日本と海外の子育ては何が違う? 世界の子育てから学ぶヒントや新常識

日本人の子どもたちがアメリカ、カナダ、イギリス、スイス、中国、韓国で学んだら

日本の子どもの教育・子育てはどうあるべき?

イラスト:Ayumi Eto

グローバル化がますます進んでいく昨今。子育てについても、日本国内の事例だけで、どうあるべきかを考えられない時代になってきています。

同時に、海外で子育てに取り組む日本人のパパ・ママも増えており、日々さまざまな驚きや、時には苦労を経験しています。

この企画では、海外で日本人親子が経験しているさまざまな子育て事情に注目。子育てサイト「コクリコ」でのこれまでの取材を通して、日本と海外の子育てをめぐる驚きのギャップや、意外な発見まで紹介します。

子育てに正解はありません。けれども、アメリカ、カナダ、イギリス、スイス、中国、韓国で奮闘する日本人親子の経験から、日々の子育てのヒントが見つかれば幸いです。

アメリカ 超ゆるい校則&イベント山盛り 小学校のリアル

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最初に紹介するのは「アメリカ」。

カリフォルニア州で2人の子どもの子育てをするナツさんは、アメリカの学校の「イベントの多さ」に驚いたといいます。ハロウィンのように奇抜な格好で盛りあがるものが多いものの、学年を超えてグループを作り、年上の子どもたちが年下の子どもたちの面倒を見るイベント(ファミリーデー)など、「年齢を超えた友達を作るきっかけ」になるものもあります。

一方で、服装に対する規制がゆるいのもアメリカの学校らしい特徴。ピアスやネイル、染髪や化粧が自由な一方、ランドセルや上履き、体操服などの指定がなく、それぞれの行動に本人が責任を持つのが当たり前。ナツさんは驚きを語ります。

カナダ 学費免除や給付金&子育て資金も

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対照的に、日本の学校顔負けの繊細なケアをしているのが、カナダの学校。

ケベック州で2人の男の子を育てている晃子さんは、幼稚園の先生から「アルファベットの、この部分が苦手みたいなのでおうちでサポートを」「全然足りないので、今すぐ追加でランチを持ってきてください」といった連絡が来たのだそう。お弁当に入れたデザートのゼリーについても「ゼリーはランチじゃないですから」と注意されたといいます。

もちろん、「ちょっとお節介な親戚のおばちゃん」を思わせる対応の背景にあるのは善意。ケベック州という地域のカナダ人たちは自分たちを「ケベコア(ケベック人)」と呼び、英語圏のカナダ人とは一線を画しています。結束や仲間意識が強いケベック州ならではの手厚い子育て、ともいえそうです。

イギリス 小学校で「キャラ弁がNG」なワケ

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イギリスの子育てで日本人ママが感じたギャップは、「食事」に対するスタンス。学校の給食もピザやソーセージ、チップス(フレンチフライ)、トマトソースをかけただけのパスタなど、シンプルなものが多いといいます。またお弁当についても、野菜やパンなどをただ切っただけ、火を通しただけのものが多く、日本人が作るキャラ弁とは対照的。日本ではふつうのお弁当でも、子どもに「そんな凝ったものは誰も持ってこないよ!」と引かれてしまいます。

一方、日本より手厚いのが登下校時の保護者同伴です。生徒ひとりでの登下校が禁じられているうえ、迎えに来る保護者についても、学校側に登録済みの人物であることが確認できるまで子どもを引き渡してもらえないといいます。

スイス 移民大国のインターナショナルスクールは国際社会

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移民大国といわれるスイス。2人の子どもをインターナショナルスクールに通わせたマミさんによると、子どもたちが家に連れてきたクラスメートの国籍は15ヵ国以上。ヨーロッパはもちろん、アジア、北米・南米、アフリカなど、国際色豊かなクラスメートたちが印象的だったと語ります。

国籍が違えば、習慣もそれぞれ違います。ベジタリアンや、宗教的な理由で特定の食べ物がNGな子などがいることに戸惑い「最初はいろいろ大変だった」そうですが、次第に楽しめるようになりました。同時に「子どもはみんな違っていて当たり前」という当然のことに、改めて気づかされたといいます。

中国 小学生の勉強事情「塾に行くヒマはない?」宿題てんこ盛り

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中国の子育てで、日本人パパの鈴木さんは「親もあぜんとするほどの膨大な宿題」に衝撃を受けたといいます。現地の小学校では小学校低学年でも毎晩7時や8時ごろまで宿題に時間を取られ、中には問題が解けずに夜10時過ぎまで勉強机に向かう子どもも多いとのこと。あまりの忙しさに、平日に塾へ通う余裕もありません。

私立幼稚園の「お受験」が厳しいのも特徴です。ただし受験するのはパパママのほう。たとえば倍率10倍のある幼稚園では親子面談で家族同士の普段の関わり方を聞かれるほか、子どもと遊んでいるイラストを描かせた後に、実際に子どもと遊ばせるという一風変わった試験を行います。面接はすべて中国語で行われるので親の(中国語の)語学力は必須ですし、家族同士の仲の良さも評価対象になります。

韓国 超お受験戦争で人気講師は年収20億円! 高校は22時まで授業!

イラスト:Ayumi Eto

お受験が厳しいといえば、お隣の国・韓国の事情はさらに強烈です。大学受験についていえば、江南区にある大峙洞(テチトン)などが進学競争の代名詞となっていて、小さなエリアに1000軒近くの学習塾が集まっています。このあたりは「大峙洞塾通り」と呼ばれ、学校が休みの時期ともなると、駅前のホテルに住み込んで塾通いをする「駅前短期留学」の学生が増えます。中には1日に2~3の塾を掛け持ちする子どもも多いといいます。

一方、同じソウル市内でも、朝鮮王朝時代の雰囲気が残る江北エリアは比較的のんびりした雰囲気が漂います。大学についても「インソウル(ギリギリでも、とりあえずソウル市内の大学に受かれば御の字)」という人が多いそうです。

最後に

ゆるい校則で本人の責任を重んじるアメリカから、手厚い子育てサポートにこだわるカナダ・ケベック州、日本をはるかにしのぐような受験戦争が繰り広げられる中国や韓国など、世界の子育て事情はさまざま。その中で生きる日本人親子たちは、ときに文化の違いに驚かされながらも、自分たちの子育てに取り組んでいます。

とはいえ、どの国の子育てにも、参考にできる部分があるはずです。それぞれの家庭ごとに、自分たちの子育てに生かせるヒントを見つけてみてください!

えとう あゆみ

江藤 亜由美

グラフィックデザイナー・イラストレーター・エッセイスト

愛知県生まれ。グラフィックデザイナー、イラストレーター、エッセイスト。アメリカ、カリフォルニア州にあるアカデミー・オブ・アート・ユニバ...