小学校入学前の「お昼寝なし」生活はいつから? 1月から始める睡眠リズムの整え方[医師監修]

#2 医師・小児スリープコンサルタント もりたま先生に聞く「園児の睡眠」~小学校入学前の整え方~ (2/3) 1ページ目に戻る

医師・小児スリープコンサルタント:森田 麻里子

小学校で大きく変わる生活リズム

──小学校に入ると生活リズムが変わりますが、子どもにはどんな影響があるのでしょうか?

森田麻里子先生(以下、森田先生):生活リズムの大きな変化は、保育園で当たり前だったお昼寝がなくなることです。

低学年のうちは1日4~5時間の授業が多く、大体14時前後に下校します。そのまま帰宅でき家庭で休める子であれば、集中力や体力も保たれ、大きな問題が起こることは少ないでしょう。

しかし、学童保育などで帰宅が遅くなる子どもは、休息が十分にとれないまま長時間活動することになり、疲れがたまりやすくなるので注意が必要です。

──保護者からよく受ける相談はありますか?

森田先生:朝の生活リズムについての相談が多く寄せられます。特に幼稚園は登園時間が遅めの園が多く、小学校に入学するとこれまでより早く起きる必要があります。

この調整がスムーズにいかず、朝の準備や生活リズムに苦労する家庭も多いようです。卒園までに小学校に合わせた生活リズムになるよう、整えておきたいですね。

──どのくらいの時期から、生活リズムの調整を意識し始めたらよいのでしょうか。

森田先生:入学の2~3ヵ月前から、少しずつ生活リズムに慣れさせておくことが望ましいです。

理想は入学する年の1月ごろから、「早く寝て、早く起きる」リズムに整えていくとよいでしょう。保育園や家庭でお昼寝をしていた子は、夜にしっかり眠れるよう日中のお昼寝も少しずつ減らしていくイメージです。

朝起きても体は目覚めていない

──生活リズムが整わないまま小学校に入学すると、どんな影響がありますか?

森田先生:就寝時間が遅い状態が続くと、朝起きられず遅刻など登校に支障が出るのはもちろん、学習面にまで影響が及ぶこともあります。

夜11時など遅い時間まで起きていると、なんとか朝7時に起きても、体内時計ではまだ夜の状態なのです。体温や血圧も十分に上がっていないため、身体がまだ目覚めていないままで登校することになります。

身体が目覚めていない状態で授業を受けると、頭がぼーっとしてしまう。これでは集中できなくても無理はありません。

──毎日通学していると、疲れて自然と早く寝るようになったりしませんか?

森田先生:実はそうとも言い切れません。保育園児は就寝時間が遅くなりやすいというデータがあるのですが、さらにその“就寝時間の遅さ”が、小学校3~4年生ごろまで続きやすいことがわかっています。

お昼寝以外の要素も関連する可能性がありますが、就学前から身についた“夜遅くまで起きる生活”が常態化してしまうことによる影響だと考えられます。なのでできるだけ入学前のタイミングで調整しておきたいですね。

「早寝早起き」に移行するためのポイントとは

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