「国際バカロレア」認定校が127校に 幼稚園〜高校で「知識」だけでなく「概念」も学ぶ理由〔専門家が解説

「国際バカロレア」 #1 玉川大学大学院教授・星野あゆみ先生インタビュー

最終試験は日本語で受けられる科目も

──求められる英語力は、やはり相当高いのでしょうか?

星野先生:年齢や学校によって違います。幼稚園から小学校に当たるPYPでは、7歳から第2言語を必修にしていますが、特別に高いレベルではありません。あくまで母語と違う言語があることや、異文化を学ぶツールとして導入しています。

MYPでも英語で受けなければいけない授業はありませんが、DPでは最低2科目の授業と試験を英語で受けることを定めています。

多くの学校は、英語と数学など、ハードルの低い科目を選んでいるようですが、国語以外の全教科を英語で学ぶ学校もあります。

最終試験に関しては、日本の学習指導要領と整合性のある多くの科目を日本語で受けられるようになっています。

──海外進学を見据えて英語力を伸ばしたいのか、海外進学をする予定はないけれど、これから必要とされる力を伸ばしたいのか、目的に合わせて学校を選ぶことも大切なんですね。

星野先生:そのとおりです。IBの認定校と言っても千差万別です。地域性や各学校の文化・伝統がIBのカリキュラムによって損なわれることはありません。

雰囲気や行事、授業の進め方なども学校によってさまざまなので、ぜひ自分に合った学校を見つけていただきたいですね。

───◆─────◆───

国際的な視野を持った人材育成を目指す国際バカロレアは、さまざまな課題を抱える日本でも導入が求められているカリキュラムであり、これからの教育の道しるべになるものであることがわかりました。

次回は、PYP(Primary Years Programme)を導入している『町田こばと幼稚園』の取り組みをお伝えします。


撮影/安田光優
取材・文/北京子

国際バカロレア連載2回目3回目を読む(公開日までリンク無効)

星野あゆみ(ほしの・あゆみ)
玉川大学大学院教授。教育学研究科教育学専攻。専門は日本における国際バカロレア(IB)の教育。
1987年より20年間国立大学附属高校で英語教員として勤務の後、2007年より国公立初のIB認定校で中等教育プログラム(MYP)とディプロマプログラム(DP)の立ち上げに関わり、10年を過ごす。
その間、MYPコーディネーター、DPコーディネーター、主幹教諭、副校長を歴任。また、IBのアジア太平洋地域日本担当開発マネージャーも2013年より兼務。

前へ

5/5

次へ

42 件
きた きょうこ

北 京子

Kyouko Kita
フリーライター

フリーライター。 藤沢市在住。食の月刊誌の編集者を経て独立。食を中心に、SDGs、防災、農業などに関する取材・執筆を行う。 3児の母。自然の中で遊ぶこと、体を動かすこと、愛犬とたわむれることが好き。

フリーライター。 藤沢市在住。食の月刊誌の編集者を経て独立。食を中心に、SDGs、防災、農業などに関する取材・執筆を行う。 3児の母。自然の中で遊ぶこと、体を動かすこと、愛犬とたわむれることが好き。