『あらしのよるに』【全7巻 全ページ試し読み】380万部の国民的ベストセラー 20年ぶり“奇跡“の新シリーズが3月12日スタート! 

シリーズ累計発行部数380万部を誇るロングセラー『あらしのよるに』を全ページ無料公開!

児童図書編集チーム

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「あっ、わたし いま、うっかり したを むいてましたけど、
いま、わたしの かお、みえたでしょ。にてましたあ?」

「……それが、まぶしくて、おいら おもわず めェ つぶっちまって。」
「ま、もうすぐ よが あければ わかることですよ。」

ガラガラガラ~!

とつぜん、おおきな かみなりの おとが、こやじゅうを ふるわせる。
「ひゃあ!」
おもわず 二ひきは、しっかりと からだを よせあってしまう。

「あっ、しつれい。どうも わたし、この おとに よわくて。」
「ふうー、おいらもなんですよう。ハアー、びっくりしやしたね。」
「なんか、わたしたちって、にてると おもいません?」
「いよっ、じつは おいらも いま、きが あうなあ~って。」
「そうだ。どうです、こんど てんきの いいひに おしょくじでも。」

「いいっすねえ。ひどい あらしで さいあくの よるだと おもってたんすけど、
いい ともだちに であって、こいつは さいこうの よるかも しんねえす。」

「おや、もう すっかり あらしも やみましたねえ。」
「おっ、ほんとだ。」
くもの きれまに ほんの わずかだが、ほしすら でてきた。

「それじゃ とりあえず、あしたの おひるなんて どうです?」
「いいっすよ。あらしの あとは とくに いい てんきって いいやすからね。」
「あう ばしょは どうします?」
「うーん。じゃ、この こやの まえでは?」
「きまり。でも、おたがいの かおが わからなかったりして。」

「じゃ、ねんのため、おいらが『あらしの よるに
ともだちに なった ものです。』って いいやすよ。」
「ハハハ、『あらしの よるに』だけで わかりますよ。」
「じゃあ、おいらたちの あいことばは、『あらしの よるに』ってことっすね。」

「じゃあ、きを つけて、あらしの よるに。」
「さいなら、あらしの よるに。」

さっきまで あれくるっていた あらしが うそのように、
さわやかな かぜが ふわりと ふいた。
よあけまえの しずかな やみの なかを、てを ふりながら
さゆうに わかれていく ふたつの かげ。

あくるひ、この おかの したで、なにが おこるのか。
このはの しずくを きらめかせ、ちょっぴりと かおを
だしてきた あさひにも、そんなこと、わかる はずも ない。

……『大型版 あらしのよるにシリーズ(2) あるはれたひに』へと続きます!

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