“行動制限なしの夏休み”旅行や帰省の判断と注意を専門家が伝授
新型コロナ第7波の今、パパママ、子どもたちが知っておきたいこと #1~家族旅行と新型コロナ~
2022.08.06
国際災害レスキューナース:辻 直美
新型コロナウイルスの第7波が爆発的に急増し、新規感染者が各地で過去最多を更新している2022年8月。コロナの位置づけを現在の「2類相当」から見直す必要もあるという意見も報道されています。
とはいえ今年はコロナ禍になって以来、初めての「行動制限なしの夏休み」です。旅行や帰省、レジャーがやっとできる、というのも正直なところです。感染拡大の中でパパママはどう判断すべきなのか。
国際災害レスキューナースの辻直美(つじ・なおみ)さんが答えます。
“第7波”が家族旅行や帰省に与える影響
新型コロナウイルス感染対策のための「行動制限」がない、3年ぶりの夏を迎えた2022年。「今年こそ」と期待も高まっていましたが、“第7波”が到来。
2022年8月1日時点の新規陽性者数は全国で13万9668人。20万人台が続いた7月下旬から少し人数が減ったものの、まだピークアウトしたとは言い切れず、出口が見えない状態が続いています。
FNNが7月23・24日に実施した電話世論調査(※1)によると、全体の70.3%が「(第7波に)不安を感じる」と回答。
また、この夏、「帰省や旅行をする」と答えた人は約3割にとどまり、約7割は「帰省も旅行もしない」と答えていました。
※1=「帰省も旅行もしない」が約7割…「第7波」に不安感じる人多く【FNN世論調査】
子育て世代に聞くと、帰省や旅行を泣く泣く断念した人もいれば、「気を付けながら旅行(帰省)する」と決めた人、今まさに迷っている最中……とさまざまです。
感染拡大が止まらない“第7波”の夏、家族旅行や帰省についてどのように考えればいいのでしょうか。『新型コロナ✕防災マニュアル』(扶桑社)の著者で、国際災害レスキューナースの辻直美(つじ・なおみ)さんに聞きました。
「家族旅行や帰省をするかどうかは、それぞれの家庭の事情もあるでしょうし、一概に“こうすべき”という話ではないと思っています。ただ、徹底的に感染予防対策をする努力は必要です。
ここで言う『感染予防対策』は、自分たち家族が感染しないようにすることだけではありません。同時に誰かに感染させない配慮もしてほしいのです。
例えば今、私が幼児・小学生のママで、どうしても子どもたちを連れて家族旅行をしたいとしたら『キャンプ』を選びます。
人が少ないキャンプ場まで自家用車で移動し、家族だけでひっそりとキャンプをするなら、感染リスクは抑えられるからです。
一方、公共交通機関を使い、遊園地やテーマパークに遊びに行くのは避けます。
不特定多数の人が大勢集まり、ワイワイ盛り上がっているうえ、パーク内で食事をする可能性が高いとなると、その分、感染リスクが高まるからです」(辻直美さん・国際災害レスキューナース)
帰省時に実践したい 感染予防チェックリスト
家族旅行と一口に言っても、行き先選びや過ごし方によって、感染リスクは変わります。それは、帰省も同様。辻さんのアドバイスをもとに、帰省時に実践したい感染予防策をチェックリストにまとめました。
✅祖父母は4回目のワクチン接種を終えている
✅自分たち夫婦も3回目のワクチン接種を終えている
✅普段から手洗い、うがい、マスク着用を徹底している
✅帰省前に家族全員、抗原検査を実施する
✅帰省前、帰省中も家族全員、こまめに体温測定する
✅祖父母と話すときは室内室外問わず、マスク着用
✅祖父母と食事をするときは「黙食」を徹底する
(会話をするときはマスク着用。食事中は黙って食べる)
✅祖父母と外食するときは個室を選び、黙食を徹底する
✅空気の流れを考えつつ、こまめに換気する
「帰省の場合、高齢者への配慮は必要不可欠です。ワクチンを打っていても、必ずしも感染しないとは限りませんが、重症化は防げるとされています。
また、抗原検査にもPCR検査にも限界はあり、“陰性だから安心”ではありませんが、何もしないで勝手に“大丈夫”と思い込むよりは、できることをひとつずつやっていくことで少しでもリスクを回避するという考え方です。
体温測定はできれば、耳やおでこで測る「赤外線体温計」や、短時間で測れる「予測式体温計」ではなく、実際の体温を測る「実測式体温計」を使って、わきの下で測ってください。汗をかいたまま測ると、体温が低くでてしまうので、汗をきちんと拭いたうえで測るのがコツです。
このチェックリストを見たとき、自信を持ってすべてクリアできるというファミリーなら日頃から感染対策も気を付けているし、さほど心配することなく、帰省できるはず。
もし、『いくつかはクリアできても、全部はちょっと……』と思う場合は、帰省時期をずらすことを検討してみては? 感染者が少ない時期を選べば、ここまでシビアに徹底しなくても大丈夫。
無理せず、ビデオ通話やビデオレター、手紙などでおじいちゃんおばあちゃんとやりとりし、時機を見て帰省するというのもひとつの選択肢です」(辻さん)