消えゆく島言葉「テードゥンムニ」を残したい 竹富島を想う人々の願い

首都圏から竹富島へ移住! 島暮らしの子育てと学び【09】

ライター:片岡 由衣

届いた絵本『星砂の話(ふしぬ いんのぬ はなし)』を、星砂が見つかる浜「カイジ浜」で子どもたちと読みました。 写真提供:片岡由衣

島のおじいから直々に言葉を教わる

2019年の12月には、島の言葉を使った子どもたちの発表会、「テードゥンムニ大会」が行われました。

小3だった長男は、テードゥンムニでの劇を披露。放課後に集まってクラスメイトと練習したり、テードゥンムニを話せる島のお父さんに発音指導をしてもらったり、小道具をそれぞれ作ったり。

長男の役は三線の先生役! 島に来て間もない長男が三線の先生を演じるのがなんだかおもしろい。また、初めて触れるテードゥンムニで堂々と話す姿に、私が小学生のときにできただろうかと、頼もしさを感じました。

小1の次男は、テードゥンムニを使った自己紹介と、わらべ歌遊びを発表。自己紹介は、文章を私と次男で考えてから「近所の話せる人に訳してもらってくださいね」と言われて……。友達のおじいちゃんを紹介してもらい、緊張しながらお家へ。

縁側に座って、お茶とお菓子を出してもらいながら、次男と考えた自己紹介の文章をその場でテードゥンムニに訳してもらいました。

私と夫は実は人見知りで、人との交流にそれほど積極的なタイプではありません。島の年長者たちと話してみたい気持ちはあれど、なかなか機会はありませんでした。

こうして子どもの活動を通して言葉を教えてもらった時間は、楽しく、どこか懐かしさも感じるひとときでした。

大勢の人が見守るなかで、島の言葉で三線の先生を演じた長男。友達はもっと長いセリフをたくさん話していました。 写真提供:片岡由衣

また、竹富島では、テードゥンムニのかわいいステッカーがもらえます! 石垣港や、竹富島内の各所で 「うつぐみチケット」(入島料)300円を購入し、竹富港の待合所「かりゆし館」のカウンターで見せると、返礼品としてステッカーをもらえるのです。

返礼品の内容はステッカーに限らず、島の植物で作ったミサンガや風景写真のポストカードなど、そのときによってさまざま。この入島料は、竹富島の伝統的な街並みや自然環境を守る活動に使われています。

島の言葉とイラストが描かれたステッカー。 写真提供:竹富島地域自然資産財団

私は東京育ちで、母は新潟出身でしたが方言を話しているのを聞いたことがありませんでした。竹富島へ来てから、自分たちの暮らす土地や文化を大切にする感覚が、とても新鮮にうつります。

2022年6月に、子どもたちの通う学校は創立130周年を迎えます。島内にはお祝いムードが漂っています。

「ありがとう」は島の言葉で「みーはいゆー」と言います。この言葉の持つ、やわらかな響きが好きです。最後まで読んでくれて、みーはいゆー。

島暮らしから学んだこと
・『消滅危機言語』と、言葉を守ろうとする人たちの存在を初めて知った

・初めて触れる言葉でも、堂々と舞台に上がる子どもたちの順応力に感心

・島内外に、島の環境や文化、伝統に関心を持つ人たちいることは、子どもたちにとっても良い体験につながる

※『首都圏から竹富島へ移住! 島暮らしの子育てと学び』のバックナンバーはこちら

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かたおか ゆい

片岡 由衣

ライター

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter