【生理の貧困】ナプキン配布が必要な日本 「タンポン税」を軽減したフランス

誰もが生理用品にアクセスしやすい社会になるには #1

在仏ライター:髙崎 順子

金銭面での困窮や経済的DV・ネグレクトなどの理由で、月経中に必要な生理用品を購入できない「生理の貧困」。この社会問題に注目が集まり、ようやく改善の兆しが見えているーー。日本と海外の動きをレポートする。 

日本で「奨学ナプキン」スタート

「エリエール」で知られる大王製紙が2022年4月7日より、多様性のある社会で一人一人の生理に寄り添うプロジェクト「meet my elis」を始めた。同社は「生理に関して社会で課題となっていることに対して、メーカーとしてできることを社内で協議し、今回の「奨学ナプキン」の取り組みを開始した」とコメント。

大王製紙エリスブランド「meet my elis」より
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大王製紙エリスブランドは「meet my elis」に先立ち、世界中の女の子の自立を実現するために、今困っていることを解決・支援する「ハートサポートプロジェクト」も2018年より実施。現在はアフリカ・ザンビアでの支援活動を行なっている。

新たに国内で始めた「meet my elis」における奨学ナプキンについても、同企画担当者は「生理用品のメーカーとして貢献できることをしていきたいという想いは、上層部も含めた社内共通の想い」と語った。今回の取り組みは、部署を超えて社内でも関心が寄せられているプロジェクトだ。「これからの未来を支える、若い世代である学生のみなさんが、前へ踏み出す小さなきっかけになることを願っています」と学生へエールを送った。

「生理の貧困」コロナ禍の影響で深刻化

コロナ禍を機に注目を集めている「生理の貧困」。日本での実態はどうなのか。

厚生労働省が2022年3月に発表した「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に 関する調査」では、「新型コロナウイルス発生後、生理用品の購入・入手に苦労したこと」がある(「よくある」「ときどきある」)と回答したのは全体の 8.1%。さらに若年世代ほど「よくある」「ときどきある」の回答が多く、18・19歳では合わせて12.9%、20代では12.7%だった。

若年世代ほど生理用品の購入・入手に苦労している割合が高い。「生理の貧困」は子どもたちが直面している問題でもあるのだ(写真アフロ)

「生理の貧困」とは、金銭面での困窮や経済的DV・ネグレクトなどの理由で、月経中に必要な生理用品を購入できない問題だ。

日本のみならず、海外でも社会問題として各国が取り組んでいるが、なかでもフランスは、生理用品への「軽減税率の適用」や「中学高校大学での無償配布」などが行われている。「生理の貧困」への広範な対策は、どのように実現されたのか?

その経緯と実態を在仏ライター髙崎順子氏が解説する。

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