発達障害の特性のある子どもを育てる母親への支援〔言語聴覚士/社会福祉士〕が解説

#12 発達障害の特性のある子の子育ての困難への支援〔言語聴覚士/社会福祉士:原哲也先生の解説〕

言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

発達障害の特性のある子の子育ての困難の軽減

発達障害の特性のある子の子育ては大変です。こだわり、癇癪、常同行動、パニック、偏食等、子どもは次から次へと周りの大人にとって「困った行動」をし、そのたびに育児を主に担う母親は困り、疲れ果てます。このストレスを軽減するには、子どもの「困った行動」を減らすことですが、それにはどうしたらいいでしょうか。

子どもを「理解」し「適切な関わり方で関わる」ことです。それ以外に方法はありません。

このコラムでも再三お話ししてきたことですが、発達障害のある子は生まれ持っての特性によって今のその状態にあります。こだわりもパニックも、子ども本人にはどうしようもないのです。子ども本人もどうしようもないその行動を変えるには、その子がなぜそう行動するかを「理解」し、その子にとって「適切な関わり方で関わる」ことです。

子どもを「理解」し、「適切な関わり方で関わる」=「適切に対応する」ことで、子どもの困った行動は減り、親子の関係がよくなり、嵐のような生活から穏やかな生活に変わっていくことをめざすのです。

また、第11回(前回)で見た、母親の悩みの中には「子どもがなぜそういうことをするかがわからないことが辛い」という趣旨のものがありました。「理解」して、「適切な対応」をしても、子どもの行動が変わるには時間がかかります。しかし「なぜそうするかがわかる」「子どもの中で何が起きているかがわかる」ことは、それだけで母親の支えになると私は思います。

さて、ではその「理解」と「適切な対応」を親はどうやって知ればいいのでしょうか。

①専門職とつながる

「理解」と「その子に適した対応」を知るには、発達障害についての専門的な知識と経験がどうしても必要です。それを持っているのは、医師、言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士などの専門職です。ですから、まずは専門職とつながりましょう。

発達障害の特性のある子の状況は千差万別で、「理解」も「適切な対応」も千差万別です。なので、専門職に「そのお子さん」を見てもらわないことには、「そのお子さん」の「理解」と「適切な対応」はわかりません。

療育を始めておられない方は、まずは、

●医療機関 
●児童発達支援センターや児童発達支援事業所 
●地域の保健センター
●住所地の自治体の福祉関連課

などのうち、アクセスしやすいところに相談をして、そこから専門職につないでもらいましょう。

②「理解」と「適切な対応」についての情報を求め、悩みを一緒に解決してもらう

専門職のもとで療育を始めたら、専門職に我が子の「理解」や「適切な対応」を教えてもらいましょう。そして、家や園での悩みを相談し、解決のための「具体的な方法」を一緒に探してもらいましょう。

それらは、本来は、専門職の方から保護者に伝えるべきことだと私は思いますが、実際は、必ずしもそうなってはいません。わからないことは遠慮せずにどしどし質問をしてください。

専門職の力量もひとりひとり異なります。相談しても一般論だけで具体的な解決方法がいつまでたっても得られないならば、それが得られるところを新たに探すことを考えていいと思います。

次のページへ まだあるストレス軽減のための具体的な方法
38 件