運営者が語る 子どもが学童好きになるためのカギは”保護者とスタッフの連携”
労働・子育てジャーナリストで学童運営者の吉田大樹氏 【最新】学童の仕組みとその選び方 #2子どもたちの過ごし方
2022.10.13
労働・子育てジャーナリスト:吉田 大樹
保護者の前では一変する子どもたち
子どもたちは、小学校、学童、そして家での「顔」を見事に使い分けています。
小学校から学童に来たときは、管理されたところから来た解放感か、にこにこして嬉しそうに帰ってきます。学童の室内に入ってきた途端に、解放されすぎて奇声を発する子もいます。
そんな子どもたちの顔が急変するのがお迎えのときです。学童内でいたずらをしたり、暴れたりして、スタッフの手をわずらわせているときに、不意に保護者が迎えに来たりすることがあります。
あのときの子どもたちの変容ぶりにはいつも驚かされます。それまでの悪童ぶりがウソかのように、しれ~っと「家」の顔に戻っていくのです(笑)。
保護者が迎えに来たときに、荷物も持たずに保護者の下に向かい、「今日学童でこんなことあったよ~」と学童で楽しかったことの興奮と保護者に会えたことの嬉しさが合わさった屈託のない笑顔を見せてくれます。なかには、「まだ帰りたくない!」「お迎えが早い!」と怒る子どももいたりしますが。
保護者と密に連携しながら子どもをケアする
ときには、子どもが学童に行くのを嫌がることがあります。そうした変化に臨機応変に対応していくためには、日ごろからの保護者との連携は必要不可欠です。
学童に行きたがらないのは、通い始めた最初が一番多いかと思います。やはり知らないところに日々通うのは子どもたちにとってちょっとした恐怖心があるのも当然です。
毎日泣きじゃくりながら通っている子も、最初にしっかりとスタッフがケアしてあげることで、次第に安心し、心許せる「居場所」になっていきます。
また、子どもたちが成長する中で、気になる変化があったときは、必要に応じて、保護者が迎えに来た際に伝えます。保護者も十分に子どものことを見切れなかったりすることもあるので、相互にケアをしていける体制を作ります。
子どもの成長過程で気になったことがあったとき、他の子どもを傷つけたとき、子どもがケガしたときなどは、当然保護者にその旨を伝えますが、日常的な注意については、1つ1つを保護者に報告することはしません。
それをやりすぎてしまうと、子どもは常にスタッフの背後にいる保護者を意識することになり、スタッフと子どもの信頼関係が薄弱になり、言いたいことが言えなくなったり、次第に学童に行きたがらなくなってしまうからです。
一方で、保護者側から子育てについての相談があったり、さまざまなアドバイスを求めてくることもありますが、日ごろから保護者との接点を持つことで信頼関係を醸成(じょうせい)できます。
小学校とは異なり、毎日保護者と向き合える場であるからこそ、子どもだけではなく、保護者も含めたケアが可能となります。
もし学童が合わなかったら
学童内でのトラブルをどうするかについては、スタッフ間でも日々ミーティングをしながら、情報を共有し、ケアが必要な子に対応していきます。
しかし、子どもたちにとって、通う学童が時には質的に合わなかったりすることもあります。そこが無いようにしていくのは学童を運営する側の責務ではありますが、そうした問題が起こるのも事実です。
そうした話し合いを、学童を運営する側と保護者との間で続けることを前提として、場合によっては、保護者が一度行政に相談に行くのもひとつの手だと思います。
学区内に複数の学童があり、定員に達していなければ、手続きを踏んだ後に移籍することも可能です。また、学区を飛び越えて広域で受け入れている学童もあったりするので、そうした可能性も含めて、行政に聞いてみたほうがいいと思います。
吉田 大樹(よしだ・ひろき)
労働・子育てジャーナリスト/NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事。1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了。2003年より労働関係の専門誌記者として取材し、働き方や生き方の変革を訴える。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立し代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。
吉田 大樹
1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)。 2003年より労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を取材。働き方や生き方の変革を訴える。 2012年7月から2年間、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。 これまでに、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会推進」委員、経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者などを歴任。 現在、厚生労働省「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、内閣官房こども家庭庁準備室「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員、東京都「子供・子育て会議」委員、鴻巣市「男女共同参画審議会」委員、鴻巣市「鴻巣市PTA連合会」会長などを務める。 著書に『パパの働き方が社会を変える!』(労働調査会刊) 3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。
1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)。 2003年より労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を取材。働き方や生き方の変革を訴える。 2012年7月から2年間、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。 これまでに、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会推進」委員、経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者などを歴任。 現在、厚生労働省「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、内閣官房こども家庭庁準備室「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員、東京都「子供・子育て会議」委員、鴻巣市「男女共同参画審議会」委員、鴻巣市「鴻巣市PTA連合会」会長などを務める。 著書に『パパの働き方が社会を変える!』(労働調査会刊) 3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。