
「お金をかけず子どもの“非認知能力”を伸ばしたい!」親が“家庭で今日から”できること〔専門家が解説〕
#2 島根太郎氏に聞く「学童と非認知能力」~家でできる非認知能力の伸ばし方~
2025.08.19
株式会社東急キッズベースキャンプ代表取締役社長 社長執行役員:島根 太郎
そもそも「非認知能力」ってなんですか?
認知能力とは、数値で測れる能力のこと。代表例は学力で、算数も国語も社会も理科も英語もテストの点数で測ることができます。一方、認知能力に「あらず」をつける非認知能力とは……。島根太郎さんが2006年に創業した民間学童「キッズベースキャンプ」(KBC)では、なぜ非認知能力に注力しているのでしょうか。
「非認知能力とは、簡単に言うと点数化できない能力全般のことです。想像力、集中力、判断力、知的好奇心、やり抜く力といった内面的なもの、思いやりや公共心、コミュニケーション力などの他者との関わりを築いていく社会的なスキル。また、それらを含んだ人間性や人柄も非認知能力に含まれます。
例えば、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手。認知能力は当然ですが、どの人が見ても『大谷選手ってすばらしい人柄だよね』と思えてしまう非認知能力の高さが魅力ですよね」
島根さんの「キッズベースキャンプ」では、「社会につながる人間力=非認知能力」と考え、子どもたちの人間力を伸ばすよう放課後時間をデザインしていると言います。
「私たちは子どもたちの非認知能力を『自分軸』と『社会軸』の2つの軸で捉えています。
自分軸:自己肯定感、自立心、探究心、危険回避能力など、自分の考えを持ち、自立した個を確立していくための軸。社会軸:コミュニケーション力、共感、公共心など、他者と関わっていくための軸。
そして、それらの一番基礎になるのが、子どもが生まれたときから保護者の方に抱っこされ、慈しまれて大切にされることで育っていく自己肯定感です。その土台の上に、学童期にいろいろな体験活動や人との関わりを通して非認知能力が伸びていくと考えています」

非認知能力が伸びる体験は普段の生活にある
能力を伸ばす……と聞くと、ついつい思い浮かべてしまうのが習い事です。
公文で計算能力を伸ばす。英語塾で英語力を伸ばす。プログラミング教室でプログラミング力を伸ばす。体操教室で運動能力を伸ばす。このように目に見える効果があるものを選びがちですが、これらは認知能力の話。非認知能力については、日常生活の中にこそ伸ばしていくチャンスがあるようです。
「非認知能力は毎日のルーティーンの中でゆっくりと育まれていくもの。子ども同士のコミュニケーションや外遊び、大人とのやりとり、ボーッとしている時間。日常の中にとけ込んだ出来事もすべて、その子にとって大切な体験となります。
ポイントは強制的にやらされるのではなく、子どもが自由な選択の中から自分で決めて取り組むことです」