「子育てひろば」全国に7800ヵ所 “孤育て”をサポートしてもらう第一歩とは?

NPO法人せたがや子育てネット代表理事 松田妙子氏に聞く「子育てひろば活用術」#2 ~実践編~

NPO法人せたがや子育てネット代表理事:松田 妙子

あるママが、ひろばで出会ったママ友や子どもたちへの絵本の読み聞かせをしてくれた。  写真提供:NPO法人せたがや子育てネット

まずは興味のあるプログラムに参加しよう

ひろばは“孤育(こそだ)て”をサポートしてくれる場所だとわかっていても、赤ちゃんを連れて親一人で初めて交流の場所に行くことは、少しハードルが高いという人もいます。そんなときは、どうしたらいいのでしょうか?

「目的別にプログラムを組んでいる施設も多いので、自分の興味にあったプログラムにまずは申し込んでみる! というのがおすすめです。プログラムに参加しながら、場の雰囲気に慣れていくこともできると思います」

プログラムは、ひろばによって多種多様です。

「人気があるのは、“絵本の読み聞かせ”ですね。地域のボランティアさんなどが、絵本の読み聞かせをしてくれます。

子どもにどんな絵本を読んだらいいのかなどのアドバイスももらえますし、なにより子どもが絵本に夢中になる姿が見られるので、人気が高いのかもしれません。

ほかにも、好評なのは“赤ちゃんのあやし方・語りかけ方”をテーマにしたプログラムです。特に第1子を育てている保護者さんにとても人気がありますね。

そもそも“あやす”って何? と難しく考えてしまって、悩んでしまう人も多いので、そのヒントがたくさんもらえると、毎回とても人気なんですよ」

ほかには、助産師さんの相談会・外遊びの日・はじめてさんの日など、いろいろなプログラムが用意されています。

全国の各施設では、独自でホームページを持っていたり、InstagramなどのSNSで情報発信をしている施設も多いので、自分の地域のひろばで実施されているプログラムを探してみるのもよいかもしれません。

また、役所や地域センターなどにチラシが置いてあることも多く、まずは身近な場所からチェックし始めてみるのもおすすめ。

「まずは、自宅から距離が近くて、ベビーカーで行ける場所から探してみてください。そして、勇気を出して遊びに来てください。きっと、そこには安心して子育てをするために、味方になってくれる人がいますから」

地域の方から絵本のプレゼントがあり、みんなで読みあいました。  写真提供:NPO法人せたがや子育てネット

ひろばへ恩返しをしたいというスタッフも

子育ての味方がいる場所というと、“孤育て”や“アウェイ育児”に悩む人には、とても心強く感じられるはず。では、実際に“味方”になってくれるスタッフさんはどんな人たちなのでしょうか。

「『せたがや子育てネット』のように、地元のNPOなどが運営している場合は、長い間、その地域で子育て支援を続けてこられたベテランの方もいらっしゃいますね。

また、昔、自分が子育て期にひろばに通ってサポートを受けていたという人もいます。そういう人の中には、自分が助けてもらったから、今度は自分が助ける側になりたいという強い気持ちをもってくれている人も多いです。

児童館や保育所などの運営施設では、プロの保育士さんなどがサポートしてくれます。だから、どの施設に行っても安心感をもって、過ごしてもらえることができると思いますよ。

私は、ひろばのいいところは、スタッフも利用者もいろんな人が集まっているところだと考えています。

孤立しがちな子育ての中で、さまざまな人に出会って、サポートをうけたり、何気ない日常会話をすることで、気持ちが前向きになったり、新しい発見をするような居場所になれたらいいなと。だから、みなさん気負わずに一度は足を運んでみてください。きっとそこから、何かが広がっていくはずです」

知らない土地で、知らない人に囲まれての不安の多い子育てを、あたたかくサポートしてくれる“ひろば”。そこには、アウェイ育児を、ホーム育児に変えてくれるやさしさが、きっとあるはずです。

次回は、現在のひろばが抱えている課題と、これからの社会でひろばができること、目指していくことなどを松田さんに語っていただきます。

取材・文/関口千鶴

※1=地域子育て支援拠点事業に関するアンケート調査2015
※2=地域子育て支援拠点事業の実施状況(令和3年度実施状況)

16 件
まつだ たえこ

松田 妙子

Taeko Matsuda
NPO法人せたがや子育てネット代表理事

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事。1998年、自身の子育て中に赤ちゃんサロンを開催したのをきっかけに、2004年にNPO法人「せたがや子育てネット」を設立。 以後世田谷区を中心に子育て支援活動を行い、その活動は全国に及び、現在は、子育てひろばの全国組織「NPO法人子育てひろば全国連絡協議会」の理事も務める。せたがや子育てネットが主宰する「ぶりっじ@roka」は、子育てひろばのモデルケースとして全国から多くの視察者が訪れている。 ●NPO法人せたがや子育てネット

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事。1998年、自身の子育て中に赤ちゃんサロンを開催したのをきっかけに、2004年にNPO法人「せたがや子育てネット」を設立。 以後世田谷区を中心に子育て支援活動を行い、その活動は全国に及び、現在は、子育てひろばの全国組織「NPO法人子育てひろば全国連絡協議会」の理事も務める。せたがや子育てネットが主宰する「ぶりっじ@roka」は、子育てひろばのモデルケースとして全国から多くの視察者が訪れている。 ●NPO法人せたがや子育てネット

せきぐち ちづる

関口 千鶴

Sekiguchi Chizuru
編集者・ライター

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon