「子育てと仕事の両立がツラい」苦しむママを救う助言とパパがやるべきこと

人生相談本コレクター・石原壮一郎のパパママお悩み相談室【17】「仕事と子育ての両立がうまくいかない」

コラムニスト&人生相談本コレクター:石原 壮一郎

仕事と子育ての両立に正解はない

〈石原ジイジの結論〉
人生相談の森で見つけた「仕事と子育ての両立」の悩みは、すべてママから寄せられたものだった。本来はママだけが悩むことではないはずじゃが、ママ自身も「自分がどうにかしなければ」と重い荷物を背負いこんでしまいがちである。

我が家の場合、妻は仕事をしながら子育てをしてきた。娘も仕事をしながら孫のF菜を育てている。両立といえば両立だが、そうしたいからそうしただけで、とくに両立を目指したわけではない。

父の自分も含めて、不十分ながらやれることをやってきただけである。ただ、自分たち親子も娘たち親子も、迷いや後ろめたさや後悔とは縁がない。

両立を目標にしていたら、あるいは強く意識していたら、話は違っていただろうか。「完璧な両立」を目指すのは、「完璧な子育て」や「完璧な仕事」を目指すのと同じで、つかみどころがない。

「もうちょっと」という欲も出てくるだろう。やる前は「自分には無理」と思いそうだし、最中には常に「これではいけない」と自分を責めそうである。

何をどこまでクリアできていたら両立かという基準はないし、そもそも決めようがない。逆に、仕事でお金を稼いで親子が無事に暮らせていれば、十分に両立しているとも言える。胸を張って両立するために、次のふたつの前提を押さえておこう。

その1「母親が働くことに後ろめたさを抱く必要はない。母親だけが悩む必要もない」

その2「漠然とした『両立』を追い求めず、我が家に合ったスタイルを探ればいい」

考えてみたら、両立できるかどうかで悩むのは、「母親が働かなくても暮らしていける」という選択肢がある場合だけじゃ。どっちでもいいから、「これでいいのだろうか」とか何とか思い悩むことができる。こう言ったら怒られそうじゃが、贅沢な悩みかもしれん。

何より大事なのは「父親も他人ごとみたいな顔をしている場合ではない」ということ。

母親とはやり方が違うかもしれないが、仕事と子育てを両立させたほうがいいのは父親だって同じじゃ。カケラも悩んでいないことを悩んだほうがいいかもしれない。ただ、祖父母も含めて家族単位でトータルに見て両立できていれば、それで問題ないとも言える。

かつては「モーレツ社員と専業主婦」の組み合わせで、家族単位での両立が実現していた一面があった。しかし、今の時代にはそぐわない部分が多いし、そのやり方だとパパとママ自身の幸せにつながらないという認識が広まっている。

仕事にせよ子育てにせよ、とりあえず目の前のことに全力を尽くしていれば、そう変なことにはならないはずじゃ。そして、誰だって結局はそうすることしかできない。

【石原ジイジ日記】
ウチの本棚にはF菜の親友がいる。パペット人形のパンダちゃんと恐竜くんだ。ジイジが300円均一の店で買ってきた。「中の人」もジイジだ。オモチャで遊ぶときや絵本を読むときは「こっちきてー」と呼び出される。各自の声色とキャラクターも固まってきた。3人で恋の悩みを語り合うことも。ああ、友情も無邪気さも永遠なれ。

石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
コラムニスト&人生相談本コレクター。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。現在(2022年)、3歳女児の現役ジイジ。

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いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか