
「国際バカロレア」認定校が127校に 幼稚園〜高校で「知識」だけでなく「概念」も学ぶ理由〔専門家が解説
「国際バカロレア」 #1 玉川大学大学院教授・星野あゆみ先生インタビュー
2025.04.28
認定校は国内で127校に達した国際バカロレア(IB)
──そもそも「国際バカロレア」というのは、一体どのようなプログラムなのでしょうか?
星野あゆみ先生(以下、星野先生):「国際バカロレア」というのは、1968年にスイスのジュネーブで生まれた国際的な教育プログラムです。
ジュネーブは国際機関や多国籍企業が集まっているので、駐在員の子どもが通うインターナショナルスクールが昔から多くあります。
国籍、宗教、文化などさまざまなバックグラウンドをもった子どもたちが一緒に学ぶわけですから、カリキュラムも世界共通で使えるものを独自に開発し、多様性を育む非常に豊かな学びが実践されてきました。
その学びを世界の大学が入学資格として認めたのが「国際バカロレア(=IB)」です。

星野先生:追跡調査をすると、IBの資格を持つ子どもたちはとても優秀で、大学卒業後も各国で活躍していることがわかってきました。
そこで徐々にニーズが高まり、各国の名門大学が資格を持つ学生を受け入れるようになり、IB教育を実践する認定校も世界各地で増えていきました。
現在、世界163の国と地域で約6000校、日本国内でも127校が認定されています(2025年3月時点)。

──半世紀も前からある教育プログラムなんですね。
星野先生:はい。しかし国際バカロレアは世界の研究者の最新の知見を持ち寄って作り上げるプログラムで、その内容は常にアップデートされています。
今、学校で学んでいる子どもたちが社会で活躍するのは10年後、20年後。変化の激しい現代において、20年後にどんな課題があるのか、それを解決するためにどんな知識が必要かを予見することはできません。逆に今求められていても20年後には使い物にならない知識がたくさんあるはずです。
そこで国際バカロレアでは、社会がどう変わっても生かすことができるベースとなる学力、学び方や考え方、課題への向き合い方や人間性を育むことを目指しています。