚れを十分に落としきれない場合もあります。頭には頭専用のシャンプーを使い、しっかり皮脂を落とすことをおすすめします。
頭専用のシャンプーの種類は、普段、親御さんが使っている大人用シャンプーを一緒に使っても問題ありません。秋から冬にかけては、寒さのために入浴や洗髪の回数が減りがちですが、それが乳児脂漏性皮膚炎の治りを遅らせる一因となります。
乳児脂漏性皮膚炎は季節を問わず発症しますが、とくに秋から冬の寒い時期は親御さんがお風呂やシャワーに入れる頻度が減り、症状が長引きやすい傾向があります。この時期こそ、ていねいな洗浄を心がけてあげてください。
SNSでよく見る、さまざまな情報の真実とは
──X(旧Twitter)では「沐浴剤(ベビー用入浴剤)がよくない」「坊主頭にするとよい」「ベビーオイルで保湿する」「スカルプブラシを使う」など、さまざまな体験談やアイデアがあふれています。「この方法で治った!」という投稿も目にしますが、注意点はありますか。
野崎先生:ネット上には正しい情報もあれば、誤解を招きかねない情報もあるため注意が必要です。
1.「沐浴剤を使うのはよくない」→【正しい】
そのとおりです。沐浴剤は洗浄力がほとんどなく、水で流すのとほぼ同じ状態です。使用しても効果はなく、しっかり洗浄できるシャンプーを使うことが必要です。
2.「髪を短くする、または坊主頭にするとよい」→【一部は正しいが注意が必要】
髪を短くすると頭皮が洗いやすくなるため、症状が早く落ち着く場合もあります。ただし、乳児を丸刈りにする必要はありません。時間の経過とともにホルモンバランスが整えば、自然と改善していくはずです。あせらず見守ってください。
3.「ベビーオイルで保湿する」→【間違い】
脂漏性皮膚炎は皮脂が多い状態で起こるため、さらに油分を加えると、かえって症状を悪化させるおそれがあります。オイルによる保湿は避けましょう。
4.「スカルプブラシでこするとよい」→【間違い】
強くこすると皮膚を傷つけ、かさぶたを無理にはがしてしまう危険があります。赤ちゃんの皮膚を守るため、スカルプブラシの使用は避けましょう。
野崎先生:SNS上には、医療的な根拠が十分でない情報も多く流れています。情報の発信者をしっかり確認し、迷った場合はかならず医師に相談してください。また、オンライン診療なども始まり、とても便利な時代ですが、画面越しでは症状を十分に確認できないこともあるので注意が必要です。
乳児脂漏性皮膚炎は、ホルモンがしっかり働いている証であり、すこやかに成長しているサインのひとつです。あせりすぎず、「よく洗う」という基本を大切にしながらていねいにケアしてあげてくださいね。
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生まれたばかりの赤ちゃんに黄色いかさぶたや粉ふきのような症状があると、つい心配になりますが、ホルモンバランスが整うにつれて自然に落ち着いていくことがわかりました。
家庭ではていねいな洗浄を心がけながら、心配なときやなかなか改善しないときは、信頼できる医療機関に相談し、赤ちゃんの肌をやさしく守っていきましょう。
取材・文/牧野 未衣菜
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牧野 未衣菜
1992年生まれ、千葉県出身。子育てや教育関係を中心に、フリーランスライターとして活動中。 また、教育NPOでユーススタッフとして子どもの支援活動にも携わる。現在は二児(姉妹)の母として、育児にも奮闘中。
1992年生まれ、千葉県出身。子育てや教育関係を中心に、フリーランスライターとして活動中。 また、教育NPOでユーススタッフとして子どもの支援活動にも携わる。現在は二児(姉妹)の母として、育児にも奮闘中。

      
      
    





                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  




















            
            
            
            
            
            
            
            







                
                
                
                
                
野崎 誠
山形大学医学部卒業、国立成育医療研究センター皮膚科(小児専門病院)などを経て2013年、「小児皮膚科」・「一般皮膚科」を専門とする『わかばひふ科クリニック』を開院。 一般向け、教育機関向け講演活動などにも力を入れており、乳幼児から思春期・成人の皮膚の病気に関する正しい情報の啓発活動に努めている。 わかばひふ科クリニック http://www.wakaba-hifuka.com/ YouTube わかばひふ科クリニック公式 https://www.youtube.com/@wakaba_hifuka
山形大学医学部卒業、国立成育医療研究センター皮膚科(小児専門病院)などを経て2013年、「小児皮膚科」・「一般皮膚科」を専門とする『わかばひふ科クリニック』を開院。 一般向け、教育機関向け講演活動などにも力を入れており、乳幼児から思春期・成人の皮膚の病気に関する正しい情報の啓発活動に努めている。 わかばひふ科クリニック http://www.wakaba-hifuka.com/ YouTube わかばひふ科クリニック公式 https://www.youtube.com/@wakaba_hifuka