しまおまほ 子育てのキーは“脱力” 子どもと会話がはずむ“聞き手”の極意とは

エッセイスト・しまおまほインタビュー #2「“脱力”の大切さ」 (2/3) 1ページ目に戻る

エッセイスト:しまお まほ

我が子となると圧がすごい

エッセイスト・しまおまほさんの新著『しまおまほの おしえて!ミュージシャンのコドモNOW!』(リットーミュージック)では、子どもたちの驚くほど自由な発言がそのまま飛び出し、その向こう側に、ステージとはまた違うミュージシャンの親の姿や、家庭の空気感が見えてきます。

子どもたちへのインタビューでは、肩の力が抜けた雰囲気で、どんな子どもとも自然体でやりとりを楽しむしまおさん。さぞかしご自身の子育てでも、子どもから本音を引き出すのが上手なのかと思いきや──?

「いやいや、我が子となると難しい。何かを聞きたいとき『答えろよ』みたいな圧がグッと出ちゃうんですよね。『あなたの話を聞かせて!!』というオーラがすごいんだと思います。

息子も、『母は学校や勉強のことを探りたいんだな』と察知してしまい、『めんどくさい』『どっちでもいい』といった反応に……。

自分の子どもに関しては、他の人に聞き出してもらって、それをこっそり私が盗聴するくらいがいいのかもしれないですね(笑)」(しまおさん)

他人の子どもには「好きにしゃべっていいよ」と構えずにいられるのに、我が子となるとつい答えを引き出そうとしてしまう。その力みこそが、子どもの本音を遠ざけてしまうのかもしれません。

だからこそ、しまおさんは我が子と向き合うときにも、できるだけ肩の力を抜くことを意識しているといいます。その背景には、息子さんが通っていた保育園の影響も大きくありました。

「雨の日も雪の日も外へ出て、泥んこ遊びが当たり前の園でした。園長先生からは、『ほかの子と比べない』『“もう◯歳なんだから”と言わない』『子どもの行動に先回りしすぎない』などとよく言われていました。『とにかく肩の力を抜いて子育てしなさい。どうにかなるから』と。

例えば、つい子どもに『寒くない?』って聞いてしまうじゃないですか。すると園長先生は『それじゃあ子どもがかわいそうだよ』と言うんです。寒かったら、子どもは自分で『上着を着たい』って言うから、その“気づくチャンス”を大人がうばわないでと。そういうことをよく言われましたね」(しまおさん)

園長先生の言葉に、ハッとさせられるパパママも多いのではないでしょうか。「ケアをしなくちゃ」と力みがちな気持ちを、大切な我が子だからこそ、ときにゆるめること。その考え方が、しまおさんに強く残っているのだとわかります。

向かいの家のテレビを双眼鏡で見ていた!?

書籍では、“子どもとデジタルコンテンツとの距離感”についても、興味深いエピソードが多く見られました。

「UAさんの息子、ゆーまくん(当時9歳)は、『ゲームをやりすぎて、パパにゲーム機を隠された』と言っていました。カナダの離島にあるご自宅ではニワトリやガチョウを飼っていて飼い猫のお産の話も出てきたりするのに、そんな自然豊かな環境でもゲーム機は持ってるんだと意外でしたね」(しまおさん)

しまおさん自身は、ゲームやYouTubeに対して「適度なルールで見守る」スタイル。その理由は、自身の幼少期体験が影響しているといいます。

「私が小さいころ、家にテレビがなかったんです。だから普段は向かいの家のテレビを双眼鏡越しに見てました。やがて待望のテレビがやってきましたが、父から見ていいと許されたのはなぜか『オレたちひょうきん族』だけでした」(しまおさん)

しまおさんのデビューは大学1年生のとき。自身が高校生のときに描いた、コギャルを主人公にした漫画『女子高生ゴリコ』(扶桑社)だった。
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テレビを双眼鏡で、とは驚きですが、制約があるとかえって気持ちが強くなることも。しまおさんは大学生になって自分の部屋にテレビがきたとき「とにかくなんでもいいから見たい!」と一日中つけっぱなしにするようになりました。

「子どものころはお菓子も自宅にほとんどなかったから、いまだにお菓子にはちょっと特別感がある。心のどこかで執着してる自覚があります。だから、この反動ともいえる現象はいかがなものか……という気持ちもあって、ゲームもYouTubeも適度に許容しています。実際は、適度を超えてゆるゆるなんですけどね」(しまおさん)

子どもとうまく話すコツは“脱力”

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