離婚・再婚家庭の“明るい“子どもたち! 在イタリア35年の作家が見た幸せ子育て

在イタリア35年の作家が見てきたイタリア流幸せ子育て

児童文学作家:佐藤 まどか

自己肯定感が高いのは「家族の絆」が強いから

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イタリアでは、クリスマスは家族で過ごす。まずはアンティパストから。(著者撮影)

内閣府の「子供・若者白書※」によると、諸外国と比べると日本の子供たちの自己肯定感は低いです。平成30年の調査によると、日本の子供が「自分自身に満足している」と聞かれて、「そう思う」と答えたのは、10.4パーセントでした。同じ調査で、アメリカは57.9パーセント、イギリスは42パーセントでした。(※令和元年版 子供・若者白書 概要版

イタリアに35年在住の児童文学作家の佐藤まどかさんは、「イタリアでは大人も子供も自己肯定感が高いように感じます。それは家族の絆の力が強いからではないでしょうか」といいます。イタリアで娘さんを育て上げた佐藤まどかさんに「イタリア流幸せ子育て」について書いて頂きました。

愛の国の「離婚」と「再婚」

イタリアでは、親子、夫婦、恋人、兄弟姉妹、友達など、人間関係の絆がとにかく強く、スキンシップも、愛を言葉で伝えることも、驚くほど頻繁にやります。しかし、愛の国とはいえ、数年前に手続きが簡略化したため、急激に離婚が増えてきました(以前は離婚する事が非常に困難でした)。ISTAT(イタリアの国立統計局)によると、2019年の婚姻件数に対し離婚件数はその5割弱になっています。そもそも婚姻件数が減っているというのに、離婚件数が増えている事態です。私のまわりにも、離婚・再婚した人がかなり多いです。

そんなイタリアの離婚・再婚家庭の子どもたちの暮らしぶりを見て感じたことや、自分の子ども時代を思い出しながら、複雑な家庭の幸せルールにつて、考察したいと思います。

離婚家庭の“明るい”こどもたち

当時中学生だったアルディアの親は離婚協議中で、話の中によく「パパの彼女が」とか、「ママの彼氏が」という言葉が出てきていました。離婚が成立していないのに、もうパートナーがいるの? と思ったものですが、アルディアはあっけらかんと話してくれました。お姉ちゃんと一緒に、一週間おきに同じ市内のパパの家とママの家を移動しながら暮らしていました。

両親の離婚については「しょうがない。別れてそれぞれの道を行く方が健康的だと思うの!」と、笑い飛ばしました。明るくサバサバしたアルディアは、今や素敵な女性に成長し、イタリアの国立大学院の物理学科を出て、現在オランダで研究員をしています。

親子でカミングアウトした家庭

マッシモのパパとママも離婚しました。化学者のママと建築家のパパはお似合いの素敵なカップルでした。離婚理由はパパに好きな人ができたからなのですが、新しい相手は男性でした。ママは当然ショックだったようですが、「こればかりはどうにもならないわ」と彼女はため息をつきました。すくすく育ったマッシモは現在、研修医をしています。成人後自分も同性愛者であることをカミングアウトし、今では堂々とSNSに恋人との写真を投稿しています。

私の知る限り親子でカミングアウトした稀な例ですが、今は家族三人ともそれぞれのパートナーと暮らし、幸せそうです。幼い頃からマッシモを知っている私は、自分に嘘をつかなくて済む社会になって良かったねと、心から彼を祝福しました。

 夫の従姉妹は子連れの男性と結婚しました。生まれた女の子と、9歳離れた義兄は大の仲良しです。お兄ちゃんの方は、再婚したママとパパの家を、先述のアルディア同様行ったり来たりしながら暮らしています。問題はクリスマスですが、イブとクリスマスを毎年ママかパパと交代で過ごしています。でも最近は、可愛がっている妹のために、パパの方にいたいようです。兄妹の絆を築いた二人を、これからも見守っていきたいと思います。

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