
お年玉と一緒に贈りたい“お正月の絵本”3選[絵本専門店の書店員が選出]
子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #9~お年玉と一緒に~ (3/4) 1ページ目に戻る
2025.12.21
ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀
おせち料理を次世代につなぐ美しい絵本
続いてご紹介するのは、昨年(2024年)発売されて大ヒットを記録した『おせち』(福音館書店)。もともとは毎月ソフトカバーの絵本が届く月刊絵本『こどものとも 年中向き』として、2023年末に刊行されました。
月刊誌は数年経たないとハードカバー化されないと耳にしていましたので、『おせち』のハードカバー化は異例の速さだったのではないでしょうか。「ブックハウスカフェ」でも、大変人気があります。
まず驚くのが、絵の美しさ。重箱の内側に料理が映り込んでいたり、昆布巻きのかんぴょうが薄く透けていたり、まるで写真のようです。この作品が絵本デビュー作となるイラストレーター・内田有美さんが、その才能を如何(いかん)なく発揮されています。
この素晴らしい絵を描けたのは、きっと元となるおせちを料理研究家・満留邦子さんが腕をふるい、ていねいに作っているから。どの料理もおいしそうで、甘さや食感まで伝わってきます。
「くろまめ ぴかぴか あまい まめ。まめまめしく くらせますように」
「きんとん きんかん きんいろ こがね。おかねが いっぱい たまりますように」
それぞれの料理の絵には、和文化研究家・三浦康子さん監修のもと、料理に込められた願いや謂(いわ)れがリズムよい言葉で添えられています。私も子どもたちと読んだのですが、中には今まで何も知らずに食べていたものも。
時代が変わり、お正月の過ごし方も多様化しています。おせちの楽しみ方も家庭によってそれぞれですが、作る・作らない、食べる・食べないにかかわらず、残していきたい日本のお正月の伝統として、今一度おせちの魅力を味わえる1冊です。図鑑のように親しみながら、子どもたちの世代におせち文化を伝えていけたらいいですね。
今年(2025年)、新たに英語版『OSECHI Food for the New Year』も発売されました。訳を担当されたのは、詩人のアーサー・ビナードさん。日本に住まう外国ルーツのお子さん、海外に暮らすお子さんへのプレゼントにもおすすめですよ。





















































































