保健室の先生が教える「子どもの心をみる」6つのとっておきテクニック

我が子の悩みがわかる! 保健室の先生に学ぶコミュニケーション術#2

子どもの自立を応援する「相る」ポイント

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■子どもが、依然としてストレスがある場合は「相談」の時間をすぐに作る。
■勉強や友達関係など、子どものストレスの内容を確認・把握する。
■クラス替えがあった、クラスでいじめが起きているなど、子どもが置かれている状況を詳しく知る。
■勉強を手伝ってほしいのか、病院に連れていってほしいのかなど、どんな助けが必要かをきく。
■子ども自身が最終的な決断を下すように導く。
■自ら決断した行動だと納得できるように、子どもに認識させる。
■今後、悩みがあったとしても誰かに相談するなど、解決できるように自立につなげる。

大人は相談されるとアドバイスをしたくなりますが、助言が間違っている場合もあります。話をきくことに徹して、子ども自身が決断を下すように導いてあげることが重要です。保健室での例となりますが、眠気を催す薬を服用していて、学習が難しい子に次のように伝えたことがあります。

────眠くなるまでは、教室で勉強を頑張ってみる? どうしても無理そうだったら、学習室か保健室で勉強してもいいし、いったん眠ってスッキリしてから教室へ戻るか決めてもいいかもね。あなたはどうしたい?

ここでは子どもの背景をすべて把握した上で、いくつかの選択肢を出して、本人に選ばせることをしました。

そして、家庭でも忘れずにやっていただきたいのが、最後に「自ら解決できるように自立につなげてあげる」ことです。子どもが話してくれたことには「ありがとう」「よく話してくれたね」と子どもの勇気を称えてあげてください。

これを行うことで今後、悩みがあったとしても自ら誰かに相談できるようになり、解決していく力になっていきます。

日常生活で「みる」を使えるシーンとは?

仕事や介護など、生活自体が忙しくて子どもの様子をみる時間が取れない場合や、うっかりみるのを忘れてしまった場合は「●●ながら」の方法で行うことができます。

「まずは勉強している姿でみることができるでしょう。低学年はリビング学習をしている子もいますから、家事などの合間に垣間みることができます。順調に問題が解けているか、鉛筆やノートは足りていて使い方はどうかなど、見守りながら会話も挟むことができるでしょう。

家の中だけじゃなく、屋外でもみる機会はあります。習い事をはじめ、買い物や旅行など、友達や同じ教室の仲間とのやりとりだけでなく、親以外の大人と接するときも『みる』タイミングです。

いつも一緒の友達と今日は離れて過ごしている、積極的プレーが得意なのにそれができていない、いつもは元気に挨拶できるのにうつむいてばかりいるなど、子どもが出している何らかのサインを違和感として感じ取れる場面がたくさんあるでしょう。

習い事や外出先では、集団の中での我が子をみることができます。 写真:アフロ

『みた』後は、親として子どものどこが気になったのか、どういう気持ちを子どもに抱いたのかということだけでなく、最終的にどんな対応をしたのかをメモしておくのもおすすめです。おうちの方も感情を整理しておくと、今後に役立つだけでなく思い出にもなります。

人は言葉で吐き出せたら、ある程度の悩みは解決します。子どもから気持ちを上手に引き出すためにも数行で構いませんから書き出してみると、親も冷静に解決の糸口や提示できる選択肢をみつけられるでしょう。

また、書くという行為は考えが整理できるだけでなく、家族関係を深めるツールにもなります。ホワイトボードやLINEのメッセージなどを親子間で使ってみてもいいでしょう。小学校低学年なら手紙もいいですね。字を覚えて書くことが楽しい年齢ですから、喜んでやりとりしてくれるはずです」(渡邊先生)

次回は「みる」の地続きにある「きく」を掘り下げます。「きく」にも順序があり、段階を踏むことが大切です。また、「みる」と「きく」を掛け合わせた具体的な使い方なども紹介します。

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渡邊 真亀子
小学校の養護教諭。健康教育専門家。特別支援教育コーディネーター。カウンセラー有資格。児童学修士。私立保育園の評議員。小学校の保健室の先生として30年以上のキャリアを持ち、3000人以上の子どもやその保護者の健康相談に対応してきた。特に子どもたちの歯の健康促進に力を注いで、勤務校3校にて全日本学校歯科保健優良校表彰において最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞している。その功績が称えられ、平成28年東京都学校歯科医師会より東京都学校歯科保健功労者表彰を受賞。著書の『保健室の先生だけが知っている子育て(総合法令出版)』はタイ語版も出版されている。

【主な著書や監修書】
『保健室の先生だけが知っている子育て』(総合法令出版)
『保健室の先生がお母さんに教える 小学生のための歯のはなし』(WAVE出版)など

『保健室の先生だけが知っている子育て』(総合法令出版)


取材・文/梶原知恵

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かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。