妊娠中のお腹の張りはなぜ起こるの? 病院に行くポイントを名専門医が語る
産婦人科医・安達知子先生に聞く「妊娠中に注意したい症状」 #2 妊娠中のお腹の張りについて
2023.11.17
総合母子保健センター愛育病院名誉院長:安達 知子
出産間近のおなかの張りは頭(下垂体)から分泌されるホルモンの作用
詳しいメカニズムは不明ですが、出産が近づくと「オキシトシン」と呼ばれる下垂体後葉ホルモンの分泌が増え、子宮が収縮することがわかっています。
オキシトシンは分娩誘発剤などにも使用される子宮収縮作用をもつ物質です。体の中でこのオキシトシンの分泌は、出産予定日ころにだんだん増えていき、さらに、オキシトシンを受け取るレセプターが子宮の筋肉に増えることで、ちょうど出産予定日あたりに子宮の収縮が周期的にはじまります(陣痛発来)。出産が近づくとおなかの張りが増えるのは、オキシトシンとそのレセプターが増えるからなのです。
ホルモンはレセプターがないと反応しないので、どちらかだけ増えても強い子宮収縮は起こりません。なぜ出産予定日にオキシトシンの分泌とレセプターが増えるのかについてはくわしくわかっていませんが、女性の体にプログラミングされているのだと思います。
おなかが張ったら安静にして治まるかのチェックを
妊娠初期におなかの張りや軽い痛みがあった場合には、まずは安静にしてください。
安静にして症状が治まらない場合や、張りや痛みが増強する場合は切迫流産や切迫早産の可能性があるため、夜間でも病院に電話しましょう。
安静にすることでおなかの張りが治まる場合は、次の受診日まで様子を見てもらって大丈夫でしょう。心配な場合には、我慢せずに病院に相談してください。
ただし、性器出血がある、どろっとしたおりものが大量に出る、おなかの張りが痛みに変わる、発熱しているなどの症状がある場合、なんらかの異常が起こっている可能性があるため、すぐに病院に連絡することが大切です。
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妊娠中のおなかの張りは、妊娠後期に多いものの、妊娠初期や中期にもみられる症状です。安静にしておなかの張りが治まれば特に心配はいりませんが、不安な場合には病院に電話で相談しましょう。
もし、おなかの張り以外に性器出血や痛みなどの症状がある場合には、早めに病院に連絡することが必要です。
次回3回目は、妊娠中に気を付けたい症状として胎動の減少について、引き続き安達先生に詳しくお話を伺います。
取材・文 広田沙織(メディペン)
妊娠中の症状は全3記事
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(※3回目は2023年11月18日公開。公開日までリンク無効)
メディペン
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
安達 知子
総合母子保健センター 愛育病院名誉院長。東京女子医科大学客員教授。 東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局。米国ジョンズ・ホプキンス大学研究員、東京女子医科大学産婦人科助教授を経て、2004年より愛育病院産婦人科部長、2017年より同病院院長に。2022年より愛育病院名誉院長に就任。日本の産科学界を担う中心的存在の一人。
総合母子保健センター 愛育病院名誉院長。東京女子医科大学客員教授。 東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局。米国ジョンズ・ホプキンス大学研究員、東京女子医科大学産婦人科助教授を経て、2004年より愛育病院産婦人科部長、2017年より同病院院長に。2022年より愛育病院名誉院長に就任。日本の産科学界を担う中心的存在の一人。