保健室の先生が教える「子どもの心をみる」6つのとっておきテクニック

我が子の悩みがわかる! 保健室の先生に学ぶコミュニケーション術#2

子どもには誰かに頼りたい、誰かと話したい、誰かと一緒にいたいと強く思うタイミングがあります。 写真:アフロ

心の不調を抱える子が多くなっている現代。コロナという特異な状況を経て、その傾向はますます強まっています。また、社会の影響を受けて保健室には「何となく」来室する子が増えると同時に、精神的支援を必要とする子どものケアに養護教諭は心を砕いています。

保健室の先生として30年以上のキャリアを持ち、3000人以上の子どもとその保護者の相談にのってきた渡邊真亀子先生は、子どもの心の不調に対して独自のコミュニケーションメソッドで寄り添ってきた養護教諭です。

保健室から生み出されたという子どもの心に寄り添う方法は、彼らが抱える不安や心配を軽くするプロセスです。学校で使われているメソッドを家庭でも応用して、親子関係を深めてほしいと話す渡邊先生が日常生活での使用方法などを紹介します(全3回の2回目。#1を読む)。

「子どもの心をみる」には順番が大切

心にモヤモヤを抱えている子どもは、何かしらのサインを出しています。腹痛や頭痛を訴えたり、朝にちゃんと起きることができなかったり、あるいは夜更かしをしがちなどの小さな変化を見せます。

「子どもたちは、おうちの方に気にかけてもらうことで安心感を得ています。子どもが幼かったころを思い出してみてください。大人の気を引こうと『みて! みて!』と主張してきたはずです。

小学生になって体は大きくなっていますが、子どもの心の中には依然として親に気にかけてもらいたいという欲求があります。ですから、子どもから出るサインはみてほしいという気持ちの表れです。

ここからは、サインを見逃さないための6つの『みる』について詳しく解説していきます。子どもの心をみるにはプロセスが重要です。急に距離を詰めるのではなく、順を追って寄り添っていきましょう」(渡邊先生)

保健室から生まれた6つの子どもの心をみる

プロセス1)全体を把握する「見る」

保健室から生まれたメソッドを使って、朝、クラス担任は教室全体を把握することから始めます。子どもの様子はどうか、学習環境として教室は安全か、あるいは適切かなどを確認します。

従って、家庭でも全体を把握することから始めましょう。朝や帰宅時に、家庭内は子どもが基本的な生活を安全に、かつ自分で行える環境かどうかを確認します。部屋や生活空間は暮らしやすいか、歯磨きなどがスムーズに行える場所に整っているか、勉強に向き合える環境になっているかなどをチェックしてみてください。

子どもがグズグズしていた場合、もしかしたら環境がそうさせているのかもしれません。まずは子どもの目線に合わせて、自ら取り掛かれるように整頓します。

そして、環境を確認すると同時に子どもの様子もザッと見て、異変がないかを把握します。学校では教室を見渡しつつ、「起立」の声で立ち上がれない子がいないのかも見ているのです。

プロセス2)子どもの変化を確認する「観る」

次は、出欠を取る際に行っていることです。先生は点呼を取りつつ、子どもの様子をひとりひとり観ます。ここで大切なことは、「いつものこの子と違った点はないか」という観点で観ることです。ほかの子と比較するのではなく、あくまでもその子の昨日と今日の違いを観ます。

おうちでも子どもがいつもと違う表情や行動をしていないか確認してみましょう。きょうだいがいる場合は一度に複数人を観察するのではなく、ひとりひとりをしっかり観ることが大切です。そして、次のことに注目するといいでしょう。

■「らしく」ないことはしていないか?
■リアクションに変化はないか?


今日はご飯を食べ残している、おしゃべりが好きなのに話しかけてこない、声かけをしても反応がないなど、その子の変化に敏感になってみましょう。いつもと違うと感じたら、子どもの様子をよく観て、子どもの身の回りの出来事を想像してみてください。

また、違和感=観るに繫がることもあります。「あれ? 何か今日は違う?」と感じたら、次のプロセスに進みます。

プロセス3)具体的な不調の兆しをみつける「視る」

先生は教室で「この子、いつもと違うな」と思ったら、違和感を感じた子どものことをじっくりと視ます。この段階では顔色や落ち着きがある/ないなど、具体的な不調の兆しをみつけます。

家庭でも子どもの体→心の順に注目してみてください。体の不調は、顔色が悪くないか、体のどこかをかばっていないかなどが視るポイントです。子どもは不調をうまく言葉で言い表せないことがあるので、親のほうで体調の変化やケガに気づいてあげることが大切です。

体のチェックが済んだら、次は心を視ます。いつもとは違うリアクションをプロセス2の「観る」時点で子どもがとっていたなら、行動の意味を探ってみます。

声かけに反応がないなら心ここにあらずの状態ですし、トゲトゲしい返答ならイライラしているのでしょう。ため息が多いのなら、落ち込んでいるのかもしれません。プロセス3では不調の内容をみつけます。


プロセス1)~プロセス3)までは、子どものサインを取りこぼさない方法です。ここまでの「みる」で子どもの変化を感じ取れたなら、子どもが抱える心のストレスを具体化する段階へ進んでみましょう。

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