
夏の山でクマと鉢合わせたら! 子連れレジャーで全親が絶対知っておくべき「子どもの命を守る行動」[専門家が解説]
#2 夏の子連れレジャーの“クマ”対策「サバイバル編」岩手大学農学部 山内貴義准教授インタビュー (2/3) 1ページ目に戻る
2026.08.03
岩手大学農学部准教授:山内 貴義
クマから身を守る4つの基本
クマは本来、臆病で人を避ける動物です。しかし、人間の突然の行動によって興奮し、防御のための攻撃に転じることがあります。そのため、驚かせない、興奮させないことが大前提です。
「クマを見ても、『大声を出さない』『走らない』という約束を、子どもと必ずしてください。『ギャー!』とか『クマだ!』と叫んだり、あわてて走り出したりするのがもっとも危険です。
子どもが取り乱しそうなら抱き寄せて落ち着かせ、必要に応じて口もとを手でおおうなどして、とにかく大声を出させないこと。急な動きや大声でクマを刺激しないことが何より大切です」(山内准教授)
そのうえで重要になるのが、クマとの距離です。遠くで見つけた場合と、近距離で遭遇した場合では、取るべき行動は異なります。
◾遠く(100m以上先)にクマを見つけたとき
すぐに襲ってくることはほとんどありません。クマの様子を見ながら静かに後ずさりしましょう。
後退する際の共通ポイントは、岩や木などの“障害物”を間に挟むこと。障害物を利用して、クマが一直線に突進できない状況をつくることが、身を守ることにつながります。
◾近距離(数十m)で遭遇したとき
数十m先にクマを見つけた場合も同じです。もし、まだこちらに気づいておらず、近寄ってきた場合は、手を振ったり穏やかに声をかけたりして、人間の存在を知らせましょう。人間だと認識すれば、多くは自らその場を離れていきます。
逃げない、またはこちらに興味を示してきた場合は、クマ撃退スプレーを構えながら静かに後ずさりしましょう。
「私が以前、遭遇したクマは、ドングリを夢中で食べていて、こちらが声をかけてもその場を離れませんでした。ホイッスルを吹いて近づくと唸り声を上げたため、それ以上近づくのは危険と判断。目的地まであと10分の場所でしたが、Uターンし、1時間以上遠回りをして下山しました。無理に進まず、引き返すことも大切です」(山内准教授)
◾至近距離で遭遇したとき
小さな子どもと一緒なら抱きかかえ、大声を出さずに落ち着いて後退してください。クマ撃退スプレーがあれば準備をする……というのが理想ですが、実際は、あ然としている間にクマが去っていくことも多いです。
それでも突進してきた場合、時速40~50kmで走るクマから逃げ切ることは、“人類最速の男”ウサイン・ボルトでも不可能です。いちばんは、クマ撃退スプレーを使うこと。それも難しい場合に、最後の手段となるのが「防御姿勢」です。
「両手を首の後ろで組んで頸動脈を守り、うつ伏せになって体を丸めます。子どもの体格や状況によって可能であれば、親は、子どもにおおいかぶさるようにしてください。リュックを背負っている場合は、プロテクター代わりになります」(山内准教授)
クマは、一撃を加えた後にそのまま立ち去るケースも少なくないとか。
「クマの攻撃は、比較的短時間で終わることが多いとされています。攻撃中は反撃したり、立ち上がって逃げようとせず、防御姿勢を崩さずに攻撃が止むまで凌ぐことが重要です」(山内准教授)
子どもに状況別の対応を教えても、いざという場面で判断するのは難しいでしょう。山内准教授は、子どもには①「大声を出さない」②「走らない」③「後ろへ下がる」④「襲ってきたら、防御姿勢」という基本だけを繰り返し伝えておけば十分だと話します。
「これらを親子で何度も確認しておくだけで、いざというときの行動は大きく変わるはずです」(山内准教授)
クマとの遭遇は、ある日突然起こります。だからこそ、親子で共通の行動を決めておくことが何よりの備えになります。


































