妊娠初期・中期・後期の「おっぱいケア」 助産師が伝授する「授乳」しやすい乳首作り
産前産後の知っておきたい「おっぱいケア」 #1 ~妊娠中編~ 乳首マッサージをマスターしよう
2023.10.16
助産師:徳永 悦恵
妊娠初期はホルモンの変化により、おっぱいが痛くなったり、敏感になったりします。場合によっては張ってしまうこともあります。
妊娠中期になると、乳腺が発達し、おっぱいが大きくなります。母乳はまだ分泌されませんが、母乳を出す&作る準備が始まるのです。
妊娠後期は、乳首から母乳のような分泌液が出てくることがあります。片方の乳首からのときもあれば、両方の乳首から出ることも。そして、出方も個人差があり、自然と出てくることもあれば、指で乳首やおっぱいをギュッとつまんだときにだけ、出てくるということもあります。
ちなみに、本当の母乳は出産後、剝がれた胎盤が体外に出て、ホルモンバランスの状態が変わってから出るようになります。
産前に乳首から出る分泌液は、透明から黄色っぽい色をしていますが、もし血が混ざっているような場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
あとは大きさについてですが、妊娠中に「サイズが2カップも大きくなって重い!」という妊婦さんもいれば、あまり大きさと重さに変化が見られないという人もなかにはいます。おっぱい自体に問題はありませんから、大きさはあまり気にしないようにしましょう。
乳首には種類と特徴がある
みなさんは自分の乳首(乳頭)がどんな形かわかりますか? 実は乳首には、いくつか種類があるんですよ。
平均的な乳首は、指などでつままなくても出っ張っています。
「陥没乳頭」の乳首は、乳首が出っ張ってなく、乳輪よりもへこんでいるもので、「真性陥没乳頭」と「仮性陥没乳頭」の2種類があります。
ちなみに、陥没乳頭の乳首だからといって、授乳が不可能というわけではありません。
妊娠前に、陥没乳頭だった人でも、妊娠中に乳首の形や出っ張り、伸び、柔らかさが変化する場合もあります。そして、妊娠中は、陥没していたにもかかわらず、赤ちゃんへの授乳を重ねていくと、乳首が出てくることも多いです。
「陥没乳頭」以外に、乳首が「長すぎ」、「短すぎ」という方もいます。
長すぎる場合、赤ちゃんが乳首の先端だけを吸うことで浅飲みになってしまうために、うまく母乳が飲めていないという事態が。乳首が柔らかければ、乳首の付け根から口に入れられ、母乳を吸わせることができます。
短すぎる場合も、乳輪から伸びてくれさえすれば、赤ちゃんは吸うことができるので問題ありません。
このように乳首の形に悩みがあっても、何か解決策が必ず見つかるもの。ママはひとりで悩まずに、心配事は助産師に相談をして、焦らずおっぱいケアを進めていきましょう。
妊娠中におすすめの乳首マッサージ
乳首のケアを始める時期については、「産んでからでもいい」、「早いほうがいい」など、意見はさまざま。
しかし、切迫早産のママや、何か疾患のあるママ以外は、妊娠中から乳首を触って、柔らかくしておくことが賢明です。なぜなら、柔らかくしておくと、授乳がスムーズになるからです。
そもそも赤ちゃんは、ママの乳首だけでなく、乳輪全体を口に含んで吸うことにより、母乳の分泌を促し、母乳がよく出るようになります。このとき、乳首が柔らかく伸び、かつ乳輪部も柔らかいと、赤ちゃんが乳首を深くくわえて吸いやすく、飲みやすくなるのです。
また、よく伸びる柔らかい乳首は、授乳による摩擦に強く、傷がつきにくくなるため、乳首トラブル予防の効果もうまれますよ。
乳首マッサージ 実践編
それでは、乳首マッサージの方法をご紹介していきます。
1.親指、人差し指、中指の3本の指を、野球のボールを持つときのようなフォームにします。
【ポイント】
利き手を使うと、マッサージがしやすいですよ。
2.乳輪と肌の間に軽く押し当てます。反対の手はおっぱいを下から支えましょう。
3.乳輪から乳首にかけて、3本の指で摑んだ状態のまま、前方に引っ張ります。指は寝かせず、しっかり立てた状態で行いましょう。
4.乳首と乳頭を引っ張ったら、パッと離します。押さえる場所を変えながら、これを3~4回繰り返し、乳輪に沿って1周行いましょう。乳首と乳輪がまだ硬い、乳首の伸びが悪い場合はもう1周プラスして行いましょう。
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