「ベビーシッター」は後ろめたくない 芸能人が兼業の「エンタメ子守」が子どもに大ウケする理由

エンタメシッターサービス「Fluffy Ket(フラッフィーケット)」#1

Fluffy Ket 代表:伊藤 梨沙子

フラッフィーケットに在籍するベビーシッターの9割は芸能関係の仕事をしているエンターテイナーだ。  写真提供:株式会社Fluffy Ket
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故郷以外の土地で育児をするアウェー育児が約70%を超える現代(※1)。子どもを安心して預けることができるサービスのニーズは高まっています。

とはいえ、世界5ヵ国のワーキングママ500名を対象とした育児調査(※2リンナイ調べ)によると、日本のベビーシッター・ナニー、保育サービスの利用率は世界5ヵ国中で最下位でした。

一般家庭にしっかり浸透するのはまだこれからともいえるベビーシッター業界に、今春(2023年4月)、芸能人などのエンターテイナーが子どもをみるという類を見ないサービスが登場しました。

「エンタメ×ベビーシッター」というシッターサービスを考案した「Fluffy Ket(フラッフィーケット)」代表の伊藤梨沙子さんに、お話を伺います。


※1=地域子育て支援拠点事業に関するアンケート調査2015(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会)
※2=世界のワーキングママ最新事情公開(リンナイ株式会社)

※1回目(全2回)

伊藤梨沙子(いとう・りさこ)PROFILE 
株式会社Fluffy Ket代表取締役社長。1996年東京都出身。10歳から芸能活動を始め、2008年からはテレビ東京系『おはスタ』のおはガール、ファッション誌『ピチレモン』専属モデルなどを務める。JADP認定ベビーシッター・ACSAベビーシッター養成・現任研修修了・救命技能認定証取得済み。2023年に株式会社Fluffy Ketを設立し、エンタメシッター事業を立ち上げた。

芸能のスキルをベビーシッターに!

「ただお世話をするだけではなく、子どもたちにとことん楽しい時間を過ごしてもらうために起業しました」

こう語るのは、2023年4月に新たにマッチング型ベビーシッター事業を立ち上げたFluffy Ket(フラッフィーケット)代表の伊藤梨沙子さん。

伊藤さんは、小学4年生から学業と芸能の仕事を両立してきた経歴の持ち主。テレビや舞台などを中心に芸能活動を続けていた大学時代にベビーシッターのアルバイトと出会いました。

「芸能の仕事は時間が不規則だったり急に予定が入ったりすることが多かったので、時間的に融通のきくベビーシッターを始めました。でも、続けていくにつれて、いつしかベビーシッターに大きなやりがいを見出している自分がいたんです」(伊藤さん)

伊藤さんは学生時代から数えて7年間にわたり、ベビーシッターと芸能の仕事を継続。そして、2023年4月にエンターテイメントとベビーシッターを掛け合わせた事業で起業しました。

「子どもたちと一緒にいるなかで、歌やダンス、演技など、自分が芸能の仕事でつちかったさまざまなスキルがベビーシッターの仕事に生かせることに気づきました。

そして、エンタメスキルを持っているからこそできるベビーシッターとして社会に貢献したいと決意し、同じように芸能とシッターをしている大学の同期でもある合田友(副代表)に声をかけて、一緒に始めたんです」(伊藤さん)

エンタメシッターとは?

具体的にはどんな特徴があるのでしょうか?

「弊社では、保育担当スタッフを『キャスト』と呼んでいます。キャストがエンターテイメント要素をもっていることが条件なので、知り合いなどを中心に信頼のできるキャストを集め、現在26人が在籍。そのうちの9割が芸能関係の仕事とダブルワークです。

キャストのスキルは、ダンスや歌、楽器、演技、対応、読み聞かせなどさまざま。キャストたちは自身のスキルを発揮して、子どもたちに『すっごく楽しい!』と思ってもらえるように最大限の努力をしています。

その子がどんな曲が好きなのかを事前に保護者さんに伺って、一緒に楽しめるように歌や楽器、ダンスなどの準備をしたりして、“歌のお兄さんやお姉さんが家にやってくる!”というイメージでサービスを提供しています」(伊藤さん)

歌のお姉さんさながらの歌声と表現力で、一緒にピアノを楽しみます!  写真提供:株式会社Fluffy Ket

利用する側としては、子どもが楽しいことは大切ですが、ベビーシッターの保育スキルも気になるところです。

「日本のベビーシッターは現在、無資格でも働けることになっていますが、実際には各企業で研修を受けたり、民間の資格認定試験に合格している場合が主流です。

弊社でもキャストの研修はしっかり行っています。弊社で用意している講座や実地研修、テストなど全てを終えてからでないとキャストデビューはできません。まだシッターの資格を有してないキャストにも、資格認定試験合格をめざし努力してもらっています。

また保育スキルを優先したい保護者さんの場合、ご相談のうえ、保育士や幼稚園教諭、看護師などの資格保有者など、ニーズに合うキャストをご案内しています」(伊藤さん)

また、子どもを預ける際、親が一番に危惧すること。それは子どもの安全が守られるかどうかです。

「安全面は、ベビーシッター業界全体でももっとも重要課題として、各社いろいろと対策を練っているところです。弊社では、まずキャスト登録の際には身元確認を徹底しています。もちろん、過去に業務停止命令や犯罪歴がないかなどを確認し、契約書面へのサインを必須としています。

それでもご心配な保護者さんには防犯カメラの設置をお願いしています。まだ、弊社での準備はできていないのですが、防犯カメラの設置は緊急課題として検討中です」(伊藤さん)

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