「令和の思春期」大暴れ・スマホ依存・反抗期がない… 親がとるべき対応を専門家が徹底解説
スマホを取り上げたら大暴れ! どうすればいい? 思春期の反抗期 乗り切りガイド#4
2023.09.21
明治大学文学部教授:諸富 祥彦
目次
「難しい年ごろ」と称される思春期は、時として反抗的な態度をとったり、悪ぶったり、周囲もためらうような乱暴な言葉を使って親を戸惑わせます。
学校や児童相談所のカウンセラーとしても活躍し、40年以上、あらゆる親子の問題に寄り添ってきた諸富祥彦先生は、思春期の反抗パターンには3つのタイプがあり、それによって注意すべきポイントや対応のコツがあるといいます。
シリーズ最終回は、3つの反抗パターンのうちの〈闘争タイプ〉と〈反抗期がないタイプ〉の解説のほかに、シングル家庭やステップファミリーでの思春期の乗り越え方について紹介します(全4回の4回目、#1、#2、#3を読む)。
◆諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)
明治大学文学部教授。教育学博士。
1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年以上のカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。
【諸富先生の過去の記事を読む】
【思春期の反抗期 乗り切りガイド:第1回 第2回 第3回を読む】
※公開日までリンク無効
〈闘争タイプ〉は、自分でどうしたらいいのかわからない子が大半!?
諸富先生は、思春期の反抗には次の3つのタイプがあるといいます(#3を読む)。
思春期の代表的な反抗タイプ
① 親が話しかけても返事をしない〈コミュニケーション回避タイプ〉
② 『うるさい!』『ほっといて!』と反発する〈闘争タイプ〉
③ 『このままで大丈夫?』と親のほうが心配になる〈反抗期がほとんどないタイプ〉
「今回は②の〈闘争タイプ〉からお話ししましょう。闘争といっても度合いがいろいろあって、ドアをバタンと閉めるといった態度から大暴れまであります。ただし、現代は後者の大暴れは少なくなっています。
長くカウンセラーをしていると、時代による子どもたちの性質の変化が見てとれるのですが、現代は昭和のような血気盛んな様子はだいぶ少なくなりました。これは今の時代が、ぶつかるよりも回避する方向に何事も動いている表れなのだと感じています。
とはいえ、大なり小なり感情的になった子どもを目の当たりにすると、親としてはどう対応したらいいかわからなくなるものです。激しい〈闘争タイプ〉の場合はその存在が少ない分、子どもが悪目立ちするのではないかと心配にもなります。
〈闘争タイプ〉の子どもとかかわるコツは、親が『同じ土俵に上がらないこと』と『力で押さえつけないこと』です。
子どもが反発心を表し、親子間の争いがヒートアップする前に、ぜひ親がその場から離れてクールダウンをしてください(#1を読む)。
また決して、力で押し潰そうとしないでください。力ずくの経験をしたことがない、あるいはされたことがない現代の子どもに暴力的な行為をしても、単に『親にハラスメントをされた』と思われるだけです。関係修復が不可能、あるいは時間がかかります。
攻撃的な反抗は、エネルギーがある証拠です。子どもが本来持つパワーが、将来をパワフルに生きるベースになることを期待して、上手に思春期を乗り越えていきましょう」(諸富先生)