【闘病ママ】の子育て “なまけてる”と周囲は無理解 「ギャン泣きの我が子を抱っこできない」苦悩の日々

第1回「闘病ママの子育て」~大変すぎる子育て現場編~

一般社団法人「てくてくぴあねっと」代表:うえやま みか

関節の痛みから階段の上り下りすらつらい

闘病中のママ・パパを支える、一般社団法人「てくてくぴあねっと」。2021年11月に同団体を立ち上げたうえやまみかさん(38歳)は、1歳で若年性特発性関節炎(小児リウマチ)と診断され、以来30年以上リウマチと付き合いながら過ごしてきました。

2025年9月現在、契約社員として週3回フルリモートで仕事をしながら、団体の活動を兼務。プライベートでは小3の長男、保育園年中の次男を育てています。会社員の夫は出張が多いため忙しく、身近に頼れる身内もいないため、家事育児はもっぱらワンオペだと言います。

「私の持病であるリウマチは自己免疫の異常により関節に炎症が起き、手首やひじ、ひざ、肩、首、股関節などの関節に痛みを伴う病気です。じっとしているだけでも常にジンジンと刺されるような痛みがあり、少しでも動くとさらに痛みます。

階段を上り下りする動作もつらいので、歩くときは松葉づえが必要です。全身症状として発熱や倦怠感もあります。服薬治療は続けていますが、完治は難しく、症状が出ない日はありません」(うえやまさん・以下同)

自身の病状を慣れた様子で話すうえやまさん。学生のころは、“自分が誰かと結婚したり、誰かの親になることはないだろう”と思っていたと話します。

ところが社会人になり大切な人ができて結婚したことで、気持ちに変化が。子を望む思いと、「親になってもいいのか」という自問の間で揺れるようになります。

「妊娠できたとしても、自分自身のことすらままならない私が子育てできるのか。産後どれくらい体調が悪くなるのか。痛くてもなんとかなるレベルなのか、どうしようもなくなるほどつらいのか……。

産後の生活がイメージできず悩む私に、主治医の先生は、こうおっしゃいました。『リウマチを患いながら産んでいるかたもいますし、産後に病気になるかたもいます。みなさん大変な中でもがんばって育児をされていますよ』と」

先生の心強い言葉に背中を押され、妊娠を前向きに考えられるようになってきたうえやまさん。その後、体調を優先するため勤務していた外資系製薬会社を退職。時間はかかりましたが、ありがたいことに長男を授かりました。

外に出て歩いて階段を上り下りするときも関節が痛むといううえやまさん。オンライン取材にて。
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覚悟していたものの……産んでみて初めて分かったこと

2016年、待望の長男を出産。喜びに包まれる日々もつかの間、壮絶な日常が始まります。リウマチは産後に悪化する人が多く、うえやまさんもその一人でした。

「ベビーカーを押しながら歩く、粉ミルクの缶を開ける、哺乳瓶にお湯を入れる、哺乳瓶を振る……すべての動作で関節が痛みました。特につらかったのは、手が痛くて、泣いている赤ちゃんを抱っこできないこと。

やっとの思いで抱っこしても、その体勢を続けるとさらに痛む。あまりの激痛に、私まで泣いたこともあります。かといって、泣きわめく我が子を放置するのも精神的につらい。限界まで抱っこして、後は一緒に寝転んで背中をトントンしたり、動画であやしたりして乗り越えました」

健康なお母さんだったら、サッと抱き上げてあやすことができるのに──。罪悪感で苦しんだ乳児期が過ぎると、今度は、思いもよらない場面でつらい思いをすることが増えました。

思わず立ちすくんだ見知らぬ人の理解なき言葉

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