
漫画を読むプロ・漫画研究家の読み聞かせは「絵本」ではなく「漫画」だった! そのワケとは⁉
「漫画研究家の本棚」 #2 星槎道都大学美術学部デザイン学科准教授・竹内美帆先生
2025.05.22
最初は4コマ漫画、それからストーリーものへ
──これまでに、どんな漫画を一緒に楽しんできましたか?
竹内先生:最初のころは、4コマ漫画などシンプルなコマ割りのものを好んでいましたが、最近は『らんま1/2』(著:髙橋留美子/小学館)など、ストーリー性の高いものも好きなようです。
『運命の巻戻士』(著:木村風太/小学館)は、一緒に本屋さんへ行ったときに、「これが欲しい」と息子が自分で選んでいました。

竹内先生:セクシーな描写や、強めの言葉づかいなどがあると、親として「どうかな……?」と思う部分もあります。ただ、誰もが通る道なので、ある程度は仕方がないのかなと思いつつ、都合が悪いところは、読み聞かせ中に少し読み飛ばしたり、端折ったりしていますね。
──子どもの目に、まだ触れさせたくないという漫画はありますか?
竹内さん:正直なところ、そこをまだしっかりとゾーニングできていない状況です。仕事で使う漫画はだいたい大学の研究室に置いていて、家にある漫画は私が子どものころに読んでいた作品や、リアルタイムで読んでいるものばかり。

竹内先生:例えば、『デトロイト・メタル・シティ』(著:若杉公徳/白泉社)は私の大好きな作品ですが、子どもが読むのにはそぐわない内容も一部あると思います。
でも、子どもから「読んで」と言われたら読むようにしていますし、今読んでも理解できないだろうなと思う作品に関しては、「これは小学生になったら買おうね」と言って、別の本を勧めるようにしています。
私自身が、子どものころから自分の読みたい漫画を買っていて、親からも「これはダメ」と止められることがなかったので、子どもには自分が「欲しい」「読みたい」本を買う経験をさせてあげたい、という気持ちがあって。
ただ、漫画ばかりでなく、絵本や図鑑にも触れてほしいなと思うので、「今日は絵本と図鑑と漫画、1冊ずつ選ぼう」など、漫画に偏らないような声がけはしますね。また漫画を1冊読むと時間が取られてしまい、他が読めなくなってしまうので1~2話を楽しむぐらいのペースです。