
【日本初・スマホ認知症外来の医師に聞く】子どもにも起こる「スマホ認知症」と“脳のゴミ屋敷化”の話
「スマホ認知症」の怖さと予防法 脳神経内科医が解説 #1 (2/3) 1ページ目に戻る
2025.12.02
脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長:内野 勝行
「認知症」とは何が違う? 「スマホ認知症」ってナニ?
「認知症」については物忘れが増えたり、人の名前が容易に思い出せないなど、ある程度、症状のイメージを持っている方は多いでしょう。では、私たちが知っている「認知症」と「スマホ認知症」には、どのような違いがあるのでしょうか。
「『認知症』は、脳の病気や障害などが原因で認知機能が低下し、それによって日常生活に支障が出る状態を指します。たとえば、よく耳にするアルツハイマー型認知症は、脳の中の海馬という部分が痩せて、記憶や感情のコントロールなどができなくなってしまう状態です。
これに対して『スマホ認知症』は、脳の病気や障害が原因ではありません。スマホなどを含めたデジタルデバイスへの依存症のことをいいます。
ひと昔前に、『テレビ中毒』や『ゲーム脳』などの言葉がありましたが、スマホ認知症はそれらの発展系です。
ただし、単にテレビ→ゲーム→スマホとツールが変わったわけでなく、スマホは小型軽量化されて持ち歩きやすい上に、ゲームや音楽、SNSなど多様な機能を搭載できるので、依存性がより高くなる性能を持っています。かつてのツールとは違った厄介な特徴があるのです。
スマホ認知症は、若年層を含めて、あらゆる年代で発症する可能性がある状態です」(内野先生)
スマホ認知症の人は頭の中が「ゴミ屋敷」の状態
「スマホ認知症」は、スマホなどを含めたデジタルデバイスへの依存症のことをいいますが、依存度が高まると具体的にはどのような傾向が見られるのでしょうか。
「認知症の主な種類のうち、最も有病率の高いアルツハイマー型認知症を例にして説明すると、アルツハイマー型認知症はそもそも脳に情報が入ってこない状態です。情報が入ってこないから、物事を覚えられないということになります。
しかし、スマホ認知症は情報は入ってくるけれど、それを正確に出すことができない状態です。
脳は睡眠や散歩、ボーッとしている間に記憶を整理しますが、スマホに依存しているとどんどん新しい情報が入ってきて整理をする暇がなくなり、これが正しいアウトプットを阻害します。
実生活でたとえるなら、物が散乱している部屋に、さらに新しい服をたくさん買ってきて部屋中に投げ散らかし、着たい服が探し当てられない状態とでもいえるでしょうか。
つまりスマホ認知症は、頭の中がたくさんの情報でゴチャゴチャになっているゴミ屋敷の状態。脳の中が整理されていないので、勉強や生活のことがすぐに出てこなくなります」(内野先生)
脳は情報過多になって、記憶を引っ張り出したり、深く考えたりすることが困難になると、機能を停止するスリープモードという働きも備えています。
スリープモードは、仕事や家事など、ほかのことに追われている大人よりも、子どものほうが陥るリスクが高く、だからこそ内野先生は、子どものスマホ利用には注意が必要だと警鐘を鳴らします。



































