【専門医解説】10人に1人が体外受精療で誕生「妊娠=勝ち組」じゃない理由とは?「妊活の夫婦関係」大切な3つのポイント

終わりから考える妊活 #2 (2/3) 1ページ目に戻る

髙崎 順子

10人に1人が体外受精などで誕生している日本。保険適用も開始され、治療のハードルはぐっと低くなった。(写真:アフロ)
10人に1人が体外受精などで誕生している日本。保険適用も開始され、治療のハードルはぐっと低くなった。(写真:アフロ)
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「保険適用の回数の上限を治療の節目にする人のほか、体外受精を早い段階で始める人が、増えたように思います。30代前半の若いカップルや、40代で結婚して数ヵ月という方も。20年ほど前は体外受精を勧める、というと『難病の宣告』のようでしたが、今は全く違っています」(古賀先生)

早めに体外受精を希望する理由の多くは、「なるべく早く子どもが欲しいから」。結婚しても働き続ける女性が増えた今、仕事と両立しながら治療に時間を割かねばならないことも、背景としてあります。

保険適用によって生殖医療のハードルが下がったのは、妊娠を望む人にとってよい状況と考えられるもの。

ですがその上で、古賀先生はこの「なるべく早く欲しい」という思いに、注意信号を出しています。この思いが不妊治療中とその後の心の状態に、ネガティブな影響を与えることがあるからです。

「妊娠したら勝ち組、ではない」

「なるべく早く」で不妊治療を進めると、よくない影響が出がちなのが、夫婦関係です。

「交際から結婚、不妊治療の開始までの時間が短いと、まだお互いをよく知り合っていないうちに治療のステップを進むことになります。それで治療期間が長びいていくと、夫婦の間にすれ違いが生じてしまうのです」(古賀先生)

たとえば、妻の意識が治療のことでいっぱいになってしまい、夫婦の心のつながりがおざなりになってしまう。「子どもを授かること」に対する考え方や思い入れが夫婦で少し違っていたのに、それを確認する機会がないまま治療を進め、すれ違いがさらに大きくなってしまう……。

なかには、治療が実って子どもを授かったのに離婚してしまったり、夫が失業の危機にあるのに妻が治療に没頭していて気がつかなかった、というケースも。

「妊娠したら勝ち組、ではないのが、不妊治療のリアルなのです」(古賀先生)

不妊治療の目的はもちろん、妊娠と出産。ですが子どもを持つことは、すべてのカップルにとって、唯一無二のゴールではない。「子どもがいないから、お互いに思いあって大切にしあえる、素敵なご夫婦もいます」とも、古賀先生は言います。

「早く授かりたい願いはもちろん、分かります。ですが先を急いで心がついていかず、ご夫婦の仲が悪くなってしまってはいけません。子どもを授かっての幸せは、夫婦仲あってこそ。時間を失わない程度に、少し立ち止まって考える機会を持つのが、必要なこともあります」(古賀先生)

不妊治療のリアル 夫婦関係3つの注意点

不妊治療に取り組むことで夫婦仲が悪化せず、よりよい心の状態で続けていくには、どんな点に気をつけたらよいでしょうか。

古賀先生はまず、夫婦で不妊治療の「リアル」をしっかり理解することから始めてほしいと、3つの注意点を説明します。

不妊治療の「リアル」って、具体的にはどんなこと?
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