子どものウソは自己防衛! 気になる「5つのウソ」を親の行動変化でなくそう 

公認心理師・佐藤めぐみさんに聞く「子どものウソ」の対応の仕方 #1 親が気にしなくていい2つのウソと、親が気になる5つのウソ

公認心理師:佐藤 めぐみ

「子どものウソ」はどんな理由からついてしまうのでしょうか?  写真:アフロ

子どもが少しずつ言葉を話せるようになり、家族や友達との会話が成り立つようになってくると、あるときから出てくるのが「ウソ」です。

初めて子どもがウソをついたことに気づいたとき、ショックを受けるママパパも少なくありません。子どもはどうしてウソをつくようになってしまうのでしょうか。

育児ストレスのカウンセリングなどを行う傍ら、スマホで受講できるオンラインの子育て心理学講座の配信をしたり、0~10歳の子どもの育児に役立つ心理学を発信する公認心理師の佐藤めぐみさんは、子どものウソについて「自己防衛」であると言います。

佐藤めぐみさんに教えてもらう「子どものウソ」が生まれる理由と対処法。1回目は、親が気にしなくていいウソと気になるウソについて解説していただきます。

(全3回の1回目)

想像力から生まれるものや、柔らかいウソは気にしなくてもよい

まずは、親が気にしなくてもいい子どもの2つのウソについて、説明しますね。

1つめは広義で捉えるところのウソで、ファンタジーやイマジネーションとも言えるもの。だいたい2歳過ぎころから見られます。

ごっこ遊びがまさにそれで、例えば、ぬいぐるみのクマさんを手にとって「お腹がすいたって言っているよ」と言ったり、空のコップでこくこくと飲む真似をしたりするのもそうですね。「ウソ=事実ではないこと」とすると当てはまってしまうのですが、これは、現実ではないことを、さも現実かのように表現する、子どもならではの想像力です。

2つめは、ママの誕生日にパパと秘密で準備をして、「私ちょっと部屋でお勉強してくるから」と、席を外したけれど、本当はプレゼントを用意していたり、似合っていない髪型を「似合っているよ」と言ってくれたりなどの優しさのあるウソ。こうした人間関係をスムーズにさせる柔らかいウソは、親として全く気にすることはありません。

公認心理師の佐藤めぐみさん。ご自身も子育て中の一児のママです。

親が気になる子どもの5つのウソ

一方で、親として気になるな、というウソは、ざっくり5つに分けられます。

1つめは、「自分が一番得をしたい」というときに出てくるウソ。例えば、順番にバドミントンやりましょう、というような「平等に何かをやらせたいとき」。みんな同じだけやっているのに、「自分だけ、みんなより少ししかやっていない」と言ったりするウソです。

2つめは、1つめと似ていますが、「欲しいものを手に入れたい」ときのウソ。クッキーを食べ終わっているのに「私まだ1個も食べていない」というような、子どもによくあるウソですね。

3つめは、「𠮟られたくない」、「罰が怖い」というときに出るウソです。親御さんが見ていないところで、兄弟ゲンカが始まってしまい、「僕は叩いてない、お兄ちゃんが叩いた」、「いや、僕じゃない、弟だ!」という場面などで出るウソです。

4つめは、「できればやらずに済ませたい」という心理が働くときのウソで、「宿題やったの?」と聞いたときに、やっていないのに「やったよ!」と言ったり、「本はお片付けしてくれた?」と聞いたら、やっていないのに「したよ~!」と答えたりするウソです。

5つめは、これだけ少し高度になってくるのですが、周りによく思われたい、いい顔をしたいというときにつくウソです。例えば、「先生にあの手紙渡しておいてくれた?」と聞いたとき、「しまった、忘れちゃった!」と思っているにもかかわらず、「ちゃんと渡しておいたよ」と言う、体裁を繕うような場面で出るウソですね。ただこれは、「周りによく思われたい」という、他者の目線を気にしていることからの行動の表れです。未就学児6歳ぐらいまでのお子さんの多くは、まだ客観性を獲得していない年齢になるので、小学生低学年ぐらいから出てくるウソになります。

5つのウソに共通するところは?

最初の4つに共通しているのは、「自己防衛的」だということです。

自分を守りたいとか、自分が得をしたいということも含め、「自己防衛」としてのウソというのが、小さい子どものつくウソの共通点です。ひとりひとりの認知発達のレベル、物の考え方のレベルなどに即して、未就学児のウソの多くはこのどこかに入るかと思います。

そして5つめの、よく保護者の方が子どものウソを注意するときに、「自分がこんなことされたらどう思う?」という言い方をしますよね。

「人の立場に立って同じことをされたらどう思うか」という言い方ですが、その目線をまだ持っていない、未就学児の子どもにとっては、とても難しい言葉なんです。ですから、かけた言葉に対する効果も、期待することはできません。

「他者の目線を気にする」という5つめだけは、ウソのレベルとしては格段に上で、それ以外の4つは完全に自己中心的なところから来ているウソになります。

相手をおとしいれようとか、だましてやろうという、相手に対する「悪意」のあるウソは、実はとても高度な意識レベルが必要になります。ですから、未就学児の子どもの多くがつくウソは、悪気や悪意があって言っているのではなく、自分の周りに壁やシールドを作るようなもので、あくまで自分を中心に考えたときの、自己防衛からきているんですね。

そして、これらのウソは、子どもに「つくな」と注意しなくても、親自身のちょっとした行動の変化でなくなっていくことが多いのです。

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2回目では、年齢とともに変化するウソや、どんな子がウソをつきやすいのかを、引き続き佐藤めぐみさんに、詳しく教えていただきます。

取材・文/浅妻千映子

佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

0~10歳の子の育児に役立つ心理学を発信する公認心理師。英・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会認定心理士。自身が運営する『育児相談室・ポジカフェ』では、子どもの困った行動に悩むご家庭向けの行動改善プログラムや育児ストレスのカウンセリングを行う傍ら、学びの場『ポジ育ラボ』にてスマホで受講できるオンラインの子育て心理学講座を配信中。

さとう めぐみ

佐藤 めぐみ

公認心理師

0~10歳の子の育児に役立つ心理学を発信する公認心理師。英・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会認定心理士。自身が...