ほんとうの【小学校入学準備】「外遊び」が地頭・免疫力・調整力を身につける理由 〔教育コンサルタント〕が解説

《第3回》外遊びで生きる力と免疫力を育てよう/幼児期に「生きる強さ」を身につける7つのこと(全7回) (2/2) 1ページ目に戻る

文章力養成コーチ・教育コンサルタント:松嶋 有香

松嶋:外の世界では、体を使って距離感をつかんだり、虫を触る時の力加減を覚えたりといった、家の中では得られない刺激があふれているからです。体力がつくことで免疫力も上がりますし、何より外遊びは無料で楽しめます。いいことしかありません。

外遊びで子どもたちは体を使って、その中でトラブルの解決策などを経験することができます。

公園での遊びは、ルールが最初から決まっているわけではありません。誰が先にすべり台をすべるか、ブランコは何回で交代するか、砂場の道具をどう貸し借りするか。子どもたちはその場で交渉し、衝突し、折り合いをつけます。小学校のテストでは測れないけれど、大切な力が、そこにあります。

さらに年上の子を見て真似をする。年下の子に譲る。こうした経験は、家庭内だけではつくりにくいものです。

松嶋有香さん近影 撮影:講談社写真映像部
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──どのくらいの頻度で、外遊びをさせたらよいのでしょうか?

松嶋:インドアタイプの子もいますので、無理やり外に連れ出さなくてもだいじょうぶです。一方で、「うちの子は外遊びが苦手だから」と決めつけないことも大切です。最初は転んだり、うまくボールが扱えなかったりするかもしれませんが、続けていけば上達することもあります。

「とにかく外遊びをさせてほしい」という提案は、毎日長時間させなくてはいけないという意味ではありません。

家の外に出る回数を増やして、外の世界に慣れること。途中で疲れたら帰ってもいい。雨の日は無理に出ないなど、親子が続けられる形を探すことが、結果的に外遊びの量を増やすことにつながるんですよ。

「洗濯が大変」を乗り切るコツは、汚れを諦めてお風呂に直行!

──洋服が汚れると洗濯が大変なので、正直めんどうだなと思ってしまいます。

松嶋:汚れることは仕方がないと諦めましょう(笑)。これも外遊びを続けるコツです。親が「水にぬれちゃいけない」「汚しちゃいけない」と思うと、外に出るほどストレスがたまります。

汚れて帰ってきたら、そのままお風呂に直行しましょう。夜、疲れている時間帯にお風呂に入れるよりもずっと楽になります。洋服も汚れますよね。お子さん3人を野球部に入れたママの言葉が、強烈でした。洗濯機はすぐに砂がつまり壊れるので、3年ごとに買い替えることを前提に貯金をしているそうです(笑)。

着替えが増える日もあります。洗濯物が増える日もあります。けれどその代わりに、子どもは体を使い、転び、痛みを知り、危険を避ける感覚を身につけることができるのです。

「3センチの我慢」が子どもの自信を育む! 手出しを控える見守り方

──汚れもそうですが、ケガをしないか心配で、すぐに手を出してしまいます。外遊びで親はどこまで関わったらよいでしょうか?

松嶋:基本は「口や手を出さない」ことです。

私が住む東京都小金井市の教育長である大熊雅士先生は、毎年子どもたちとキャンプに行っていますが、引率するスタッフたちは子どものやろうとしていることに一切手を出さないそうです。

危険を伴う「滝登り」でさえ、大人は子どもに手を添えず、いつでも抱きとめられる3センチ後ろで構えているといいます。

この「3センチの我慢」は、外遊びの見守り方を象徴しています。「落ちそうだから」と先回りして抱き上げない。子どもが自分の力で一歩を出す瞬間を守る。すると、子どもは自分で登れたことに自信をつけ、次はもう少し難しいことに挑戦するといいます。

最後にお伝えしたいのは、外遊びを増やすことは「家族の時間を減らす」ことにはならない、ということです。外で挑戦するほど、帰ってくる場所が大事になります。親が「おかえり」と迎え、汚れた服も、泥の手も、まず受け止める。そこで子どもは安心して、また外に出られるようになります。

外遊びを増やすと、家の中での親の過干渉も減りやすくなります。なぜなら、体を使って遊ぶと子どもはよく眠ってくれるからです。子どもが早く寝ると、親に少し時間の余裕が生まれます。余裕が生まれることで、親の「待てる」力が増えるかもしれない。外遊びは、家庭の空気を変える入り口になるかもしれません。

大熊雅士さん(小金井市教育委員会教育長)
公立小学校教諭から区・市の指導主事を経験し、東京都教職員センター統括指導主事になる。その後、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・東京学芸大学教職大学院特命教授、カウンセリング研修センター学舎ブレイブ室長を経て、2018年4月より現職。また東日本大震災で被災した子どもたちとのキャンプ活動などにも取り組んでいる。(写真提供:大熊雅士)

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松嶋 有香
まつしま ゆか

松嶋 有香

Yuka Matushima
文章力養成コーチ、教育コンサルタント

静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」

静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」