子どもの「片付けない・勉強しない・朝起きない」に響く親の声がけとは? 人気ポッドキャスト『Teacher Teacher』の2人が教える子育て術
子育てのラジオTeacher Teacher#2~実践的なアプローチ術~
2025.01.27
ポッドキャスト番組『子育てのラジオ「Teacher Teacher」』(以下『Teacher Teacher』)を企画・運営するのは、元小学校の先生・はるかさんと、音声番組プロデューサーのひとしさんの2人。
ひとしさんは東京、はるかさんは福岡を拠点に世界中を回りながら、インスタグラムのDM(ダイレクトメール)に寄せられる親からの子育ての悩みに答えてきました。
届いた悩みに向き合って、大枠の台本を書くのははるかさんの役割。正解を導き出すのが難しい子育ての悩みに対して、いろいろな文献を読みあさり、自身の教員時代の経験を振り返って、はるかさんなりのアドバイスを見つけます。
ひとしさんは聞き手に徹しながらも、はるかさんの伝えたいことをよりわかりやすく嚙みくだいて、リスナーたちに真っ直ぐ届ける役目。はるかさんのアドバイスに対して、ときには鋭い視点から質問を重ねることも。
「始めたばかりのころは、ひとしがあまりに根掘り葉掘り聞いてくるので、『いやぁ、わからんねぇ』と言って終わる回もあったよね(笑)。
僕は知識と経験からひとつのアドバイスを提示するけれど、『それって実際にうまくいくん?』『でも、こういう場合はどうするん?』という、ひとしからの鋭い切り返しを想定しながら台本を書いています」(はるかさん)
「理論はわかっても、実践は難しい。はるかの知識や経験は信頼しているので、深掘りして質問していって、最終的に現実的なメッセージに行き着くんです」と、ひとしさん。
はるかさんの考え方や思いを咀嚼(そしゃく)し、一緒に“納得いくまで考える”。子育ての「理想」と「現実」をゆるやかに擦り合わせていく工程が、2人のトークの魅力です。
いろいろなメガネをかけ変え子どもを見る
はるかさんのアドバイスには、「いつもとちょっと違う角度から見てみると、子どもとの関係が変わるかもしれない」というポイントが隠れています。
『Teacher Teacher』のお悩み相談の中でも代表的なエピソード「中学2年生の息子の反抗期がひどい」に対しては、「I(アイ)メッセージを使ってみて」とアドバイス。それってどういうこと?
「反抗期は、親に言われてやるのが嫌な時期。だから、『片付けしなさい』『勉強しなさい』という主語が『あなた』のYouメッセージは、指示命令感が強く通りづらいものなんです。
それなら、お母さんやお父さんは『わたし』を主語にしたIメッセージに切り替えて使ってみてほしい。例えば『机を片付けてくれると、(お母さんは)助かるなぁ』『勉強してくれると(お父さんは)うれしいよ』とか。自分を主語に変換して語りかけると、子どもの反応が変わるんですよ」(はるかさん)
Iメッセージは、子どもの自立したいという気持ちを邪魔せず、思いやりの気持ちを育てることができる“魔法の言葉”だと言います。
「実際に、はるかの受け持ったクラスの子どもたちも変わったんだよね。『静かにしなさい』じゃなくて『静かにしてくれたら(僕が)助かる』ってこちらの気持ちを伝えてみると、子どもたちは反応してくれたって」(ひとしさん)
「そう。でも、子どもを動かそうと思って言うとうまくいかない。あくまでお願いや提案がベースで、行動してくれないかもという前提は持っていてほしい。もしもこちらの気持ちが伝わって動いてくれたときには、『ありがとう』と感謝をすることも大事やね」(はるかさん)
「はるかのアドバイスは、誰にでもすぐに実践できるという点がいいですよね。番組で話していることは、対子どもへのアプローチなのですが、会社でも使えるアクションで、『社会人でもタメになる』とよく言われます」(ひとしさん)
ほかにも、ダメ出しの逆でプリントに花丸と丸しか書かない『ヨイ出し』や、ポイントなどの報酬で遅刻癖を直す行動療法『トークンシステム』なども、反響が大きかったエピソード。悩みごとにひとつのエピソードになっているので、気になるお悩みをピックアップして聞いてみて。
「それぞれの悩みに対する解決策をそのまま活かすというよりは、子どもへの接し方を変えるメガネをいくつか持っておいてもらう、というイメージ。いろんなメガネを手に入れられたら、『こんなときにはこんな見方ができるんじゃないかな』、『こっちの見え方はどうだろう』ということができる。物事がクリアに見えることで、子育てがラクになってもらえたらいいなと思うんです」(ひとしさん)
見え方が変わることで、子どもへの関わり方を変えられるきっかけが見つかるはずです。