
【日本初・スマホ認知症外来の医師に聞く】子どもにも起こる「スマホ認知症」と“脳のゴミ屋敷化”の話
「スマホ認知症」の怖さと予防法 脳神経内科医が解説 #1 (3/3) 1ページ目に戻る
2025.12.02
脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長:内野 勝行
我が子の様子を思い出しながらチェック! 「スマホ認知症」危険度
スマホへの依存度が高まり、考えるのを投げ出してしまうのは非常に恐ろしいこと。子どもであれば、学力の低下につながります。
我が子の普段の様子を思い出しながら、「スマホ認知症」の危険度をチェックしてみましょう。
我が子の「スマホ認知症」危険度チェック
□ スマホはいつも手元にスタンバイしている
□ スマホがないとイライラする
□ 話しかけても反応が薄い
□ 話しかけても言葉がすぐに出てこない
□ 覚えておくために写真を撮る
□ スマホ以外で調べものをしない
□ いつも睡眠不足の状態だ
□ やる気が起きず、興味も湧かない
「チェックのうち、3項目以上該当する場合は要注意です。理性や社会性、計画性などを司る前頭葉の機能が低下している可能性があるので、子どもには脳を休めたり、スマホを手放したりする時間が必要だと親御さんは受け止めてください」(内野先生)
ちなみに、スマホ認知症危険度チェックは、次の項目で親御さんも調べることが可能です。子ども同様、3項目以上該当する場合は要注意と受け止め、自らのスマホ利用を見直してみましょう。
大人の「スマホ認知症」危険度チェック
□ スマホはいつも手元にスタンバイしている
□ 知っている人の名前がすぐに出てこない
□ 最近、漢字が書けなくなった
□ 覚えておくために写真を撮る
□ スマホ以外で調べものをしない
□ いつも睡眠不足の状態だ
□ やる気が起きず、興味も湧かない
□ 仕事や家事の段取りが悪くなった
子どものスマホを強引に取り上げるのはNG! 無理なスマホ断ちがもたらす悪影響
「僕のクリニックに来た男の子と母親の例です。お子さんがスマホばかりやっているというので、お母さんが男の子のスマホを隠したら、子どもが激怒した挙げ句、けいれんも引き起こしたというケースがありました。
母親の話では、強硬な手段に出て以来、お子さんは親と会話をしなくなったということです。
ですから、子どもがスマホばかりやっているからといっても、無理に端末を取り上げないでください。スマホに依存している場合は、生活の些細なところから少しずつスマホを手放していく訓練が必要です」(内野先生)
昨日は100で満たされていたことが、今日は突然ゼロになってしまったら、大人も喪失感や苛立ちを感じます。
子どものためとはいえ、好きなものや熱中していることを失う大きさを、強引な行動に出る前に、ぜひ親御さん自身に置き換えて考えてみてほしいと内野先生はいいます。
また、先生は「厳しいことを親御さんには伝えるけれど」と前置きしたうえで、「子どもにスマホを与えたのは大人です。そのため、今の我が子のスマホの使い方は、親御さんのしつけや教育の表れです」と加えます。
子どもは自分の居場所が家庭や学校、塾といった限られた範囲のため、大人よりもスマホに熱中していく率が高く、のめり込んでいくスピードも速いのが現状です。しかし、早めに手を差し伸べた分だけ、スマホ認知症からの立ち直りも早いと内野先生はいいます。
次回は、内野先生のスマホ認知症外来で診察を受けた親子の事例とその治療法、勉強や仕事でデジタルデバイスを長時間利用した場合の、スマホ認知症の危険度などについて紹介します。
取材・文/梶原知恵
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◆内野 勝行(うちの かつゆき)
脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長
帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て、2015年に金町脳神経内科・耳鼻咽喉科(現・金町駅前脳神経内科)を開設。2025年6月には、オンライン診療による日本初「スマホ認知症」専門外来を開設し、子どもから大人にいたるまで、スマホ依存に悩む人たちの治療にあたっている。日本医師会認定産業医、学校医、厚生労働省認定認知症サポート医などでもある。
【スマホ認知症】の連載は、全2回。
第2回続きを読む
※12月3日よりリンク有効
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梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。




































内野 勝行
脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長 帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て、2015年に金町脳神経内科・耳鼻咽喉科(現・金町駅前脳神経内科)を開設。2025年6月には、オンライン診療による日本初「スマホ認知症」専門外来を開設し、子どもから大人にいたるまで、スマホ依存に悩む人たちの治療にあたっている。日本医師会認定産業医、学校医、厚生労働省認定認知症サポート医などでもある。 金町駅前脳神経内科
脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長 帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て、2015年に金町脳神経内科・耳鼻咽喉科(現・金町駅前脳神経内科)を開設。2025年6月には、オンライン診療による日本初「スマホ認知症」専門外来を開設し、子どもから大人にいたるまで、スマホ依存に悩む人たちの治療にあたっている。日本医師会認定産業医、学校医、厚生労働省認定認知症サポート医などでもある。 金町駅前脳神経内科