
小泉悠に聞く「子どもに戦争をどう教えるか?」 ドローンやAIの登場で「古典的な戦争」になった理由
東京大学准教授・小泉悠先生に聞く、AI・ドローンと現代の戦争 #1 (3/4) 1ページ目に戻る
2026.08.10
東京大学准教授:小泉 悠
ドローンが戦地の空を埋め尽くす時代
──いまはその抑止のひとつとして、ドローンやAIが使われるようになっていますが、これらの利用によって、ウクライナやロシアの兵士や市民の生存率は上がったのでしょうか?
小泉先生:いまの戦場にはドローンだけじゃなく、地上を無人で走る車両や水上を走る無人艇など、さまざまな「UXV」(Unmanned X Vehicle)が戦地で戦っています。空中ならUAV(Unmanned Aerial Vehicle / 無人航空機)、地上ならUGV(Unmanned Ground Vehicle / 無人地上車両)といった具合です。人間がいない(Unmanned)という意味では手のかからない戦争みたいに見えますけど、実際はそうではありません。
無人兵器は依然として人間がラジコンのように遠隔操縦しています。そうなるとオペレーターは現場の近くにいなくてはならないことが多く、整備や修理をする人員も必要です。結局、人が乗る戦車や戦闘機を運用するのと、かかる人手の数自体はあまり変わってないのが事実です。
さらに、いまのウクライナの戦場では、前線から10〜30キロくらいの範囲に、ハエみたいにドローンがうわーっと飛び交っているんです。ウクライナは年間400万機のドローンを作っていると言われていて、単純計算すれば1日あたり1万機消耗してもいい計算になります。
戦闘接触線(敵と味方の最前線部隊が直接接触している最前線)の特に重要な正面100キロほどにドローンを集中させれば、そこら中にドローンがいる状態がつくれてしまう。人間がその範囲に入っていくと、もうイナゴの群れのようにドローンが群がってくるんです。
小泉先生:また、戦車1台を潰すのに10機ほどのドローンを使うとも言われていますが、20万円のドローンを10機使っても200万円。日本の10式戦車が1台10億円近くすることを考えると、なんとも効率的――と言ってはいけないのですが、そういう理屈になってしまいます。
これは兵士の命についても同じです。ロシアの貧しい地方の人からすると、兵士になれば年収の1~1.5倍にあたる月給に惹かれて入隊するわけですが、突撃要員として前線に投入されると、何十分かで、あるいは軍隊に入ってから命を落とすまでが数ヵ月、良くて半年という状態になっています。
結局その月給を何回も受け取れる人は少ないんです。つまり、ドローンという無人兵器が登場したことで、むしろ人間は簡単に死ぬようになってしまっている。これはサイバーやAIについても、同じことが言えると思います。






























